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老年の輝き

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 北の被災地を巡り歩き、慰め・励ましの「青空説法」をなさっている瀬戸内寂聴さんをテレビで見て、感動し、感嘆した。

 その限りなく優しい包容力と、おどろくべき若い活動力に──。

 ひと昔以上も前、70代半ばだったころの瀬戸内さんに、「長命の怪物たち」なるエッセイがある。

 社会主義者の荒畑寒村、小説家の里見弴(とん)と宇野千代、ロシア文学者の湯浅芳子、仏文学者の河盛好蔵、俳人の鈴木真砂女、そして財界人の江戸英雄という「九十歳以上を見事に生きられた諸先輩」の「すばらしい老年の輝き」を述べた一文だ。(雑誌『波』1997年12月号所載)

 なかに次のような叙述がある。

「九十すぎた長命の方は、なぜか、九十三、四で享年を迎えるようだ。

 そこを過ぎればまた百近くまで生命が延びるサイクルになっているのだろうか。

 里見先生が九十四、宇野さんが九十八、湯浅さんが九十四であった。

 どなたも実にユニークで豊かな生を見事に生きられた大往生であった」

 同年11月(このエッセイの掲載誌が発刊された月)に亡くなった江戸氏の享年は九十四。

 このとき九十五歳の河盛氏は「頭脳の明晰(めいせき)さ感受性の豊かさは三十代でも及ばないほど」で、鈴木さんは「九十一歳とは信じられない若さと美しさ」。

 お二人とも「百まで生きるとおっしゃった」とあり、

今生のいまが倖せ衣被(きぬかつぎ) 真砂女」が、鈴木さんの毎日の心境だと記されている。

 注のかたちでつけ加えると、お二人とも2003年3月に他界。

 河盛先生は公約?どおり101歳、鈴木さんはわずかに及ばず97歳であった。

 90歳以上を見事に生きた7人の老年をいきいきと描出した、瀬戸内さんのその文章は、こう結ばれている。

「この人々は、やはり揃って怪物と呼びたい。

 ただ生きるだけではなく、死ぬ日まで、現役でありつづけるということが怪物の第一条件であろう。

 この中の五人までが肉が大好物でいらっしゃる。

 ああ恐ろしい。

 実は私も肉が大好きなのである。

 百まで生きたらどうしよう」

 読んで、思わず声を発して笑った。

 大正11年5月生まれの瀬戸内さんは、もうすぐ年が明けると半年足らずで卆寿の90歳を迎える。

 となれば、ご自分がお書きになったようにきっと93、94を過ぎて、100まで天寿を延ばされるにちがいない。

 さあ、どうなさいますか? 瀬戸内さん。

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