暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

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運動

「スポーツは体にわるい」?

◎過激な運動後の「オープンウィンドウ」

絶好の運動日和がつづいている。

にわかスポーツマンがどっとふえる季節だが、はまり過ぎちゃいけませんよ。

過激な運動のあとには免疫力が低下し、感染症にかかりやすいことがわかっているからだ。

アスリートが意外に風邪を引きやすかったり、だいじな試合の前に体調を崩したりしがちなのは、よく聞く話である。

なぜか? 

運動免疫学の専門家の説明は、こうだ。

激しい運動のあと、血液中の物質を測ると、「IgG値」と「NK細胞」の活性度が低下し、「インターロイキン6」がふえている。

IgGは、体内に侵入した抗原(病原体やウイルス・細菌など)に対する抗体として働く5種類の免疫グロブリン(Ig)のうちいちばん多いグロブリン(単純たんぱく質)だ。

NK(ナチュラルキラー)細胞は、白血球の一種のリンパ球の15~20%を占める細胞。

体のおまわりさんのようなもので、体内をいつもくまなくパトロールして、がん細胞の芽やさまざまなウイルスに感染した細胞をやっつけている。

NK活性が低下すると、感染症やがんにかかりやすくなる。

インターロイキン6(IL-6)は、免疫にかかわるたんぱく質=サイトカインの一種。免疫を抑制し、炎症を引き起こすので炎症性サイトカインと呼ばれる。

通常の状態ではIL-6はほとんど検出されないが、フルマラソンのあとの血液中では約100倍もふえることがあり、関節リウマチ患者の関節液中には著しく増加する。

IL-6の激増は、生体が酷使されていることの証拠といえる。

過激な運動のあとで生じるこうした血中物質の変動によって、免疫のはたらきが数時間から数日、一過性に低下した状態を「オープンウィンドウ」と呼ぶ。

感染症などに「窓を開けた」状態というわけだ。

実際、マラソンのあと参加選手の多くに風邪の症状がみられたり、感染症にかかるリスクが高まったりすることは、内外の研究報告でも確かめられている。

そうした過激な運動を長く続けていると、当然、寿命にも影響する。


◎体育系0Bは短命

こんな調査研究がある。

体育学部をもつある国立大学の卒業生の110年間の死亡者のなかから、生年と没年の明白な3113人を抽出し(戦死・戦病死、事故死などを除き)、体育系、文科系、理科系に分けてそれぞれの平均寿命を算出した。

結果、体育系=60.6歳、文科系=66.8歳、理科系=66.1歳だった。

「直接の死因についての資料はなかったが、体に重い負荷のかかる激しい運動を、長期にわたって続けた体育系卒業者が、他のグループに比べて短命なのは明らか」と、調査を行った研究者は話している。

なぜ、激しい運動が寿命を縮めるのか。

「ひとことでいってしまえば、運動によって酸素の消費量が増え、それにつれて体内に『活性酸素』と呼ばれる猛烈な毒が発生し、生体を傷つけることと、運動がストレスになることである」

基礎運動科学が専門の加藤邦彦・理愽(東京大学理学部)は、著書『スポーツは体にわるい』(カッパサイエンス=光文社)にそう記している。

同書には、運動量の増大によって生じる活性酸素が、老化・短命を促進すること、スポーツがストレスであること―が、多くの研究実験をもとに詳しく明快に説かれている。

過激な運動が健康長寿の妨害因子であることに異論を差しはさむ余地はないようだ。

反面、適度な運動が、免疫力を高め、感染症のリスクを減弱し、生活習慣病を防ぎ、健康寿命を延ばす大きな要因であることも事実である。


◎WHO推奨の「ニコニコペース」

では、「適度な運動」とは?

自分が出せる最大限の力(最大運動強度)の半分ぐらいの「ニコニコペース」が、よい。

それだと、筋肉のエネルギー源である乳酸の生成と酸素の供給のバランスがとれて、らくらく続けられる。

楽しく体を動かすと、エンドルフィンという快感ホルモンが脳内から分泌され、NK細胞の活性が上がる。

健康のための運動は無理せず楽しくやるに限る。

なお、「ニコニコペース」の運動は「荒川方式(アラカワメソッド)」と呼ばれ、WHO(世界保健機構)が推奨している。


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「乳酸=疲労物質」は前時代的誤解

◎運動後の筋肉痛

運動などで激しく体を動かしていると、血液のなかに乳酸がふえてくる。

その現象が実験的に確かめられてわかったのは、100年も前のことである。

以来、乳酸の血中濃度が高まるのが疲労の原因―とされてきた。

「運動がある強度に達すると、乳酸がふえ始める。

エネルギーとして使う糖質が不完全燃焼するためである。

糖質の燃えカス・老廃物の乳酸が血液中に増加することが、肉体疲労の原因であり、運動後に起こる筋肉痛も乳酸蓄積が原因である」

─というのが、一昔前までの生理学の学説で、高校の保健体育の教科書にも載っていた。

乳酸=疲労物質説はよく知られた健康常識だったから、いまでもそう信じている人が少なくない。

そう言ったり、書いたりしているコメントに接することも、ままある。

だが、近年の運動生理・生化学的研究によって、乳酸=疲労物質説は完全に否定された。



◎乳酸はエネルギー源

乳酸は老廃物どころか、体の有効なエネルギー源なのだという。

エネルギーは、細胞のミトコンドリアで糖や脂肪から合成される。

このとき糖の分解によって乳酸ができる。

急激な運動をすると、糖の分解が活発化してさらに多くの乳酸ができる(乳酸の血中濃度が高まる)。

運動に用いる筋肉には、無酸素で瞬発力を生み出すが、持久力のない「速筋」と、瞬発力はないが、酸素を消費して持久力を生み出す「遅筋」がある。

乳酸をエネルギー源として利用するしくみをもつのは遅筋のほうで、乳酸の生成と酸素の供給のバランスがとれていれば、運動は楽に続けられる。

ウォーキングなどの有酸素運動がそれだ。

だが、酸素の供給が間に合わないと、使われない乳酸が血液中にふえてくる。

持久力が失われる。

一方、速筋は、糖質からエネルギーを取り出して乳酸を作りだすのに、酸素を必要としないしくみになっている。

いつでもすぐ発動できる(瞬発力を作り出す)が持久力はない。

激しい筋肉運動が長続きしないのは、そのためだ。


◎ニコニコペースのメカニズム

高血圧の運動療法は、運動強度を最大酸素摂取量の50%に保ちながら行うと、最も効果的であることが実証されている。

WHO(世界保健機関)も推奨するその「アラカワ・メソッド」について、提唱者の荒川規矩男・福岡大学医学部名誉教授はこう話している。

「体内に必要なだけ酸素があれば、運動で使われる糖分は完全燃焼し、乳酸はできません。

つまり軽い運動をやっている間は血液中の乳酸はふえないのです。

ところが、運動がある強度を超えると、急に乳酸がふえ始めます。

それが最大酸素摂取量の50%を超えたあたりなのです。

裏返せば、最大酸素摂取量の50%以下であれば、〈疲労物質〉といわれる乳酸が血液中に蓄積されず、楽に運動を続けられるわけです。私たちは、それを〈ニコニコペース〉と呼んでいます。」(『名医が治す』マキノ出版刊)

「運動が最大酸素摂取量の50%を超えると乳酸がふえ始める」のも、

「最大酸素摂取量の50%以下の運動であれば楽に運動を続けられる」のも事実だが、

それは、「疲労物質といわれる乳酸が血液中に蓄積されない」からではなく、血液中の乳酸の生成と消費がスムーズに行われているからなのである。

話はまったく逆だったのだ。

言い換えると、乳酸がたまるから疲労するのではなくて、疲労した体には乳酸がたまっている。

乳酸は疲労の原因ではなく、結果なのである。

「乳酸が疲労物質なら運動後もずっと残っているはず。

でも実際は運動から1時間もすれば元のレベルに戻ってしまう。

疲労物質ではない何よりの証拠。疲労はもっと複合的な要素で起こる」

と、「乳酸代謝・運動と疲労」を研究テーマとする、八田秀雄・東京大大学院教授。


◎乳酸と乳酸菌

ちなみに、「乳酸」という名称は、牛乳などの糖質を発酵させてチーズやヨーグルトを作るさいに生じ、「酸味」をもつ物質であることに由来する。

人の体のなかでできる乳酸は、乳酸菌とは関係なく、前に記したように、細胞でエネルギーが生成されるとき、糖質が分解されて生じる。

人の体内の乳酸菌は、ご存じのとおり腸内の善玉菌の最も代表的な一つで、免疫力を高めるなどさまざまに有用なはたらきをしてくれる。


空腹の運動生理学

運動持続と血糖の関係

〈腹が減っては軍(いくさ)はできぬ 空腹では活動ができない=『広辞苑』〉。

東京大学教養学部の宮下充正教授(当時。運動生理学)は、そのことを実験的に証明した。

若い元気な男性が、朝飯抜きで、息がちょっとはずみ、胸がわずかにドキドキする程度の軽い運動をやったとき、血液中の糖分の数値=血糖値が、どのように変わっていくかを調べた。

血液中の糖分(ブドウ糖)は、運動のエネルギー源となる物質で、空腹時の血糖値の正常値は80~100㍉㌘(血液1㌥㍑中)とされている。

詳しいデータは省略するが、運動開始から60分後には、血糖値が70㍉㌘に減った。

さらに90~120分後には60㍉㌘に下がった。

そして、60㍉㌘を境目としてそれ以下になると、運動を続けることができなくなった。

つまり、朝飯前の運動や仕事は1時間が限度─ということが、まずわかった。

そこで、次の実験として、血糖値が下がってきて、60㍉㌘近くになったとき、角砂糖を吸収しやすいように水に溶かして飲ませた。

すると、血糖値が上がり、元気が出て、運動を続けることができた。

だが、砂糖水を飲ませない(糖分を補給しない)と、血糖値はそのまま下がり続けて、60㍉㌘を切ると、「もうイヤです」と運動をやめてしまった。

体がへばるだけでなく、ヤル気もなくなったわけだ。

このように血糖値が下がってくると、体の働きが低下するだけではなく、脳の働きも低下する。

いや、体よりも先に脳がへばってくる。

体ではたんぱく質や脂肪もエネルギー源となるが、脳のエネルギー源となるのはブドウ糖だけだからだ。

ひどく疲れたとき、甘いものを口にすると元気がでるのは、血糖値が上がり、脳と体の働きが回復するからである。

会議などが長引いてだれてきたら(頭が疲れてきたら)、コーヒーや紅茶に少し多めに砂糖を入れて飲むとよい。

また、運動の前にとる食事も糖質の多いものがよい。

運動のエネルギーとして直接使われるのは糖分だけだからだ。

試合の2時間ぐらい前にごはん、もち、うどん、パン、ようかん、カステラなど、糖質たっぷりの食品を食べる。

肉や卵などを食べても、たんぱく質が分解されてエネルギー源となるのには時間がかかるので、即効性は得られない。

しかし、体を構成するのはたんぱく質なのだから、日常、肉や卵もしっかり食べなければいけない。

たんぱく質と糖質、脂肪の関係を車にたとえると、たんぱく質は車体やエンジンで、糖質と脂肪はガソリンである。

どれが欠けても車は走らない。


がんのリスク ウォーキングで低下

ウォーキングなどの運動を習慣として続けると、身体能力が向上する。

男性が40~50歳に運動をはじめると体力が向上し、20~30年後にがんを発症するリスクが低下する。米バーモント大学が1万3000人以上の男性を対象に行った研究で明らかになった。


体力レベル高い=がん発症リスク低い

ウォーキングなどの運動を続け体力が高まると心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが低くなることが、さまざまな研究で確かめられているが、運動はがん予防の効果も高める。

バーモント大学の研究には、46~50歳(研究開始当時)の1万3949人の男性が参加した。

研究チームは1971~2009年に、参加者に体力測定テストを受けてもらった。

トレッドミル(室内ランニグマシーン)で疲れるまで走ってもらい、心肺能力を測定し体力レベルを測った。

その後、がん検診を毎年受けてもらい、運動習慣や体力との関連を調べた。

1999~2009年に200人が肺がんと診断され、181人が大腸がんと診断された。

体力テストを実施した結果、体力レベルが上位40%の男性は、下位20%の男性に比べ、肺がんの発症リスクが55%低下し、大腸がんの発症リスクが44%低下することが明らかになった。

また、肺がんや大腸がんなどの診断を受けた男性でも、体力レベルが高いと、がんで死亡するリスクが32%低いことも明らかになった。

時速8kmの速度でウォーキングを続けていると、体力レベルは向上するという。

ウォーキングにランニング、水泳などを加えると、さらに効果的だ。


40歳過ぎたら運動を!

今回の研究では、40歳を過ぎたら運動を習慣として続け、体力レベルを向上させることが、20年後、30年後の健康に影響することが示唆された。

女性を対象とした過去の研究でも、運動を続けることで、乳がんや子宮がんの発症リスクが低下することが示されている。

がんを発症する原因のひとつとして、体内で増える活性酸素によって遺伝子が傷つけられることが考えられている。

運動を習慣として続けることで、その活性酸素から体を守る働きが高まることが知られている。

また、運動をすることで、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が改善することも、がんの予防につながる。

さらに、運動によって肥満が解消されると、体の炎症が抑えられ、がん細胞の発生や増殖を抑える免疫機能が高まると考えられている。

「がんを予防するために、体力を大きく向上させる必要はありませんが、運動は続けなければ効果を得られません。

ウォーキングなどの適度な運動を週に合計150分間以上(30分間の運動を週に5日以上)続けるべきです」と、研究チームのラコスキー氏は述べている。

(糖尿病ネットワーク┃メールマガジン●2015年11月号No.1)


秋山━登山心得


紅葉の季節。体力づくりやリフレッシュにもなる登山・トレッキング。

だが、山は、そこに立ち入るだけで脱水しやすい環境。秋の登山ならではの危険も潜んでいる。

山での環境リスクやその予防について、教えて!「かくれ脱水」委員会が、

同委員会の委員で国際山岳医の大城和恵医師(心臓血管センター北海道大野病院・付属駅前クリニック)と、

西村和隆・北海道警察山岳遭難救助隊の救助対策官のアドバイスをもとに、

「秋の登山を安全に楽しむための10ヵ条」を発表した。


秋の登山のリスク

「秋といっても登山では、汗をよくかきますし、高度が上がると、ハーハーと大きな呼吸になりやすいです。

吐いた息からも水分が逃げますので、脱水になりやすいといえます。

寒いと利尿作用も働き、山で活動することは季節に関わらず、脱水になりやすい環境。

脱水状態になると、心筋梗塞などを発症するリスクが高まります」

―と、大城医師。

「私たちが主に活動する北海道の山を例にすると、水場が限られた山が多いんです。

手つかずの自然の山が多い北海道では、山小屋があっても水を売っているわけではありません。お金を持っていてもしょうがない。

北海道に限らず、事前に登山予定の山のどこで水を手に入れられるか調べておかないと危険です。

秋の山登りでは、日没時間が早くなるので、水の確保は時間に余裕を持って行いましょう」


西村救助対策官の警告。

「山は、一回行ったときこうだったから次も大丈夫だということはありません。毎回、環境が違うということもあります。

山に登るさいは、もし、こうなったら、という最悪のケースも考えて準備をしていくというのも必要です」

「秋の山では道迷いがいちばん多く、紅葉の時期、紅葉を楽しみながら写真を撮ったりして歩くのは心地よいのですが、樹林帯の葉が落ちて、登山道を覆い尽くしてしまい、ルートを見失ってしまうということがあります。すると、急斜面に近づき、滑落してしまう事故も起こります。

もうひとつは、夏に比べて日没時間が早くなるため、何かアクシデントが起こったり、疲れてしまって行動が遅くなったりすると日没後に下山することになり、ヘッドライトのような照明器具を持っていない登山者は、周囲が暗くて登山道を見失い、その場から動けなくなって遭難してしまうということがあります。

天候や体調を鑑みて、途中で無理をしないで、最後まで山頂を目指すのではなく引き返すということも、選択肢としてもってほしい」


山での脱水サイン

水分補給についての大城医師のアドバイス。

「まず水分は登る前にしっかり摂っておくこと。

それから、朝1回おしっこをして、登る前にもう1回おしっこが出れば、カラダに水分が循環している。それがカラダの出発準備が整ったということです。

そのためには、朝最低500mlは飲まないといけません。

少し塩分を含んだものを飲んだほうがカラダに水分を貯めておく作用があるのでお勧めします」

「多くの人の登山スタイルは、だいたい25~30分歩いて5分休むか、50分~1時間歩いて10分休むか、というケースが多い。

登山中の水分補給は、それに合わせて、登りだしてからは30分ごとに200mlくらいずつ飲むようにしてください。

登山は激しい運動ですから、汗や呼気で水分を失います。

登り終わってからも水分を摂ることもたいせつです」

「山での脱水サインは少し見つけみつけにくいかもしれません。

のどの渇きはすぐにはやってこないし、疲労や寝不足の症状と同じように感じます。

私は、おしっこの回数がわかりやすいと思います。

普段、2~3時間に1度くらいはトイレに行くでしょう。山の中でも同じことです。

いつもと違うようなら脱水なのです。

水を飲んでもおしっこが出ないのは、摂取量が足りないということてす。

おしっこがいつもと同じペースで出ていなければ、水分が足りないと覚えてください。

女性にはトイレをガマンするために水分を控えてしまう人が多いようです。

夏場だと、それが山での熱中症の原因になっています。

登山のリーダーが、水分補給の時間を決めてきちんと水分を摂らせないといけません。

水分補給を怠ると当然脱水のリスクが増します。

体調不良の原因になります」


ウェアや食事


「ウェアは、外側は防水防風。ちょっと湿度が抜けるようなゴアテックス素材のようなものがいい。

中に着るものは、薄いものを重ねる着方がいちばんいいのですが、肌と接する衣類は汗を吸い取って乾かしてくれる素材のもの。

外に向かって保温性のあるものを纏うようにして、機能を使い分けて使うのがいいです」

「食事は、行動するためのカロリーであり、体温をつくるエネルギーなので、こまめにとりながら登ります。

山では、12時だから昼食というのではなく、随時適切にエネルギーや水分を補給していく<行動食>という考えが必要です」(大城さん)

「一般的には、軽くてコンパクトで栄養価が高いものがいいでしょうが、私は、個人差はあると思いますが、自分が食べたいものを持っていくのがいちばんいいと思います。

カラダにいいといわれてもノドを通らないようではいけません。

食が進まないものより、これを山で食べたいと思うものを選んで欲しい」(西村さん)


山を甘く見るなかれ


「事故を起こしたくて起こす人はいないでしょうが、遭難した方の例を見ますと、自分の体力や技術に合った山を選んで登っていただくのが、なによりもまず大切であることがわかります。

自分の体力以上のものを求めて、登山という長時間の運動をしてしまうと、体調不良を引き起こすことがありますし、下山中に疲労が蓄積してしまい脚の踏ん張りが効かなくなって転倒し、ケガをしてしまうことも多いようです。

また、地図やコンパス、GPSなどを持って登ったほうがいいです。

秋の登山を楽しむために、装備も確認して欲しいですね」(西村さん)。

「私も、まず第一に体力に見合った登山を―と言いたい。

山は体力、それも脚の筋力がないと登れません。

山の登りはゆっくりだと登れますが、下りは筋力がないと絶対に無理で、そこでケガをする人が多いのです。

登山をする人は、普段から階段の上り下りをするなどして、勾配で体重をかけるようなトレーニングをしないと登山向きの筋力はつきません。

筋力を鍛えていない人は、まず低い山からはじめて、下山のときに自分の筋力を確かめることです。

そして下山の道をなるべく緩やかな道を選ぶということも必要です」(大城さん)。


【秋の登山を楽しむための10ヵ条】

1  普段からの筋力アップと、自分の体力に見合ったルート設定

2  水分の確保(必要水分の携帯と水場の確認)

3 当日、登山前に500mlの水分補給(塩分の入ったもの)

4 朝、起きて1回、朝食後に1回のトイレが出発OKのサイン

5 30分ごとに200ml前後の水分摂取

6 昼食時間などを決めず、こまめな行動食を

7  トイレタイムは平常のリズムで

8 日照時間を考えたヘッドライトや、ルート確認の地図など装備の携行

9 体温保護と汗対策を考えたウェアの着用

10 下山しても水分補給


強い足には冴えた頭脳

 五月!

 絶好のゴルフ日和にはグリーンを素足で歩こうと、足と靴の臨床研究で知られる医師が勧めている。

「靴や靴下を脱ぎ、はだしになり、足指で芝をつかむようにして歩くと、何ともいえぬ心地よさを感じるはずです。 

コースでそんなことをしたらマナーに反すると思われるようなら、ホールアウトのあと、クラブハウスまででも素足で歩いてみたらどうでしょう」

 はだしになって大地を踏みしめると、足の裏が鍛えられ、強いアーチの土踏まずが形成される。


活力運動習慣

 ホントは一昨昨日の「活力食生活」につづけたほうがよかったのだが、きょうは運動の話。

「高齢者は走ってはいけない」

「血圧の高い人はダンベル運動などは控えたほうがいい」といった制限は一般論としては正しい。

「しかし、それは場合によっては年齢差別(エイジズム)や健康差別(ヘルシズム)になりかねず、ご本人の意欲を失わせる可能性があります」と、田中喜代次・筑波大大学院教授(スポーツ医学)。

 高血圧、心臓病、糖尿病、脂質異常症などの運動療法の例を挙げるまでもなく、病気をもつ人も適切な運動はぜひ行うべきで、要介護や寝たきりの予防にも有効だ。

 田中教授が勧める運動は、ウォーキング、ジョギング、ステップエアロなどの有酸素運動と、ホームエクササイズ(筋トレ、ダンベル、自転車など)を、やや息がはずむ程度に─。

 心拍数の目安は、(220-年齢)×0.7に+-30。

 60歳の人のばあい、160×0.7=112の+-30で82~142になる(と、電卓が教えてくれた)。

 一種目限定でなく、二種目以上を毎日の習慣にする。

 時間帯はいつでもいいが、理想は夕方とのこと。

「続けていると体力の変化に気づきます。快眠・快便・仕事意欲がアップします」

 ぼちぼち、そろそろ、いそいそ、やってみよう。


スワイショウ&スクワット

 帯津先生体操

 気功体操の一つ「スワイショウ」とは、「腕をポーンと放り投げる」という意味の中国語だ。

 そのやり方は─。

 ①両足を肩幅よりやや広めに開き、ひざの力をゆるめて立つ。

 ②背骨を軸に腰を回す。その腰の回転に導かれるように腕を振って体に巻きつけるようにする。

 ③体が回り切ったら、今度は反対側に腰を回し、腕も同じように振る。

 ④往復10回ぐらいから始めて、慣れてきたら30~40回くらい行う。1日に何回やってもよい。

 ポイントは腰。肩や腕に力を入れず、腰が左右に回るにつれ、手が回り、体に巻きつくような要領で行う。

 肩や腕の力は抜いて、回すときに重心がぶれないようにする。

 この体操、独自のホリスティック医学で、がん治療にすぐれた成果を上げている帯津三敬病院の帯津良一・名誉院長に教えていただいた。

「体力がなくても、場所がなくても、誰でもできます。毎日続けていると、背骨のゆがみが調整され、緊張している肩や腰をゆるめ、背骨の両側の筋肉もほぐれて、血流がよくなります」

 森さん体操

 スワイショウで上体をほぐしたら、ついでに脚もきたえてみませんか。

 両足を肩幅ほどに広げて立ち、両手は自然にだらりと垂らす。

 背筋を伸ばし、ゆっくりとひざを曲げていく。

 太ももが床と平行になるくらいまで腰を落とし、一息おいてゆっくりと元に戻す。

「スクワット」と呼ばれる運動だ。

 同じ動作を10回くり返すことを1セットとし、30秒ほど休み、3セット行う。

 息をつめず、吸いながらしゃがみ、吐きながら戻る(この逆でもよい)。

 ゆっくりと呼吸しながら......。

 ひざ痛や腰痛がある人、高齢者は、いすやテーブルにつかまり、曲げるひざの角度は浅くてもよい。

 ただし背中が丸くならないように気をつける。

『放浪記』の舞台で、でんぐり返りをやっていたころの森光子さんは、これを朝晩75回ずつ続けていた。

『放浪記』で森さんと共演した黒柳徹子さんも、毎晩寝る前に50回、この「森さん体操」をやっているそうだ。

「若さを保つには少し無理をすること。これくらいはできるという気持ちが大切です」と森さんは話していられた。


ニート体操

 体を動かすことが多い人ほど、長生きすることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。

 激しい運動でなくても、歩いたり、立っている時間を増やすだけでもいいという。

 もっともな話だが、私見では激し過ぎる運動は、かえってよくない。

 逆効果になりがちだと思う。

 以前にも紹介したが、NEAT(ニート)と呼ばれる、日常生活でのこまめな軽い動作でも、エネルギー消費はぐんと高まる。

 同じ発音のNEET(ノット イン エンプロイメント エデュケーション オア トレーニング=就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人)と間違えられそうだが、

 NEAT(ノン・エクササイズ・アクティビティ・サーモジェネシス)は、運動とはいえない程度の活動による熱産生のこと。

 たとえば、テレビを立って見るだけでもNEAT効果は十分得られる。

 小生も、テレビ小説(このところ「梅ちゃん先生」にハマっている。余談ながら、愚息の名も「太郎」である)の15分間など短い番組は、

 その間だけ立って、片足立ちをしたり、気功体操の一つ「スワイショウ(腕ふり体操)」をやったりしながら見ている。

 左右の腕を交互に体に巻きつけるようにぶらん、ぶらんと振るだけの、気持ちのいい簡単体操だ。

 スワイショウのさらなる説明は、明日──。


夏ゴルフの心得

 いやあ、暑い!

 どちらさまも熱中症にご用心ください。

 暑さにもめげず、ゴルフにお出かけのみなさまは特に!

 冬場のゴルフにも健康上の問題が多いが、真夏のゴルフにもさまざまな落とし穴がある。

 最も気をつけなければいけないのは、暑さ(太陽光線)対策と尿量(水分摂取)の維持。

 直射日光を浴び過ぎないようにし、水をよく飲んでお叱呼をたくさん出すこと、だ。

 太陽光線(とりわけ紫外線)の害は、皮膚と眼と全身に現れる。

 皮膚に現れる害は、日焼けと、そのあとにできる、しみ、しわ、たるみ。

 皮膚の老化は、その人がそれまでに浴びた太陽光線の量に比例するといわれていて、皮膚の「光老化」という。

 最悪の場合、皮膚がんの原因にもなる。

 夏のゴルフ場は、太陽光線が思うさまふりそそぐ光のシャワールームだ。

 近年、高齢者に激増している加齢黄斑変性症(目の網膜の中で最も視力の鋭敏な黄斑が、加齢に伴って変性する病気)の危険因子の筆頭は、たばこ、2番目が直射日光といわれている。

 必ず帽子をかぶり、できれば日傘をさして歩きたい。

 紫外線は白内障の原因にもなる。

 白内障は、目のレンズの水晶体が白く濁ってくる病気。

 初期には日常生活にはほとんど支障はないが、逆光に向かうと、ものがよく見えなくなる。

 水晶体の中に部分的な濁りが入ると、光が一点に集中せず拡散するため、光の乱反射が起きるからだ。

 たとえば、夜間、車を運転すると、対向車のライトがまぶしくて見えにくかったり、ゴルフ場で、逆光でボールを打つと、ボールの行方を見失ったりする。

 白内障になるのは、水晶体のたんぱく質が変性するからで、その一因と疑われているのが、紫外線だ。

 眼に入る紫外線の量をなるべく減らすようにすれば、白内障の予防になり得る。

 それにはUV(紫外線)カットの眼鏡をかければ、よい。

 紫外線の浴び過ぎは、体の免疫力も低下させる。

 暑い日にゴルフをしたあと体調を崩すことがあるのは、そのせいだ。

 肝臓病や糖尿病、高血圧など慢性的な病気をもっている人は、特に気をつけてください。

 もう一つ、特に気をつけてほしいのは、痛風もちの人だ。

 痛風発作は、血液の中の尿酸が、関節にくっつくために起こる。

 尿酸は、細胞の新陳代謝によってでき、その大半は尿から排泄される。

 大汗をかくと、尿の量が減る。汗には尿酸はまったく含まれていないから、尿の量が減れば、体の外へ排出される尿酸の量も減る。

 すると血液中の尿酸量がふえて、痛風発作が起きやすくなる。

 痛風もちの人は特に心がけて水分をよく取り、尿の量を減らさないようにすべきだ。

 ただし、尿量が増えるからといって、ビールはいけない。

 アルコールが肝臓で代謝されると、尿酸ができる。

 痛風もちの人は、ビールではなく、水をどうぞ!



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