暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

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2013年3月

歯はみがくだけでいいのか?

 ああ、いい本だなあ!

 何度となくそう思いながらページをめくった。

 蒲谷茂『歯は磨くだけでいいのか』(文春新書)。

●肺炎から身を守る1本の歯ブラシ

●歯がない人はボケやすい

●自前の歯があれば簡単に転ばない

●寝たきりになる原因は歯にあった

●歯は脳へ刺激を与えている

●歯周病は心筋梗塞の危険因子

●糖尿病と歯周病は表裏一体

●歯を磨かない人ほどがんになりやすい

 同書のなかのいくつかの章節のタイトルだが、なぜ、そうなのか、そうならないようにするためにはどうしたらよいのか。

 最新の研究にもとづく詳しい解説が、わかりやすく(そのうえじつに面白く)理路整然と展開される。

 話し上手の人のよどみない話をじかに向き合って聞いているようで、少しもあきない。

 虫歯も歯周病も細菌による感染症であり、その影響は全身に波及し、さまざまな病気のもとになる。

 口の中の細菌が血液中に入り込むと、血管の壁にくっついて炎症を起こし、動脈硬化を促進し、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳卒中につながる。

 そういったことが、内外の多くの確かな研究データを示しながら、説得力に満ちた語り口でじゅんじゅんに説き明かされる。

 興味深い話がぎっしり詰まっていて、"行数稼ぎ"のムダな記述など1行も、ない。

 パラッと開いたページに目を走らせると、たちまち引き込まれて、もう手放せない。

 いま、最も油の乗った仕事をしている医療ジャーナリストの会心の一書である。

 で、さて、歯はみがくだけでいいのか?

 いいえ。

 いくらしっかりみがいても、歯みがきだけでは歯を完全に守ることはできない。

 みがき残した歯と歯の間、奥歯の裏側、歯の根元などにバイオフィルム(菌膜=虫歯菌や歯周病菌の巣)ができるからだ。

 これの除去は、歯科衛生士というプロの手を借りなければならない。

 しかし、3ヵ月に1度、それをきちんとやってもらえば、虫歯も歯周病も確実に防ぐことができて、歯とつながる体や脳のさまざまな生活習慣病を防ぐ道筋が開ける。

 ─ということが、この本を読めば、すっきりわかる。

 最新の歯学、医学に関心のある人、元気に長生きしたい人、必読の一冊であるだろう。



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