暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

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2011年12月

眼鏡定点配置法

 除夜の鐘おれのことならほうっといて

 この酒もいつまで飲める除夜の鐘

 どちらも、洒脱(しゃだつ)な風格の芸で知られた俳優、中村伸郎さんの句だ。

 1991年、82歳であの世へ旅立たれた中村さんが生前、なにかに書かれた文章の中の、

「このごろのわれわれ夫婦は、老眼鏡を探し出すのに、二人がかりで一日をついやしているようなありさまです」という一節をいまも覚えている。

 当時、こちらもそろそろ老眼鏡世代に差しかかっていたので、印象深く、頭に残ったのだろう。

 確かに老眼鏡というものは、家の中でちょいちょい姿を隠したがる性質を有している。

 むろん責任はメガネにあるのではない。

 人間が置き忘れるのである。

 わかり切ったことだ。

 それに気づいたので、「眼鏡定点配置法」を実施することとした。

 ちょっと度が合わなくなったやつや、1個500円から3000円くらいの出来合いのものを、食卓、寝床の枕元(催眠読書用)、電話台、トイレ(ベン学読書に不可欠)、浴室(半身浴中、週刊誌を読む)などに定置して、ほかへは動かさないことにした。

 以来、トラブルの発生は激減したが、ときたま、最も必要度の高い仕事用のやつが行方不明になり、小さな家のなかを血眼で探し回ることがある。

 駄文製造中、なにかのことで眼鏡をかけたまま机を離れ、どこかでひょいと無意識に外して、そのまま置き去りにしてしまうのが原因のようだ。

 どうも、こればかりは防ぎようがなく、それだけに無事発見したときの、ヨロコビ、ウレシサ、といったらない。

 *

 さて、7月半ばに開店した当ブログ。

 写真も、絵も、ない。

 珍談、奇談も、ない。

 裏町の小さなめし屋の一品料理のような話をほそぼそと書き続けてきたが、どうにか大晦日を迎えることができた。

 こんな地味な字面のページを、どこのどなたかは存じ上げないが、毎日、しっかり読んでくださるかたもおられるようで、日々の励みになりました。

 心からお礼を申し上げます。

 *

 もう一度、さて──。

 この一年はじつに長くて重たかった。

 苦労は来年も続くだろうが、せいぜいがんばって生きようとおもう。

 何を言うか!

 新聞を見よ。

 死者1万5844人、行方不明3451人(30日、警察庁まとめ)。

 避難者33万4786人(東日本大震災復興対策本部・12月15日現在)。

 お前の苦労など、物の数ではない!

 ゼイタク言っちゃいけないよ。

 自分を叱りつけたい。

 どちらさまも、よいお年を! 


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健康人の死

 ことしも親しい友人や知人を失った。

 至近弾ひんぴん......。

 とりもなおさず、自分にもその日が近いということだ。

 倒れて2日目に逝かれた方がある。

 「あんなにお元気だったのに......」という言葉が通夜の席に満ちた。

 すべての突然死に共通してみられる特徴が、この普段の元気さだ。

 逆にいえば元気だからこそ突然死するのだ。

 病気療養中の人が卒然と去っても、突然死とはいわない。

(注・突然死の医学的定義は「発症から死亡までの時間が24時間以内の病死」)。

 突然死の原因の大半は心筋梗塞と脳卒中だが、その背景には多くの場合、過労がある。

 労働医学では、1日の労働時間が10時間を超えると、職業性疲労を増し、慢性的な蓄積疲労(翌日に持ち越される疲労)を強めることが知られている。

 その状態が続いていると1日ごとに心身のエントロピー(不可逆的な劣化現象)が増大される。

 その究極に過労死があるわけだ。

 過労死を防ぐ方法は、ただ一つ。

 疲れたと思ったら休むことだ。

 たっぷり眠ることだ。

 過労すなわち睡眠不足。

 過労死は睡眠不足死といってもいい。

 毎日少なくとも6時間は眠ろう。


ポンカン効果

 同病(前立腺がん)の先輩、杉原輝雄プロが亡くなった。

 杉原さんの前立腺がんは1997年12月にわかった。

 闘病14年、「生涯現役」を貫いた。

 当方が、がんの告知を受けたのは、12年前の99年10月。

 以来、ずっと杉原さんの背中を見るような気持ちを持ちつづけてきた。

 心強い先導者だった。

 感謝の念をこめてご冥福をお祈りする。

 *

 ふるさと屋久島から相次いでポンカンが届いた。

 旧友(小学校の同級生)羽生一馬と、生家の寺(浄土真宗本願寺派普晃寺)の住職、釈恵信尼こと従妹の「絹代ちゃん」からである。

 このところちとハラの立つことがあり、ユーウツだったが、友の情、血縁の情にカンゲキし、香りの高い果実を口に入れたら、気分がすっきり晴れた。

 われながら単純な性格だと思う。

 神経薬物学の研究者からの受け売りだが、うつ病には天然のかんきつ香料がよく効く。

 抗うつ薬と香り療法を併用した著効例があるそうだ。

 ミカンなどかんきつ類の栄養特性は、ビタミンCと食物繊維が豊富なことだろう。

 ビタミンCは、皮膚や筋肉や血管を構成するコラーゲンの生成に欠かせない。

 欠乏すると、そうした組織が壊れて壊血病になる。

 また、体の中で過酸化脂質ができるのも、ビタミンCは防ぐ。

 過酸化脂質は「体のサビ」といわれ、がん、動脈硬化、糖尿病などの引き金になる。

 ビタミンCをよく取っていれば風邪を引かないと、自分の体験に基づいて主張したのは、ノーベル賞を2度受賞した(化学賞と平和賞)、ライナス・ポーリングだ。

 インフルエンザがはやっている。

 ミカンを食べて、風邪を防ごう!


 ミカンの小袋

 ミカンには食物繊維が豊富だ。

 食物繊維にはいろいろな種類があるが、大別すると、セルロースなどの不溶性繊維と、ペクチンなどの水溶性繊維の二つになる。

 前者は便通をよくし、後者は血液中のコレステロールを減らすのが、最大の働きだ。

 ミカンの果肉は天然の食品中で最も多くペクチンを含み、小袋はセルロースそのものだ。

 すなわちミカンを袋ごと食べれば、ビタミンC、ペクチン、セルロースを一緒に取ることができ、それらの総合的作用が得られる。

 肌がきれいになり、風邪もひきにくく、高コレステロール血症を改善し、便秘を防ぎ・治す効果が期待できる。

 よくかんで食べれば脳も刺激され活性化するだろう。

 果物をよく食べる人は脳梗塞(こうそく)になりにくい。

 最高で31%、脳梗塞の発症を防ぐ効果が得られたという。

 米ハーバード大の研究チームが、10万人を超える人たちを、8年~14年かけて追跡したデータだ。

 米国の調査だからかんきつ類はオレンジとグレープフルーツだが、日本のミカンにも当てはまるだろう。


長寿と肉食

 90歳以上を見事に生きた「怪物」たちは肉が大好きだった。

「実は私も肉が大好きなのである。

 百まで生きたらどうしよう」という瀬戸内寂聴さんのユーモアに笑わせてもらい、

「松崎先生がこれを読んだら大喜びしただろうな」とも思った。

 松崎俊久氏は、東京都老人総合研究所疫学研究室長、琉球大学医学部保健学科教授のあと民主党参議院議員になった。(2004年死去)

 「老化と寿命に関する総合的長期追跡研究」をライフワークとしたこの人の持論の一つが「肉食長命・粗食短命」説だった。

 松崎先生らは、東京都小金井市などで、多くの老人たちを10数年間、追跡調査した。

 それによると、ある種の信念によって、あるいは医師の指示によって、肉や魚をほとんどまったく食べないような食生活をしていた人たちが、最も早く亡くなったり、あるいは体力が弱って働けなくなったりしている。

 肉も魚もよく食べる、牛乳もよく飲む―という人たちが、いちばん元気で長生きしていることがわかった。

 昔のじいさん、ばあさん――70過ぎの日本人―─は、たいてい腰が曲がっていた。

 顔はしわだらけだった。

 しかし、いまはめったにそんな人は見かけない。

 いまの日本人は寿命が延びただけではなく、若々しい。

 これは労働形態が変わり、昔のように腰をかがめて長時間の農作業をするといったことがなくなったからでもあるだろう。

 しかし、最大の原因は食生活が豊かになり、栄養がよくなったからだ。

 明治末期、日本人の動物性たんぱく質の1日平均摂取量は3グラムだった。

 いまは45グラム。これが若さの最大原因だ。

 明治以来、日本人の食事の、1日約2000キロカロリーというエネルギー摂取量は(戦中戦後の食糧難時代を除いて)それほど変わってない。

 変わったのはそのエネルギー構成の内容だ。

 明治の末期、日本人は1日平均で動物性たんぱく質を3グラム(12キロカロリー)、脂肪を13グラム(117キロカロリー)しかとってなかった。

 両方合わせてたった129キロカロリーだ。

 あとの大半のカロリーは、大豆などの植物性たんぱく質がいくらかあったにせよ、米、麦、イモ類などの炭水化物(でんぷんや糖質)で補っていたわけだ。

 現在の日本人の動物性たんぱく質の摂取量は1日約45グラム(明治時代の15倍)、脂肪は58グラム(同4・5倍)だ。

 早くいえば肉や魚を15倍多く食べるようになったおかげで体格がよくなり、寿命が延び、腰が曲がらず、しわくちゃにもならなくなったのだ。

 東京都健康長寿医療センター長の井藤英喜先生も、こう話している。

「たんぱく質のとり過ぎはよくないとされていますが、高齢者へのたんぱく質制限は、長寿には結びつかないことが分かってきました。

 高齢者では、筋肉の減少が大きな問題になります。

 たんぱく質は筋肉減少の防止に大いに役立ちますから、十分に摂取することが大切です」

 同センターの元副所長で、現桜美林大学の柴田博・教授(老年学)も、

肉こそ長寿の秘訣」と強調する。

 年をとっても体は新陳代謝をするので、体内では合成できない必須アミノ酸を含む動物性たんぱく質が欠かせない。

 年をとればたんぱく質の合成能力そのものも落ちるので、肉をきちんと食べる必要がある。

 1日1300キロカロリーという少食の日野原重明先生100歳もりっぱな〝肉食系〟。

 多彩なメニューの夕食の一品は必ずステーキとかハンバーグなど肉料理だ。

「80代でなお元気盛んな人は、70代のときよりも1週間に肉を食べる回数が、むしろ多くなっています」と柴田教授は話している。

 元気で若々しくありたいと思うのなら、肉も魚も卵も、そしてもちろん野菜もバランスよく食べるべきだ。

 ただし、脂肪のとりすぎは動脈硬化のもと。 
 そのことだけはよくよく注意が必要だ。


老年の輝き

 北の被災地を巡り歩き、慰め・励ましの「青空説法」をなさっている瀬戸内寂聴さんをテレビで見て、感動し、感嘆した。

 その限りなく優しい包容力と、おどろくべき若い活動力に──。

 ひと昔以上も前、70代半ばだったころの瀬戸内さんに、「長命の怪物たち」なるエッセイがある。

 社会主義者の荒畑寒村、小説家の里見弴(とん)と宇野千代、ロシア文学者の湯浅芳子、仏文学者の河盛好蔵、俳人の鈴木真砂女、そして財界人の江戸英雄という「九十歳以上を見事に生きられた諸先輩」の「すばらしい老年の輝き」を述べた一文だ。(雑誌『波』1997年12月号所載)

 なかに次のような叙述がある。

「九十すぎた長命の方は、なぜか、九十三、四で享年を迎えるようだ。

 そこを過ぎればまた百近くまで生命が延びるサイクルになっているのだろうか。

 里見先生が九十四、宇野さんが九十八、湯浅さんが九十四であった。

 どなたも実にユニークで豊かな生を見事に生きられた大往生であった」

 同年11月(このエッセイの掲載誌が発刊された月)に亡くなった江戸氏の享年は九十四。

 このとき九十五歳の河盛氏は「頭脳の明晰(めいせき)さ感受性の豊かさは三十代でも及ばないほど」で、鈴木さんは「九十一歳とは信じられない若さと美しさ」。

 お二人とも「百まで生きるとおっしゃった」とあり、

今生のいまが倖せ衣被(きぬかつぎ) 真砂女」が、鈴木さんの毎日の心境だと記されている。

 注のかたちでつけ加えると、お二人とも2003年3月に他界。

 河盛先生は公約?どおり101歳、鈴木さんはわずかに及ばず97歳であった。

 90歳以上を見事に生きた7人の老年をいきいきと描出した、瀬戸内さんのその文章は、こう結ばれている。

「この人々は、やはり揃って怪物と呼びたい。

 ただ生きるだけではなく、死ぬ日まで、現役でありつづけるということが怪物の第一条件であろう。

 この中の五人までが肉が大好物でいらっしゃる。

 ああ恐ろしい。

 実は私も肉が大好きなのである。

 百まで生きたらどうしよう」

 読んで、思わず声を発して笑った。

 大正11年5月生まれの瀬戸内さんは、もうすぐ年が明けると半年足らずで卆寿の90歳を迎える。

 となれば、ご自分がお書きになったようにきっと93、94を過ぎて、100まで天寿を延ばされるにちがいない。

 さあ、どうなさいますか? 瀬戸内さん。


叱らないで!

 冬は汗の量が減るのと、寒冷刺激のせいでトイレが近くなる。

 子供のおねしょがふえるのも、この季節である。

 寒い夜ふけに失敗してしまったときほど、つらく、情けないことはない(身に覚えがある)。

 おねしょを治すための、最もだいじなお母さんの心がけは、熟睡している子を起こして無理やり排尿させないことだと小児科医が注意している。

 子供は夢うつつでモウロウとしているときに放尿する感覚をおぼえて、寝床の中でも同じことをやるようになる。

 おねしょを治そうとして、おねしょの練習をさせているようなものだ。

 おねしょをしても、決して叱ってはいけない。

 自分の意思ではどうにもならないことで、叱られるのは不当である。

 ほかの兄弟にも秘密にしてやる。

 子供に劣等感や不安感をもたせると、よけいおねしょがひどくなる。

 夕食後、飲み物や果物などを控えさせるのはいいが、絶対に与えないという厳格さはよくない。

 おねしょ対処の三原則は、

「焦らず、怒らず、起こさず」である。

 多くの子どものおねしょは5、6歳ごろまでに自然に治る。

 5、6歳過ぎても、毎晩のようにおねしょが続く場合を夜尿症という。

 近年は夜尿症に詳しい小児科医がふえてきたが、まずいちばんに指を折るべき専門医は赤司俊二先生だろう。

 先生は、小児の腎臓病が専門だったので、尿関係の診察全般を行ううち、夜尿症の深刻な実態を知り、

「一般論として<そのうち治る>ではなく、医者だったら医者らしく<こうすれば早く治る>と、具体的な方法を教えてあげたい」
 と、夜尿症の研究と臨床に取り組み、埼玉県立小児医療センター院長を定年前に退職、夜尿症を中心とした診療所(新都心こどもクリニック=さいたま市大宮区)を開設した。

 日本夜尿症学会理事長でもある赤司先生のご本『夜尿症─その正しい理解のために─』(悠飛社=1400円+税)は、夜尿の仕組みと治療法を詳しくわかりやすく説いた最上の解説書である。

 夜尿症の子どもをもつお母さん、成人したいまも夜尿に悩む人が読めば、すぐに役立つ明るい力づよい助言が得られるだろう。

 夜尿の相談を受ける小児科や泌尿器科の先生たちも、ぜひ読んでほしいと思う。



寝具の健康学

 寝床内気候

 冬の夜、ふんわりとした布団にぬくぬくとくるまる。

 心が安らぎ、なんともいえずいい気持ちだ。

 こんなことで幸せな気分になるのだから、われながら安上がりな人間だと思う。

 寝具の中で、体のまわりにできる空間の温度や湿度を、専門語では「寝床内気候」というそうだ。

 深くよく眠れる快適な寝床内気候は、温度32度前後(体温より4、5度低温)で、湿度50%前後とされている。

 よい睡眠の得られる布団の条件は、

 1 寝ついてからなるべく早く最適の寝床内温度に達し、それ以上は高くならない。

 2 吸湿性、放湿性が高く、50%の湿度を保つということになる。

 この条件に最適の布団はどんなものか?

 ある寝具メーカーは、敷き布団としては羊毛が、掛け布団には羽毛がベストだ、といっている。

 しかし、腰痛予防のためには、やや硬めのマットレスがよいと、整形外科医は言うし、羽毛には値段がはるという欠点?がある。

 綿の布団への愛着も捨てがたい。

 このごろは、羽毛の性能に近づけた化繊の布団もあるようだ。


 敷き布団と腰痛

 敷き布団は、あまりふかふかと軟らかすぎる過ぎるものは、よくない。

 寝るときも、直立したときの背骨の曲り具合(生理的湾曲)と同じ状態を保つのが、腰に最もよい、楽な姿勢だと腰痛治療の専門医は言う。

 軟らかすぎる敷き布団やベッドだと、あお向けに寝たとき、最も重力がかかる胸部とおしりがW字形に落ち込み、安眠を妨げる。

 眠っていても、無意識のうちに正しい姿勢にしようと筋肉を動かすので、疲れてしまうし、腰痛の原因をつくることにもなる。

 十分、熟睡できなければ脳の疲れもとれない。

 敷き布団やベッドの硬さは、寝たときにしりが2センチほど沈むくらいのものがちょうどよい。

 硬ければいいだろうと、板の間(は古いな。フローリングか)などに寝たのでは逆効果。

 保温性、通気性、吸湿性、肌ざわり、寝心地のよさ......といった条件を備えた寝具を用いるべきだ。

 寝具メーカーによれば、「日本人は外国人と違って硬めのベッドを好む。

 敷き布団も体がもぐり込むようなふかふかしたものは受けてない」そうだ。

 この日本人好みの寝具の選択は、健康学の見地からも正しい。


 掛け布団と血圧

 一般に布団は厚さが厚いほど保温性が高まるだろうと考えられている。

 しかしある実験データによると、厚さ6センチ以上の布団では、保温性に大きな差はなかったという。

 布団が厚くなれば、それだけ重くなるのが普通だが、毎晩重い布団をかけて寝ていると、血圧が高くなりやすいことがわかっている。

 重い布団をかけると、全身、とりわけ胸部に対する圧迫が軽い布団よりも強くなり、当然、胸郭内の圧力が高まる。

 そのため呼吸のいきみが強くなるから血圧が上がるし、脳圧も高くなるといわれる。

 なるべく部屋全体を暖めるとか、電気毛布や湯たんぽなどを用い、重い布団はやめるほうがよい。

 ただし電気毛布のように全身をおおう保温器具は、体の水分を発散させやすい。

 高血圧ぎみで、動脈硬化も進んでいる中高年者が、睡眠中に汗をかくのはよくない。

(それでなくても、睡眠中はだれでもコップ一杯分くらいは気づかない発汗=不感蒸泄をしている)。

 電気毛布は体に直接かけないようにし、温度を低めに抑えて用いるなど、最小限の使用にとどめるほうがよい。


風邪小百科(2)

 風邪防止八カ条

 風邪をひくか、ひかないか。

 ひいても軽くすむか、すまないかは、主としてそのとき、その人のウイルスに対する抵抗力で決まる。

 人間と病原体の力関係である。

 宿主・寄生体関係(ホスト・パラサイト・リレーションズ)という。

 抵抗力の弱い人はひきやすく、こじらせやすい。

「私は医者になって50余年、風邪で寝込んだことがない」と話す人は、「星状神経節ブロック療法」で知られる若杉文吉・武蔵野病院名誉院長(85)。

 先生提唱の風邪をひかない8カ条──。

 1 睡眠をよくとる。 

 2 過労を避ける。

 3 栄養のバランスのよい食事を三食きちんと食べる。

 4 雨にぬれたり、湯ざめしたり、ひどく寒い目に遭わないようにする。

 5 外出時の保温(服装)に気を配る。

 6 外出から帰ったら、ぬるめの緑茶か紅茶で、のどの奥まで洗うようにうがいをする。

 7 手をよく洗う(風邪のウイルスは手からもうつる)。

 8 適度な精神的緊張を保つ(風邪の発症には精神的因子も影響する。

 過度に緊張したり、反対に気持ちの緩んだときは風邪をひきやすい)。

 どれも常識的な心得だが、それらをきちんと守る日常的習慣によって、80歳を超える現役医師の健康は保たれているのだろう。

 8カ条のなかで、その効果を特に記しておきたいのは、お茶のうがいだ。

 紅茶や緑茶に含まれる渋みの成分・カテキンには風邪のウイルスを殺す強力な作用があることが証明されている。

 つけ加えると、次のようなことも心がけよう。

 1 暖房している部屋は換気をこまめに行う。

 2 加湿器などで部屋の湿度を高くする。

 3 人込みを避ける。

 4 風邪をひいている人に近寄らない。

 5 食事ではとくにビタミンCとAを多く含んだ食品を多めにとる。

 普通、1回に食べる量でビタミンCを多く含むものはブロッコリー、カンキツ類、甘柿、ジャガイモ、芽キャベツ、ニラなど。

 ビタミンAを多く含むものは、ウナギ、レバー、コマツナ、ホウレンソウなどだ。

 年中風邪をひいている虚弱体質の人は、肝油などビタミンA製剤を飲めばいいが、飲み過ぎると過剰症を起こす。適量に――。


 風邪治療5カ条

 予防に万全をつくしても、風邪をひいてしまったらどうしたらよいか。

 風邪を早く治す5カ条。

 1 「ひいたな?」と感じたら一目散に帰宅して、暖かい部屋で体を温かくして、寝る。

 2 温かくて、栄養があって、消化がよく、汁気の多いもの(例えば鍋焼きうどん)を食べる。

 3 卵酒かアスピリンをのむ(風邪のひき始めには発汗療法が効果的。ただし、薬を飲むなら卵酒はやめる。両方一緒だと胃をやられる)。

 4 ときどき温かい湯を飲む(風邪をひくと熱は出るし、汗はかくし、どうしても体の水分が不足しがち。1回はしょうが湯にすればもっとよい)。

 5 のどに手ぬぐいかタオルを巻いて寝る(風邪をひいてないときも、これをやり、靴下をはいて寝るのが、わたしマルヤマの20数年来の習慣──冷えとり健康法だ)。

 なお、風邪の自己治療は3日まで。

 3日たっても治る気配がなかったら、医師に診てもらったほうがよい。

 最初から39度前後の熱が出た、せきをすると息苦しい、胸が痛い、頭痛がひどいといったときは、インフルエンザか他の病気(肺炎など)の恐れもある。

 すぐ受診を─―。

 乳幼児の風邪も早く小児科医に診てもらったほうがいい。


 風邪薬の飲み方

 風邪薬は、風邪の原因であるウイルスをたたくのではなく、症状をやわらげるための対症療法の薬なのだから「一日3回、食後服用」などと書いてあっても、そのとおり飲むことはない。

 熱が出たとか、せき、たん、鼻水などが出て気分が悪いといった症状が出てときだけ頓服(とんぷく)的に飲めばいいのだと、実地医家の会のリーダーだった浦田卓先生は話しておられた。

「風邪薬を飲んで熱が下がったけど、また上がるといけないからもう一服飲んでおこう―なんてまったくナンセンスです。風邪薬にはそんな予防効果はありません」と。


風邪小百科(1)

 インフルエンザ

 風邪のウイルスは細かく分類すれば200種類以上もある。

 インフルエンザウイルスもその中の一つだが、厚生労働省は毎冬、「インフルエンザは風邪ではない」とキャンペーンしている。

 風邪とインフルエンザ、どう違うのか。

 風邪の熱は37度ぐらいで、症状も軽い。

 インフルエンザはいきなり38度以上の熱が出て、のどの痛みやせき、頭痛、倦怠感、筋肉痛など激しい全身症状が出る。

 感染力も強い。

 高齢者は肺炎や気管支炎を併発しやすく、「生命の最後のともしびを消す病気」といわれる。

 乳幼児も気管支炎などになりやすく、死亡例は少ないが、ときに脳炎・脳症につながることがある。

「熱があってボーッとした感じ」は、注意信号だ。

 最善の予防策はワクチン。

 接種は12月半ばまでが原則だが、1月に入ってからでも効果は期待できるという。

 感染しても抗ウイルス薬(タミフル、リレンザ)がある。

 一時大騒ぎになったタミフル服用による異常行動は否定されたが、インフルエンザの子は一人にしない注意が必要だ。


 文明風邪

「子どもは風の子」というが「風邪の子」でもある。

 学齢前の幼児が年4、5回風邪をひくのはごく普通だが、このごろは10回以上もひく子がふえているそうだ。

 症状に特徴があり、寝入りばなや明け方など、決まった時間に激しくせいたり、鼻水、くしゃみが出るが、それ以外の時間はけろっとしている。

 熱は出ないことが多い。

 これは明らかにウイルスによる風邪とは違う。

 呼吸器系の自律神経失調症――いわば「文明風邪」だと、小児科医の久徳重盛先生は話した。

 こんなとき、普通の風邪だと思って、風呂にも入れず、厚着させて家に閉じ込めておくと、症状はいっそう悪くなる。

 本物のぜんそくになりかねないし、親が神経質だと、診療所が休みの土曜、日曜に決まって熱を出すという心因性発熱症になることもあるという。

 子どもが文明風邪にかかったら、これまでの育て方を反省し、生活をたて直せば、たいがい1カ月ぐらいで健康になる。

 原則は子どもが自然にやりたがることは、とくに危険がない限りやらせること。

 しかし、たとえば、厚着から薄着に急激に変えるとやはりよくないので、順を追って...。


 ヘンな風邪

「目と歯が痛くなったのでまず眼科へ行ったら、目はなんともないといわれた。

 歯科に行っても異常なし。

 結局、内科で風邪だということになった」

「わき腹の筋が痛くてたまらない。

 肝臓か膵臓の病気じゃないかと、気をもんだが、風邪だった」

 二人の知人からそんな話を聞いた。

 風邪の症状はじつにさまざまだ。

 嘔吐(おうと)や下痢などの胃腸症状が出ることもあるし、結膜炎による目の充血を起こすこともある。

 のどをやられると歯が痛む(ように錯覚する)こともある。

 呼吸器には、鼻やのどから入ってくる病原体に抵抗する防衛機能が備わっている。

 この抵抗力は過労や睡眠不足などによって低下する。

 疲れたときに人込みに出るのは、風邪にかかりに行くようなものだ。

 過労、寝不足が続いたら不急不要な外出はひかえ、ゆっくり体を休めよう。

 風邪でこわいのは肺炎の併発。

 健康を過信し、たかが風邪と無理をして、肺炎をひき起こし、手遅れになった人もいる。

 風邪のあとはほかの細菌にもおかされやすい。

 すっかり治しきることが大切だ。

 風邪の予防・治療の話は明日─。


皮膚のサプリ

 真皮の構造

 皮膚の健康を保つには、外から塗るだけでは足りない。

 食べて、体の中からも補わなければいけない。

 カギとなる物質が三つある。

 コラーゲンとエラスチンとヒアルロン酸だ。

 表皮の下にある真皮(いわば皮膚の本体)は、繊維状たんぱく質のコラーゲンとエラスチンが縦横に走り、その間を酸性ムコ多糖類(ムコ=粘液質)のヒアルロン酸が埋める構造になっている。

 コラーゲンは剛性のワイヤーのような繊維で、エラスチンは柔軟性のゴムのような繊維である。

 硬くて丈夫なコラーゲンとコラーゲンを、柔らかいエラスチンが結びつけることで、はじめて弾力性のある肌がつくられる。

 コラーゲンは真皮組織の約72%、エラスチンは約1.4%、その比はおよそ50:1である。

 このことについて、学術論文には次のように記述されている。

「コラーゲンと比較すると、エラスチンの量は少ないものの、エラスチンには皮膚の弾力性や肌のキメを維持し、ハリを保つ重要な働きがある。

 そのため、エラスチンが減少すると、肌のシワやたるみの原因となる」

(岡元孝二、柿野賢一他「エラスチン・コラーゲン併用摂取による肌質改善効果の検証」=『新薬と臨牀』2011年3月号)

 このコラーゲンとエラスチンの隙間を埋めて、水分をしっかりと保ってくれるのが、ヒアルロン酸だ。

 ヒアルロン酸の保水力はとても高い。

 だが、体内のヒアルロン酸は、加齢とともに減少し、20歳のときに比べると40歳では半分、60歳では4分の1まで減る。

 で、肌にうるおいと弾力がなくなり、しわが増えてくる。

 ちなみに、化粧品に配合されているヒアルロン酸は、皮膚の中には浸透しないが、皮膚表面の保湿の役割を果たす。

 つまり、みずみずしく、つやのある若い肌を保つには、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸のどれが欠けても十分ではない。


 エラスチン効果

 美肌づくりのためのコラーゲンの効果は、よく知られている。

 上記論文の共同研究者の一人、柿野賢一先生(九州大学大学院予防医学分野/健康栄養評価センター)は、こう話している。

「個人差はありますが、コラーゲンは、ちゃんと効果の期待できる素材です。

 健康食品のなかでも、消費者の理解度が最も高い一つであるのは、理屈抜きに効果が体感しやすいからでしょう。

 実際、サプリメントでなくても、豚足や手羽先など、コラーゲンの豊富な食品をとったあと、お肌の調子が上向いてきたという体験をされている人は多いでしょう。

 このコラーゲンの効果をさらに高める方法があります。

 エラスチンを同時に摂ることです。

 エラスチンという名前は、英語の{elastic=伸縮自在の、しなやかな、弾力性のある}に由来するものです。

 名のとおり、お肌にしなやかな弾力を与える役割を担っています。

 健康な真皮にはコラーゲンとエラスチンがおよそ約50対1の割合で存在しています。

 ですから食品として摂るときも、その割合で摂るのが理想的です。」

(「お肌のアンチ・エイジングに新事実」=『絆』vol.30:株式会社心美寿有夢2011年11月発行)

 一方、ヒアルロン酸も、近年わりあいよく知られるようになった。

 皮膚で減ってしまったヒアルロン酸を補給する、「食べるヒアルロン酸」の効果が確かめられ、いくつも発売されている。

 ただ一つ、まだあまり知られていない、美容の専門家のあいだでもややなおざりにされた感があるのが、エラスチンだ。

 そのエラスチンの効果を確かめる共同研究を、バイタルリソース応用研究所、九州大学大学院医学研究院、TESホールディングス、トーシン、鹿児島大学大学院理工学研究科、ふる里食効研究所、九州工業大学などの7人の研究者は行った。

『新薬と臨牀』誌所載の論文のなかの、素人にもわかるごく一部分を引用させていただく。

「生体内ではエラスチンは線維として存在するが、その線維の形成が抑制されると、エラスチン線維は次第に細くなって断裂し、皮膚は弾力性を失って、いわゆるシワが生ずる」

「40歳以上60歳未満の日本人の女性16名を8名ずつの2群に分け、A群にはエラスチン+コラーゲン含有食品を、B群にはコラーゲン単独含有食品を8週間連続摂取してもらい、摂取前と摂取後の肌の3Dレプリカ解析(頬のキメ、目じりのシワ)、皮膚の水分量・水分蒸発量・粘弾性の各測定を行い、被験者日記、アンケートの調査結果を総合して評価を行った」

「本試験は、外気の温度が低下し、空気が乾燥する、秋から冬にかけて実施した」

「肌のキメやハリが悪化する時期に行ったために、B群では予想したほどの改善は認められなかった」

「これに対し、A群ではキメ、シワ、いずれも明らかな肌質改善効果が認められた」

「一般的に秋から冬にかけては、乾燥により肌の状態は悪化する。

 この時期のスキンケアは保湿が中心となる。

 このことからエラスチン+コラーゲン含有食品は、皮膚の器質的改善だけではなく、機能的な肌質改善効果を有している可能性が考えられる」

「以上のことから、エラスチンとコラーゲンの併用摂取は、コラーゲン単独摂取の場合と比較して、二つの成分の相互作用により肌質を改善する効果を発揮し、特にキメやシワに対する改善効果に優れていると考えられる」

 つまり、若々しい健やかな肌を保つには、コラーゲンだけではダメだ、エラスチンを忘れるな、と言っているのである。
 

 Silkista(シルキスタ) 

さて、というところで、この秋、新発売の画期的な美肌サプリをご紹介したい。

 エラスチンとコラーゲンを、健康な人の皮膚と同じ1:50のバランスで配合、もう一つ皮膚に不可欠の保湿成分、ヒアルロン酸を加えて、三位一体とした製品である。

 それだけではない。

 体内でたんぱく質と糖が結びついて起こる化学反応(糖化)によって、皮膚のコラーゲンが茶色っぽく変色する現象(しみ、くすみ)を防ぐ紫菊花

 皮膚の水分の蒸発を防ぐバリア機能をもつ脂質のセラミド

 メラニンの生成(くすみ)を抑える〝抵抗活力アミノ酸〟のL-シスチン──を配合したいわば「美肌総合剤」である。

 商品名は「エラスチン&コラーゲン Silkista(シルキスタ)」。

 サプリメントメーカーの心美寿有夢がつくった。

 スティブ・ジョブズを熱読する印藤晴子社長が、最も心に残っているジョブズの言葉は、
「自分の商品に対して、いちばん厳しい消費者であれ」だという。



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