暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

バナー原稿 468×60 (140228)imp

2014年4月

子どもの脳を育てるDHA

  ●オメガ3脂肪酸
 味の素kkが開いたメディアセミナーで、オックスフォード大学社会生活・福祉学部上級研究員のアレックス・リチャードソン博士のレクチュアを聴いて、奄美諸島の話を思い出した。名のある人が輩出したことで知られる島々である。

 Dr.リチャードソンは、栄養と人の行動に関する研究の権威。子どもの行動や認知発達におけるオメガ3脂肪酸の重要性に関する研究分野での先駆者として世界的に知られている。

 オメガ3脂肪酸とは、ご存じEPA、DHAに代表される不飽和脂肪酸である。

 すこし回りくどくなって恐縮だが...。

 脂肪は、グリセリンと脂肪酸でできている。

 脂肪酸は、多数の炭素同士が手をつないで鎖をつくり、それに水素と酸素がつながった構造になっている。

 炭素と炭素が全部、1本の手でつながっているのが「飽和脂肪酸」で、炭素と炭素が部分的に2本の手でつながっているのが「不飽和脂肪酸」である。

 飽和脂肪酸は、炭素の鎖すべてに水素がつながっている(つまり炭素が水素で飽和されている)。だから飽和脂肪酸を多く含む食品は、バターやラードなどのように常温では固体である。

 不飽和脂肪酸は、炭素同士が2本の手でつながった「二重結合」部分の炭素の片側には水素がつながってない(炭素が不飽和の状態になっている)。で、不飽和脂肪酸を多く含む植物油や魚油は常温では液体である。

 なお、酸素は、炭素の鎖がグリセリンとつながっている一方の端にくっついている。

 不飽和脂肪酸には、二重結合が1個だけの一価不飽和脂肪酸と、二重結合が2個以上ある多価不飽和脂肪酸がある。

 多価不飽和脂肪酸は、さらにオメガ3(n‐3)脂肪酸と、オメガ6(n‐6)脂肪酸に分けられる。
 オメガ3(n‐3)とか、オメガ6(n‐6)とかいうのは、炭素の二重結合が最初に現われる位置を示す記号である。

 炭素の鎖がグリセリンとつながっている側(右端)とは反対側(左端)のω(オメガ)炭素から数えて3番目に最初の二重結合がある系列の脂肪酸がオメガ3系で、6番目に最初の二重結合がある系列の脂肪酸がオメガ6系である。

 n‐3、n‐6は、すべての炭素の数(n個)を左端から数えたときの3番目、6番目という意味。すなわちn‐3=オメガ3、n‐6=オメガ6である。

 一般に、生理学分野では「オメガ3、オメガ6」と呼び、化学分野では「n‐3、n‐6」と呼んでいるようだ。文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会(うへっ、寿限無かヨ)調査報告の『日本食品標準成分表』の用語も「n‐3、n‐6」である。

 一価不飽和脂肪酸の主なものは、オレイン酸で、オリーブ油、サフラワー(紅花)油、ひまわり油、なたね油などの主成分。牛脂、ラードにも多く含まれている。

 オメガ6脂肪酸の大半はリノール酸で、サフラワー油、コーン(とうもろこし)油、ひまわり油、大豆油、ごま油などの主成分。たまねぎ、にんじん、にんにく、ピーマン、セロリなどの野菜類にも多く含まれている。

 サフラワー油、ひまわり油には、高オレイン酸のものと高リノール酸のものがある。

 高オレイン酸のものは、オレイン酸がリノール酸よりもいたみにくいことや、リノール酸の摂りすぎが健康によくないとする研究結果を受けて、紅花やひまわりを品種改良し、オレイン酸の含有率を高めた製品だという。

 オメガ3不飽和脂肪酸の代表は、α(アルファ)‐リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)である。

 α‐リノレン酸は、しそ油、亜麻仁油の主成分で、えごま、サラダ菜、レタス、春菊、白菜、ほうれん草、葉ネギ、大根の葉などの野菜類に多く含まれている。くびれづた、ひじき、わかめなどの海藻にもわりあい多くのα‐リノレン酸が含まれている。

 プランクトンにも非常に多くのα‐リノレン酸が含まれている。だからこれをエサとする魚介類は、α‐リノレン酸と、体内でα‐リノレン酸から変換されたDHA、EPAを多く含んでいる。

 EPAは、甘海苔(干しのり、焼きのり)、むかで海苔、あいなめ、いわし、いかなごなどに豊富に含まれている。

 DHAは、いかなご煮干し、しらす干し、おこぜ、かじき、かつお、かんぱち、きびなご、こち、さより、さば、さんま、しいら、しらうお、すけとうだら、とびうお、にぎす、にしん、ふぐ、まぐろ、メルルーサ、わかさぎ、あさり、しじみ、ほたて貝...などなど魚介類に多く含まれている。

 飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、ヒトの体内で合成されるが、多価不飽和脂肪酸は体内では合成できない必須脂肪酸である。

 飽和脂肪酸は血中コレステロール値を上昇させるが、多価不飽和脂肪酸は低下させる。
 そこで「飽和脂肪酸の多い動物性脂肪はできるだけへらし、リノール酸の多い植物油を─」という栄養指導が行われ、リノール酸が大いにもてやされた。

 しかし、その後、リノール酸(オメガ6脂肪酸)の長期間の過剰摂取が、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管系疾患、がん、アレルギー体質などの危険因子となることがわかった。

 一方、α‐リノレン酸、EPA、DHAなどのオメガ3脂肪酸は、心血管系疾患のリスクの低減、知能向上、精神障害の緩和などさまざまなメリットが確かめられている。

 しかし、食品中のオメガ3脂肪酸はあまり多くない。栄養バランスの偏った食生活ではてきめんに不足してしまう。

 オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率は、1対2から1対4がよいとされるが、いまは1対6とか1対10、1対50というひどい例さえある。

 なぜ、そんなことになるのか。

 オメガ6脂肪酸は、さまざまな食品中にたくさん含まれているので、極端な偏食をしない限り不足する心配はない。そこへもってきて、市販の食用油の多くはリノール酸を主成分としているからである。

「オメガ6脂肪酸の摂取は極力控え、オメガ3脂肪酸の積極的な摂取を─」と厚生労働省も「日本人の食餌摂取基準」で勧めている。

 ●魚を食べれば頭がよくなる!

 多価不飽和脂肪酸は体内では合成できない必須脂肪酸であるが、しかし、オメガ3脂肪酸は、それなしでも動物が見かけ上、正常に育ったことから、かならずしも必須ではないと考えられていた。

 そのうえ、α‐リノレン酸はリノール酸よりも数倍、分解(酸化)しやすいので、油脂食品から除く努力がされてきた。

 しかし、α‐リノレン酸からつくられるDHAが脳や神経、網膜(視神経が分布している膜。カメラでいえばフィルムにあたる)などに多いこと、食物のなかに少ししか含まれてなくても、脳や神経に効率よく取り込まれることなどから、脳や神経のはたらきにはDHAが必要なのではないかと考えられるようになった。

 オメガ3脂肪酸が、ようやく「必須な」栄養素として認められたのは、1960年代である。
 そして、いま、多くのことがはっきりわかっている。そのひとつ─、

 脳の60%は脂肪、そのうち約20%(脳内のオメガ3脂肪酸の97%)はDHAである。

 DHAは、脳と神経系の正常な発育を促進し、機能を維持する。

 神経細胞の細胞膜にDHAがたくさん含まれていると、その細胞膜はやわらかい状態を保ちやすく、神経の情報伝達がスムーズに行われ、脳の活動を活発にする。DHAが「脳の栄養素」「頭のよくなる脂肪酸」といわれるゆえんだろう。

 英国の一般学童集団を対象として、オックスフォード大学が行った「DHAと学習及び行動に関する研究」によれば、オメガ3脂肪酸の血中濃度が低いことと、認知能力や行動の低下には明らかな関連性が認められた。

「英国能力尺度 単語の読み」を用いた実験では、血中DHAの濃度が高い小児ほど読みの能力が良好だった。

 DHAは、上述のとおり魚介類に多く含まれている。魚と頭脳との関係はいまや周知の事実である。

 魚をよく食べている人には認知症が少なかったとか、認知症の人には、魚と野菜が嫌いで、肉好きが多い傾向があるとわかった─といった疫学研究は、国の内外で何例も報告されている。

 ─というところで、奄美諸島の話になる。

 黒潮流れる海の幸豊かな奄美の島は、かつてはかつお漁の基地であった。

 獲れたかつおのほとんどは鰹節にされ、貧しい島の人びとの口に入るのは、かつおの頭か、あら、はらわたでしかなかった。

 だが、それが奄美の人びとのすぐれた頭脳をつくりあげたのだ。

「奄美が人材の島であることは、広く世に知られていることである。われわれもまたこれを誇りとして、いつでも、どこでも、だれもが高言していることである」

 奄美大島名瀬市の出身で、長く教育界にあり、地元の小学校校長を歴任、名瀬市教育委員会教育長を12年も務めた水間忠光氏は、著書『奄美の風土と人の心』のなかでそう述べておられる。

 そして、その「高言」の例証として、官界、法曹界、学界、刀圭(医学)界、軍人、実業界、社会・労働運動界、文学・芸能界、スポーツ界など100名を超える知名人を挙げている。

 そのなかには、大審院総長(最高裁長官)もいれば日本弁護士会会長もいる。文学者もいれば大学教授もいる。大企業社長もいれば名医もいる...といったふうだ。

 奄美からそのように多くの人材が世に出た要因を、水間氏は、①学問尊重、②人材育成、③厳しい自然、の三つの「風」が奄美全域にあったからだと言っておられる。

 それに加えてもうひとつ忘れてはならないのは、「かつおのビンタ(頭)を食えばビンタがようなる」という島の人たちの言い伝えによる即物的効果だろう。

 かつおの頭(とくに眼窩脂肪=目玉のまわりのどろどろ)には非常に多くのDHAが含まれているのである。

 ●「かしこいおやつDHA」

 魚に多く含まれるDHAが、脳にとってどんなに重要なものであるか、ざっと記した。

 DHA、EPAなどオメガ3脂肪酸の健康効果はそんなものではない。

 オメガ6脂肪酸を摂りすぎると、脳梗塞、心筋梗塞、がん、アレルギーなどのリスクが高まるが、オメガ3脂肪酸には逆にこれらを抑える働きがある。

 胎児でさえ、母体のオメガ3脂肪酸の量によって、成長に影響を受ける。

 母乳のなかのDHAが不足すると、子どもの脳の発達が妨げられる。

 視力を高く保つためにもDHAは必要である。DHAが欠乏すると、網膜シグナル伝達(光情報:視覚的映像を電気信号に変換し、脳へ伝達するはたらき)はほぼゼロにまで低下する。

 2012年、消費者庁が行った「食品の機能性評価モデル事業」の結果報告でも、DHA/EPAは─、
 「心血管疾患リスク低減」「血中中性脂肪低下作用」「関節リウマチ症状緩和」の三つで「A」、
 「乳児の成育、行動・視覚発達補助」で「B」、 「血圧改善作用」と「うつ症状の緩和と発生率低下」で「C」─と、評価されている。

 A=機能性について明確で十分な根拠がある。
 B=機能性について肯定的な根拠がある。
 C=機能性について示唆的な根拠がある。─を意味する。

 評価対象11成分=セレン、n‐3系脂肪酸(DHA/EPA)、ルティン、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、ブルーベリーエキス、グルコサミン、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、イチョウ葉エキス、ノコギリヤシ、ラクトフェリンのなかで、「A」の評価を得た項目のあるのはDHA/EPAのみで、また、乳児へのはたらきが評価されているのもDHA/EPAのみである。

 子どもは知力が発達し、成人は生活習慣病のリスクが下がり、認知症を予防する。

 オメガ3脂肪酸は、ビタミンと同じくらい重要な人体必須の栄養素である。

 魚、食べるべし! 大いに食べるべし!

 ─と、称揚されるようになって、久しい。

 なのに、日本人の魚の消費量は年々減少しているのである。

 子どもが魚を好まない。

 骨があって食べるのが面倒。
 生臭い。
 調理が面倒。
 肉より割高。
 ...などなどいろいろとあって、魚離れは進むばかりである。

 では、どうする?
 要は、摂取不足分を上手に補えばよいのではないか。

 欧州食品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)は、1日あたり250mgのDHAの摂取を推奨しているが、日本人の3~12歳の子どもの平均DHA摂取量は1日あたり約150mg、約100mg不足している。

 これを「おやつ」で補給したら......というアイデアでつくられた、味の素kkの「かしこいおやつDHA」には、大豆ほどの大きさのグミに、DHA100mg(3粒あたり)が凝縮・配合されている。
 しっかり噛んで食べることで、歯やあごの発達も期待できるようだ。

 原料は、培養タンクで育てた海藻由来のDHAなので、魚資源の減少の影響を受けず、生態系を崩すことがなく環境にもやさしい製造方法だという。

「通販限定」ということなので注文のしかたは、
 http://www.ajinomoto-kenko.com/ff/kashikoi/
を見てください。

 子どもにDHAが必要な理由なども詳しく知ることができる。

 子どもだけでなく、物忘れが気がかりなジイサン、バアサンにも、これはなかなか魅力的なサプリメントである。

 繰り返しになるが、魚の常食が認知症のすぐれた抑制因子であるのは、魚油に含まれるDHAの効果と考えられている。

 アルツハイマー病の発症後、死亡した人の海馬(日常的な体験や学習で得た情報を、一時的に記憶し、保管する大脳辺縁系の一部)中のDHAは、通常の半分以下にへっていたという報告もある。

 ミックスフルーツ味のグミは、ほどよく甘くて、うまい。3粒ではちょっともの足りない感じ。「もっと!」とねだる子も多いのではないだろうか。「かしこいがまん」も覚えさせよう。



Page: 1
TOPPAGE  TOP 
RSS2.0