暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

バナー原稿 468×60 (140228)imp

脳と体の生理

「一笑一若・一怒一老」の生理的真実


「一笑一若・一怒一老」という成句がある。

中国のことわざで、原音だと、一笑(イシャオ)一若(イルオ)、一怒(イヌ)一老(イラオ)となるらしい。

「一笑」と「一怒」の「一」はわかる。

「一若」と「一老」の「一」がよくわからない。

1日か? 1月か? 1年か? 

いや、そんな決まった時間のことではなく、この「一」は、比喩のようなもので、1回笑えばそのぶんだけ若返り、1回怒ればそのぶんだけ老けこんでしまう―というのだろう。

そう。怒れば年をとり、笑えば若くなる。

つまり怒りは体に悪い、笑いは健康によい。

大脳生理学者も「不快感、怒り、恐れはいわば戦時体制の心構え」と説いている。(時実利彦『人間であること』=岩波新書)。

怒ると、自律神経の一つの「戦時用」の交感神経系が緊張し、心臓の拍動が激しくなり、血管が収縮し、血圧が上がり、気管支が拡張し、瞳孔が開き、消化液の分泌が減少し、肝臓から糖分が血中に流れ出て燃やされる...というように体内で「さまざまな戦闘状況」が展開される。

結果、体力を消耗し、胃が痛くなったりもする。

もともと血圧が高かったり、心臓に病気をもっていたりすると、激しく怒ったとたん、重大な変調を招くことさえある。

東洋医学の古典『素問霊枢』にも、

「怒れば肝を害し、おびゆれば心を害し、憂うれば肺を害し、考えれば胃を害す」とあるそうだ。

心身症やストレス性の病気の原理を言い当てた至言だろう。

しかし、怒りを無理やり抑え込んでばかりいると、これも心と体によくない。

神経症、高血圧、糖尿病、胃潰瘍、狭心症、腎硬化症などの誘因になるという。

たまには焼酎でも飲んで、酔っぱらって、夜更けのガード下あたりで、

「部長のバッキャロー!」なんて適当に発散したほうがよさそうだ。

一方、笑えば、血管が開き血圧が下がり、心臓、肺、胃腸など内臓器官がスムーズにはたらき、ホルモンの分泌が盛んになる。

よく知られている研究だが、漫才などで大笑いしたあとは、がん患者のNK(ナチュラルキラー)細胞の活性度が上昇した。

NK細胞は、免疫を担うリンパ球の一つ。感染症のウイルスやがん細胞をやっつける力をもっている。

リウマチの女性患者に落語を1時間聞いてもらったら、症状を増悪させる物質(インターロイキン6)が減少し、痛みが楽になったという研究報告もある。

「笑おう会」という会の「効能書」にはこうある。

「ときに呵々大笑すれば、横隔膜の上下運動を促し、腹中のコリをとき、消化・吸収・排泄をよくする。胸中のうっぷんを去り、胸筋をやわらげ、心筋梗塞の予防となる」

一つ、つけ加えると、横隔膜の上下運動は、呼吸と血行も促進する。

だからよく笑う人は血色がいい。

笑声は痙攣(けいれん)の一種だからそのあとに弛緩(しかん)がきて、緊張が緩和する。

大声で笑えば筋肉の緊張がゆるみ、人間関係の緊張も緩和される。

こんなにいろいろとよく効いて、副作用がまったくなくて、いくら使っても減らない薬なんてあるものじゃない。

しかも、それでタダなのである。

「笑」という字は「咲」と同じで、花が開くのを「花笑」ともいう、と漢和辞典にある。

新しい年、大いに笑って、花を咲かせようではありませんか。


スポンサードリンク

頭痛鉢巻きの理論

◎痛みの「ゲートコントロール」

吉村昭さんのエッセーで知ったことだが、昭和20年ごろの肺結核の手術は、局所麻酔で行われていた。

その麻酔があまりよく効かず、痛みを感じ、患者が身動きすると、手術の妨げになる。

これを防ぐため、手術台上の患者のほっぺたに平手打ちをくわせる役目の看護婦がいた。

ほっぺたをピシャッ! とやられる瞬間、メスの痛みがまぎれるというわけ。

体のどこかに痛みがあるとき、ほかの部位に強い刺激を加えると、元の痛みを感じにくくなる。

この現象に着目して、兵頭正義・大阪医大教授(麻酔学)は、注射を打つとき、針を差し込む5~10秒前から注射が終わるまで、体の敏感なところをつねると、注射の痛みがへることを確かめた。

最も効果的だったのは、太ももをつねったときだったそうだ。

どうしてそんな効果が生じるのか。

「ゲートコントロール(門調節)説」という理論で説明できる。

体の痛みは、脊髄を通って脳へいき、痛みとして認知される。

脊髄には、痛みの信号にゴー・ストップをかける「門番細胞」があり、脳へいく痛みをコントロールしている。

痛みの信号と同時にほかの感覚刺激がやってくると、門番細胞は門を閉じる。

つまり、どこかが痛いとき、そこをなでたりさすったり、あるいはほかの部位をつねったりすると、その感覚刺激が門を閉じさせ、痛みが弱くなる。

この門のはたらきには、脳からの影響も及ぶから、なにかに熱中しているときは、あまり痛みを感じない。

近年の研究で、門番機構は、脊髄だけでなく、脳の中枢にもあることがわかった。

また、ある種の刺激によってエンドルフィンというモルヒネ様の物質が分泌され、痛みをやわらげることもわかった。

さて、そうしてみると、「頭痛鉢巻き」もリッパに理屈に合っているわけで、昔の人の経験的知恵というのはほんとうに大したものだと思う。

もっとも、鉢巻きが有効なのは、片頭痛、風邪、二日酔いなどのような血管性頭痛で、肩こりなどによる筋収縮性頭痛には、さほどの効果は望めない。

この場合は、後頭部をもむとよいそうだ。

頭痛は、じつにいろいろな原因によって起こる。

入れ歯を直したとか、老眼鏡をかけるようにしたとかで、長いことつづいていた頭痛がウソのように消えた例もある。

中耳炎などの耳の病気が頭痛の原因になることもある。

このように頭痛には眼科、耳鼻科、歯科などが絡んでいるものがある。

頭を詳しく調べても原因が見つからなかったら、目じゃないか? 鼻じゃないか? 歯じゃないか? と、頭を切り換えてみよう。


火事場の馬鹿力の生理学

◎気力が体力を引き出す 

夏休み中の高校の講堂からボヤが出た。

駆けつけた生徒3人でピアノを運び出した。

鎮火後、元に戻す段になったら、同じ3人の力ではもうピアノはびくともしなかった。

──という話を、むかし聞いたことがある。当方も当時、その高校の生徒の1人だった。

筋肉は、無数の筋線維(収縮能をもつ細胞)でできていて、たんぱく質の一種のアクチンとミオシンの相互作用によって収縮し、力を出す。

通常、筋線維は20~30%しか収縮せず、ほかの部分は交替で休息するしくみになっていて、健康な人間なら自分の体重と同じ重さくらいまでの物は持ち上げられる。

ところが、なにか極限に近い状況に追い込まれると、60%以上の筋線維がいちどきに収縮して意外な力を発揮する。

それが「火事場の馬鹿力」だ。

ボクシングなどの「瞬発力」というのもそれだと考えられている。

これも昔、不良(いまでいうヤンキー)をやっていた男から聞いた話だが、アベックをおどしたとき、相手の男が死に物狂いで向かってきたら「ちょっとヤバイ」とのことだった。

男が体を張って愛する女性を守ろうとするとき、自分でも思いがけぬ力が出るものらしい。

そんなときは交感神経が急激に緊張する。

すると、ストレスホルモンのアドレナリンが大量に分泌され、神経の情報伝達を迅速にする。

それまではのんびり交代制でやっていた筋線維に緊急出動の命令が出て、筋線維フル活動となるわけだ。

運動生理学では緊急反応というそうだが、そうしたモチベーションが強いほど行動のパワーは強く現われる。体内の予備能力が出てくる。

別の言葉でいえば気力が体力を過剰に引き出すわけだ。

体力とは、狭い意味では、ある力がある時間内にどれだけ出せるかというスポーツ能力のようなもののこと。

広い意味では、長いあいだ病気をせずに働いている状態のことである。

そのどちらの場合にも気力の影響は大きい。

多くの場合、気力と体力は平行し、しばしば一致する。

われわれは経験的にそのことをよく知っている。

ダウンしたボクサーが立ち上がるのも気力なら、高校野球の投手が炎天下の甲子園で3連投、4連投できるのも気力の占める割合が大きいはずだ。

むろん、二日酔いの体を自ら敢然と満員電車の中に押し込むなんてのも、気力以外のなにものでもあるまい(3連投投手などとの状況レベルとはだいぶ差はあるけど)。

では、気力とはなにか。

それは努力をいとわない精神のことだろう。

結果のいかんを問わず、ひたむきに努力しつづける精神、それが気力だろうと思う。

ところで、諸兄。

気力に欠くる勿(な)かりしか!

努力に憾(うら)み勿かりしか!


「乳酸=疲労物質」は前時代的誤解

◎運動後の筋肉痛

運動などで激しく体を動かしていると、血液のなかに乳酸がふえてくる。

その現象が実験的に確かめられてわかったのは、100年も前のことである。

以来、乳酸の血中濃度が高まるのが疲労の原因―とされてきた。

「運動がある強度に達すると、乳酸がふえ始める。

エネルギーとして使う糖質が不完全燃焼するためである。

糖質の燃えカス・老廃物の乳酸が血液中に増加することが、肉体疲労の原因であり、運動後に起こる筋肉痛も乳酸蓄積が原因である」

─というのが、一昔前までの生理学の学説で、高校の保健体育の教科書にも載っていた。

乳酸=疲労物質説はよく知られた健康常識だったから、いまでもそう信じている人が少なくない。

そう言ったり、書いたりしているコメントに接することも、ままある。

だが、近年の運動生理・生化学的研究によって、乳酸=疲労物質説は完全に否定された。



◎乳酸はエネルギー源

乳酸は老廃物どころか、体の有効なエネルギー源なのだという。

エネルギーは、細胞のミトコンドリアで糖や脂肪から合成される。

このとき糖の分解によって乳酸ができる。

急激な運動をすると、糖の分解が活発化してさらに多くの乳酸ができる(乳酸の血中濃度が高まる)。

運動に用いる筋肉には、無酸素で瞬発力を生み出すが、持久力のない「速筋」と、瞬発力はないが、酸素を消費して持久力を生み出す「遅筋」がある。

乳酸をエネルギー源として利用するしくみをもつのは遅筋のほうで、乳酸の生成と酸素の供給のバランスがとれていれば、運動は楽に続けられる。

ウォーキングなどの有酸素運動がそれだ。

だが、酸素の供給が間に合わないと、使われない乳酸が血液中にふえてくる。

持久力が失われる。

一方、速筋は、糖質からエネルギーを取り出して乳酸を作りだすのに、酸素を必要としないしくみになっている。

いつでもすぐ発動できる(瞬発力を作り出す)が持久力はない。

激しい筋肉運動が長続きしないのは、そのためだ。


◎ニコニコペースのメカニズム

高血圧の運動療法は、運動強度を最大酸素摂取量の50%に保ちながら行うと、最も効果的であることが実証されている。

WHO(世界保健機関)も推奨するその「アラカワ・メソッド」について、提唱者の荒川規矩男・福岡大学医学部名誉教授はこう話している。

「体内に必要なだけ酸素があれば、運動で使われる糖分は完全燃焼し、乳酸はできません。

つまり軽い運動をやっている間は血液中の乳酸はふえないのです。

ところが、運動がある強度を超えると、急に乳酸がふえ始めます。

それが最大酸素摂取量の50%を超えたあたりなのです。

裏返せば、最大酸素摂取量の50%以下であれば、〈疲労物質〉といわれる乳酸が血液中に蓄積されず、楽に運動を続けられるわけです。私たちは、それを〈ニコニコペース〉と呼んでいます。」(『名医が治す』マキノ出版刊)

「運動が最大酸素摂取量の50%を超えると乳酸がふえ始める」のも、

「最大酸素摂取量の50%以下の運動であれば楽に運動を続けられる」のも事実だが、

それは、「疲労物質といわれる乳酸が血液中に蓄積されない」からではなく、血液中の乳酸の生成と消費がスムーズに行われているからなのである。

話はまったく逆だったのだ。

言い換えると、乳酸がたまるから疲労するのではなくて、疲労した体には乳酸がたまっている。

乳酸は疲労の原因ではなく、結果なのである。

「乳酸が疲労物質なら運動後もずっと残っているはず。

でも実際は運動から1時間もすれば元のレベルに戻ってしまう。

疲労物質ではない何よりの証拠。疲労はもっと複合的な要素で起こる」

と、「乳酸代謝・運動と疲労」を研究テーマとする、八田秀雄・東京大大学院教授。


◎乳酸と乳酸菌

ちなみに、「乳酸」という名称は、牛乳などの糖質を発酵させてチーズやヨーグルトを作るさいに生じ、「酸味」をもつ物質であることに由来する。

人の体のなかでできる乳酸は、乳酸菌とは関係なく、前に記したように、細胞でエネルギーが生成されるとき、糖質が分解されて生じる。

人の体内の乳酸菌は、ご存じのとおり腸内の善玉菌の最も代表的な一つで、免疫力を高めるなどさまざまに有用なはたらきをしてくれる。


入院患者の「廃用症候群」改善


人間の身体は、「動かないこと」「動かさないこと」で全体的に弱ってしまう。


ちょっとした病気や手術で2~3日、寝ていただけでも、起きて歩くと足がふらつくのは、だれもが経験したことがあるだろう。


「臥床安静」を1週間とると、正常者でも筋力が20%低下する。


筋肉ばかりでなく、骨も弱る。


内臓など全身の機能も低下する。


このような「不活動」による身体機能の低下を、総称して「廃用症候群」という。


最も多くみられるのは、入院治療に伴う「安静臥床」によって発生する例である。


たとえば、肺炎や心不全といった直接的には運動障害をきたさない疾患で入院した場合であっても、入院後の安静によって筋肉量の減少や歩行機能の悪化がみられることがある。

そうした「入院治療」を原因とする廃用症候群は、HAD(Hospitalization-Associated
Disability。入院関連機能障害)と呼ばれる。


適切なリハビリを早期から施行することでその発生を予防することができる。


だが、日本ではこれまで「忘れられている院内合併症」とされ、積極的な対策はほとんど知られていなかった。

慈恵医大第三病院では2013年からHAD予防システム(HAD Prevention System。HPS)を導入、すぐれた成果を上げている。


同病院のこの取り組み「HPS」は、昨秋の「医療の質・安全学会学術集会」でベストプラクティス賞最優秀賞に選ばれた。


「医療の質・安全学会」の機関紙掲載の、同大学リハビリテーション医学講座(主任教授 安保雅博)の角田亘准教授の論文によると、このシステムは、


① 新しく患者が入院したら、各科主治医がHAD発生の危険性を検討し、リハビリ科に報告する、

② HAD発生の危険性が高いと判定された患者を、リハビリ科医師が診察、リハビリ開始の指示を出す、

③ HADの発生予防目的でのリハビリを、リハビリ科療法士が迅速に開始する、

─という三つのステップから構成されている。


結果、HADの発生頻度が低くなり、入院期間も短縮された。


治療後の自宅への退院率も高くなり、病院から施設に送る患者数が減少した。


病院全体の"入院医療の質"が、さらに向上した。


同病院の「HPS」にならって早速、実践した愛媛大学医学部附属病院では、大きな成果がみられ、病院全体における医療の質が向上したという。


睡眠に関する諸問題

眠らない国

旧聞で失礼。9月3日は「秋の睡眠の日」だった。

日本人の睡眠時間は、よく寝ているフランスに比べると1時間も短く、韓国に次ぐ世界2位の「眠らない国」だ。

なんらかの不眠症状に悩む人は、成人の30%以上。

眠れぬ夜が長く続くと、心身の健康をそこね、ひいては寿命にも影響する。「眠り短かければ、命短し」である。

不眠の解消には、睡眠薬を上手に使うのも一法。


睡眠障害のリスク

睡眠不足や睡眠の質の低下が続くと、高血圧や動脈硬化が進行、心血管疾患、がん、認知症など、加齢に伴い発症が増える疾患のリスクが上昇する。

また、睡眠障害は糖尿病の症状を悪くし、糖尿病は睡眠の質を悪くする。

で、睡眠障害を防ぐ薬は、睡眠の質だけでなく、糖尿病も改善すると報告されている。

最近の研究で、血糖値が高いほど、深い睡眠の時間が減少し、朝の血圧上昇が高まり、血管障害のリスクが増えることがわかった。


睡眠不足=老化

睡眠不足は生物学的老化を促進する。

たった一晩の睡眠不足が、生物学的老化を促進する。

質の良い睡眠を十分にとることが、老化を抑え、体を若々しく保つために必要だ。

米カリフォルニア大学の精神神経免疫学センターのジュディス・キャロル氏らが、米国睡眠医学会の年次集会で発表した。

61~86歳の男女29人に4夜、研究施設に滞在してもらって行った実験によって、たった一晩の睡眠不足でも、細胞が分裂し、新たな細胞を産生する「細胞サイクル」が阻害され、細胞の損傷が増えることが明らかになった―という。

過去の研究では、睡眠不足により、皮膚の細胞の染色体が不均等になり、肌の弾力性が失われることが確かめられている。

「人は誰もが老いますが、たった一晩の睡眠不足で老化スピードが加速し、病気にかかりやすくなることが生物学的に確かめられました。

一般的に一晩に7~8時間の睡眠をとることが勧められています。

今回の研究は、生活習慣病の予防・改善に、睡眠を十分にとる必要がある理由を解明したものです」と、キャロル氏は話している。


歩いて睡眠改善

睡眠の量と質を高めるために効果的なのは、運動を習慣として行うことだ。

ウォーキングなどの運動をする習慣のある人は、十分な睡眠をとっている傾向があることが、約43万人の米国人を対象とした調査で明らかになった。

米ペンシルベニア大学のマイケル・グランドナー博士らは、生活習慣病の予防や健康促進の効果的な方法を探るために行われている大規模研究に参加した42万9110人のデータを解析した。

参加者に過去1ヵ月間にどのような運動をしたかを質問し、睡眠時間の平均を尋ねた。

結果、運動を習慣として行っている人は、睡眠時間を十分にとっている傾向があることがわかった。

過去の研究では、平均睡眠時間が7時間以下であると、健康状態が悪くなることが示されている。

ウォーキングなどの運動を習慣として行っている人は、7時間以上の睡眠時間を確保している割合が高かった。


体のリズムと睡眠

ヒトの体には、「概日リズム」(サーカディアンリズム)と呼ばれる、ほぼ24時間のリズムで体内の環境を調整する機能が備わっている。

体内時計の周期と24時間の周期との間のずれを修正できない状態が続くと、望ましい時刻に入眠し、覚醒することができなくなる。

運動や身体活動を毎日行うと、概日リズムが調整されやすくなり、夜の決まった時刻に自然に眠れるようになる。

「交感神経が活発に働いている時間である夕方、特に夕食後に運動をすると、心拍数の増加と筋肉の血流量の増加により、体脂肪の燃焼率が活発になり効果的です。食後の血糖値の上昇も抑えられます」と、グランドナー博士。

ウォーキング以外にも、サイクリングやランニング、筋力トレーニング、エアロビクス、ガーデニング、ヨガ、ピラティス、ゴルフなどの運動も効果がある。

ただし、家事や育児に関連した身体活動が多過ぎると、睡眠不足のリスクが上昇することも分かった。

仕事や家事で毎日が多忙で手一杯であると、概日リズムが乱れやすくなる可能性がある。


「ウォーキングを毎日行うだけでも、睡眠の量と質を改善できます。

さらにランニングやヨガなどの目的のある運動を組み合わせると、より効果的であることが分かりました。

逆に運動不足は睡眠の質を下げる要因になります。運動習慣をもたない人は、いますぐ運動をはじめるべきです」と、グランドナー博士はアドバイスしている。


頭にも体にも効く昼寝術

 昼寝の効用について述べます。

 連日昼夜兼行、寧日なき活動中のご一同からは、何たる太平楽な寝言! と叱られるかもしれない。

 が、そういう人たちにこそ積極的に昼寝をしていただきたいのであります。

 昼寝は絶好の健康法。

 このことを否定する専門家はいない。


子どもの脳を育てるDHA

  ●オメガ3脂肪酸
 味の素kkが開いたメディアセミナーで、オックスフォード大学社会生活・福祉学部上級研究員のアレックス・リチャードソン博士のレクチュアを聴いて、奄美諸島の話を思い出した。名のある人が輩出したことで知られる島々である。

 Dr.リチャードソンは、栄養と人の行動に関する研究の権威。子どもの行動や認知発達におけるオメガ3脂肪酸の重要性に関する研究分野での先駆者として世界的に知られている。

 オメガ3脂肪酸とは、ご存じEPA、DHAに代表される不飽和脂肪酸である。

 すこし回りくどくなって恐縮だが...。

 脂肪は、グリセリンと脂肪酸でできている。

 脂肪酸は、多数の炭素同士が手をつないで鎖をつくり、それに水素と酸素がつながった構造になっている。

 炭素と炭素が全部、1本の手でつながっているのが「飽和脂肪酸」で、炭素と炭素が部分的に2本の手でつながっているのが「不飽和脂肪酸」である。

 飽和脂肪酸は、炭素の鎖すべてに水素がつながっている(つまり炭素が水素で飽和されている)。だから飽和脂肪酸を多く含む食品は、バターやラードなどのように常温では固体である。

 不飽和脂肪酸は、炭素同士が2本の手でつながった「二重結合」部分の炭素の片側には水素がつながってない(炭素が不飽和の状態になっている)。で、不飽和脂肪酸を多く含む植物油や魚油は常温では液体である。

 なお、酸素は、炭素の鎖がグリセリンとつながっている一方の端にくっついている。

 不飽和脂肪酸には、二重結合が1個だけの一価不飽和脂肪酸と、二重結合が2個以上ある多価不飽和脂肪酸がある。

 多価不飽和脂肪酸は、さらにオメガ3(n‐3)脂肪酸と、オメガ6(n‐6)脂肪酸に分けられる。
 オメガ3(n‐3)とか、オメガ6(n‐6)とかいうのは、炭素の二重結合が最初に現われる位置を示す記号である。

 炭素の鎖がグリセリンとつながっている側(右端)とは反対側(左端)のω(オメガ)炭素から数えて3番目に最初の二重結合がある系列の脂肪酸がオメガ3系で、6番目に最初の二重結合がある系列の脂肪酸がオメガ6系である。

 n‐3、n‐6は、すべての炭素の数(n個)を左端から数えたときの3番目、6番目という意味。すなわちn‐3=オメガ3、n‐6=オメガ6である。

 一般に、生理学分野では「オメガ3、オメガ6」と呼び、化学分野では「n‐3、n‐6」と呼んでいるようだ。文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会(うへっ、寿限無かヨ)調査報告の『日本食品標準成分表』の用語も「n‐3、n‐6」である。

 一価不飽和脂肪酸の主なものは、オレイン酸で、オリーブ油、サフラワー(紅花)油、ひまわり油、なたね油などの主成分。牛脂、ラードにも多く含まれている。

 オメガ6脂肪酸の大半はリノール酸で、サフラワー油、コーン(とうもろこし)油、ひまわり油、大豆油、ごま油などの主成分。たまねぎ、にんじん、にんにく、ピーマン、セロリなどの野菜類にも多く含まれている。

 サフラワー油、ひまわり油には、高オレイン酸のものと高リノール酸のものがある。

 高オレイン酸のものは、オレイン酸がリノール酸よりもいたみにくいことや、リノール酸の摂りすぎが健康によくないとする研究結果を受けて、紅花やひまわりを品種改良し、オレイン酸の含有率を高めた製品だという。

 オメガ3不飽和脂肪酸の代表は、α(アルファ)‐リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)である。

 α‐リノレン酸は、しそ油、亜麻仁油の主成分で、えごま、サラダ菜、レタス、春菊、白菜、ほうれん草、葉ネギ、大根の葉などの野菜類に多く含まれている。くびれづた、ひじき、わかめなどの海藻にもわりあい多くのα‐リノレン酸が含まれている。

 プランクトンにも非常に多くのα‐リノレン酸が含まれている。だからこれをエサとする魚介類は、α‐リノレン酸と、体内でα‐リノレン酸から変換されたDHA、EPAを多く含んでいる。

 EPAは、甘海苔(干しのり、焼きのり)、むかで海苔、あいなめ、いわし、いかなごなどに豊富に含まれている。

 DHAは、いかなご煮干し、しらす干し、おこぜ、かじき、かつお、かんぱち、きびなご、こち、さより、さば、さんま、しいら、しらうお、すけとうだら、とびうお、にぎす、にしん、ふぐ、まぐろ、メルルーサ、わかさぎ、あさり、しじみ、ほたて貝...などなど魚介類に多く含まれている。

 飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、ヒトの体内で合成されるが、多価不飽和脂肪酸は体内では合成できない必須脂肪酸である。

 飽和脂肪酸は血中コレステロール値を上昇させるが、多価不飽和脂肪酸は低下させる。
 そこで「飽和脂肪酸の多い動物性脂肪はできるだけへらし、リノール酸の多い植物油を─」という栄養指導が行われ、リノール酸が大いにもてやされた。

 しかし、その後、リノール酸(オメガ6脂肪酸)の長期間の過剰摂取が、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管系疾患、がん、アレルギー体質などの危険因子となることがわかった。

 一方、α‐リノレン酸、EPA、DHAなどのオメガ3脂肪酸は、心血管系疾患のリスクの低減、知能向上、精神障害の緩和などさまざまなメリットが確かめられている。

 しかし、食品中のオメガ3脂肪酸はあまり多くない。栄養バランスの偏った食生活ではてきめんに不足してしまう。

 オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率は、1対2から1対4がよいとされるが、いまは1対6とか1対10、1対50というひどい例さえある。

 なぜ、そんなことになるのか。

 オメガ6脂肪酸は、さまざまな食品中にたくさん含まれているので、極端な偏食をしない限り不足する心配はない。そこへもってきて、市販の食用油の多くはリノール酸を主成分としているからである。

「オメガ6脂肪酸の摂取は極力控え、オメガ3脂肪酸の積極的な摂取を─」と厚生労働省も「日本人の食餌摂取基準」で勧めている。

 ●魚を食べれば頭がよくなる!

 多価不飽和脂肪酸は体内では合成できない必須脂肪酸であるが、しかし、オメガ3脂肪酸は、それなしでも動物が見かけ上、正常に育ったことから、かならずしも必須ではないと考えられていた。

 そのうえ、α‐リノレン酸はリノール酸よりも数倍、分解(酸化)しやすいので、油脂食品から除く努力がされてきた。

 しかし、α‐リノレン酸からつくられるDHAが脳や神経、網膜(視神経が分布している膜。カメラでいえばフィルムにあたる)などに多いこと、食物のなかに少ししか含まれてなくても、脳や神経に効率よく取り込まれることなどから、脳や神経のはたらきにはDHAが必要なのではないかと考えられるようになった。

 オメガ3脂肪酸が、ようやく「必須な」栄養素として認められたのは、1960年代である。
 そして、いま、多くのことがはっきりわかっている。そのひとつ─、

 脳の60%は脂肪、そのうち約20%(脳内のオメガ3脂肪酸の97%)はDHAである。

 DHAは、脳と神経系の正常な発育を促進し、機能を維持する。

 神経細胞の細胞膜にDHAがたくさん含まれていると、その細胞膜はやわらかい状態を保ちやすく、神経の情報伝達がスムーズに行われ、脳の活動を活発にする。DHAが「脳の栄養素」「頭のよくなる脂肪酸」といわれるゆえんだろう。

 英国の一般学童集団を対象として、オックスフォード大学が行った「DHAと学習及び行動に関する研究」によれば、オメガ3脂肪酸の血中濃度が低いことと、認知能力や行動の低下には明らかな関連性が認められた。

「英国能力尺度 単語の読み」を用いた実験では、血中DHAの濃度が高い小児ほど読みの能力が良好だった。

 DHAは、上述のとおり魚介類に多く含まれている。魚と頭脳との関係はいまや周知の事実である。

 魚をよく食べている人には認知症が少なかったとか、認知症の人には、魚と野菜が嫌いで、肉好きが多い傾向があるとわかった─といった疫学研究は、国の内外で何例も報告されている。

 ─というところで、奄美諸島の話になる。

 黒潮流れる海の幸豊かな奄美の島は、かつてはかつお漁の基地であった。

 獲れたかつおのほとんどは鰹節にされ、貧しい島の人びとの口に入るのは、かつおの頭か、あら、はらわたでしかなかった。

 だが、それが奄美の人びとのすぐれた頭脳をつくりあげたのだ。

「奄美が人材の島であることは、広く世に知られていることである。われわれもまたこれを誇りとして、いつでも、どこでも、だれもが高言していることである」

 奄美大島名瀬市の出身で、長く教育界にあり、地元の小学校校長を歴任、名瀬市教育委員会教育長を12年も務めた水間忠光氏は、著書『奄美の風土と人の心』のなかでそう述べておられる。

 そして、その「高言」の例証として、官界、法曹界、学界、刀圭(医学)界、軍人、実業界、社会・労働運動界、文学・芸能界、スポーツ界など100名を超える知名人を挙げている。

 そのなかには、大審院総長(最高裁長官)もいれば日本弁護士会会長もいる。文学者もいれば大学教授もいる。大企業社長もいれば名医もいる...といったふうだ。

 奄美からそのように多くの人材が世に出た要因を、水間氏は、①学問尊重、②人材育成、③厳しい自然、の三つの「風」が奄美全域にあったからだと言っておられる。

 それに加えてもうひとつ忘れてはならないのは、「かつおのビンタ(頭)を食えばビンタがようなる」という島の人たちの言い伝えによる即物的効果だろう。

 かつおの頭(とくに眼窩脂肪=目玉のまわりのどろどろ)には非常に多くのDHAが含まれているのである。

 ●「かしこいおやつDHA」

 魚に多く含まれるDHAが、脳にとってどんなに重要なものであるか、ざっと記した。

 DHA、EPAなどオメガ3脂肪酸の健康効果はそんなものではない。

 オメガ6脂肪酸を摂りすぎると、脳梗塞、心筋梗塞、がん、アレルギーなどのリスクが高まるが、オメガ3脂肪酸には逆にこれらを抑える働きがある。

 胎児でさえ、母体のオメガ3脂肪酸の量によって、成長に影響を受ける。

 母乳のなかのDHAが不足すると、子どもの脳の発達が妨げられる。

 視力を高く保つためにもDHAは必要である。DHAが欠乏すると、網膜シグナル伝達(光情報:視覚的映像を電気信号に変換し、脳へ伝達するはたらき)はほぼゼロにまで低下する。

 2012年、消費者庁が行った「食品の機能性評価モデル事業」の結果報告でも、DHA/EPAは─、
 「心血管疾患リスク低減」「血中中性脂肪低下作用」「関節リウマチ症状緩和」の三つで「A」、
 「乳児の成育、行動・視覚発達補助」で「B」、 「血圧改善作用」と「うつ症状の緩和と発生率低下」で「C」─と、評価されている。

 A=機能性について明確で十分な根拠がある。
 B=機能性について肯定的な根拠がある。
 C=機能性について示唆的な根拠がある。─を意味する。

 評価対象11成分=セレン、n‐3系脂肪酸(DHA/EPA)、ルティン、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、ブルーベリーエキス、グルコサミン、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、イチョウ葉エキス、ノコギリヤシ、ラクトフェリンのなかで、「A」の評価を得た項目のあるのはDHA/EPAのみで、また、乳児へのはたらきが評価されているのもDHA/EPAのみである。

 子どもは知力が発達し、成人は生活習慣病のリスクが下がり、認知症を予防する。

 オメガ3脂肪酸は、ビタミンと同じくらい重要な人体必須の栄養素である。

 魚、食べるべし! 大いに食べるべし!

 ─と、称揚されるようになって、久しい。

 なのに、日本人の魚の消費量は年々減少しているのである。

 子どもが魚を好まない。

 骨があって食べるのが面倒。
 生臭い。
 調理が面倒。
 肉より割高。
 ...などなどいろいろとあって、魚離れは進むばかりである。

 では、どうする?
 要は、摂取不足分を上手に補えばよいのではないか。

 欧州食品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)は、1日あたり250mgのDHAの摂取を推奨しているが、日本人の3~12歳の子どもの平均DHA摂取量は1日あたり約150mg、約100mg不足している。

 これを「おやつ」で補給したら......というアイデアでつくられた、味の素kkの「かしこいおやつDHA」には、大豆ほどの大きさのグミに、DHA100mg(3粒あたり)が凝縮・配合されている。
 しっかり噛んで食べることで、歯やあごの発達も期待できるようだ。

 原料は、培養タンクで育てた海藻由来のDHAなので、魚資源の減少の影響を受けず、生態系を崩すことがなく環境にもやさしい製造方法だという。

「通販限定」ということなので注文のしかたは、
 http://www.ajinomoto-kenko.com/ff/kashikoi/
を見てください。

 子どもにDHAが必要な理由なども詳しく知ることができる。

 子どもだけでなく、物忘れが気がかりなジイサン、バアサンにも、これはなかなか魅力的なサプリメントである。

 繰り返しになるが、魚の常食が認知症のすぐれた抑制因子であるのは、魚油に含まれるDHAの効果と考えられている。

 アルツハイマー病の発症後、死亡した人の海馬(日常的な体験や学習で得た情報を、一時的に記憶し、保管する大脳辺縁系の一部)中のDHAは、通常の半分以下にへっていたという報告もある。

 ミックスフルーツ味のグミは、ほどよく甘くて、うまい。3粒ではちょっともの足りない感じ。「もっと!」とねだる子も多いのではないだろうか。「かしこいがまん」も覚えさせよう。


冷え&冷え症対策

 ◎人工炭酸泉

 冷え対策で最も効果的なのが、ぬるめの湯にゆっくり入り、体のしんまで温まる半身浴だ。

 温泉医学に詳しい前田真治・国際医療福祉大学大学院教授の話では、それが炭酸泉浴だとさらによろしい。

 高濃度に含まれる炭酸ガス(CO2)の効果で、水道水をわかした湯より2℃ほど温かく感じられる。

 低温・長時間入浴に最適だ。

「炭酸泉につかると、炭酸ガスが皮膚を通して体内に入り、毛細血管の中にたまる。

 通常、炭酸ガスは、エネルギーやたんぱく合成が行われるとふえる。

 炭酸ガスが静脈に入ると、

<老廃物が組織にふえた>

<組織で多くのエネルギーが使われたから栄養や酸素が必要>というサインが送られる。

 動脈側はそれを受けて、老廃物を放出するために動脈を開き、栄養や酸素を送りだす。

 血管が広がって血流がよくなり、血行の改善が得られる」

 前田教授の解説を要約するとこうなる。

 人工炭酸泉製造装置を導入した銭湯や健康ランドが増えているが、自宅に備えて「健康&美肌」効果をエンジョイしている人もあるらしい。

 ◎半身浴起源

 ところで、この「半身浴」という語、いまはだれでも知っていて、『広辞苑 第六版』にも収録されたが、23年前にできた新語である。

 当時、「冷えとり健康法」を提唱していた進藤義晴医師の、

「冷えをとるにはみぞおちから下をぬるい湯に長時間つけるのがよい」という入浴法(進藤医師は「腰湯」と表現)を、雑誌『壮快』が、1989年3月号(平成元年2月発売)の特集記事で、

「万病に効く半身浴」として紹介した。

 それがこのコトバが活字になった最初だ。

 記事をつくったライターが、不肖それがし。

 若い編集者といっしょに愛知県小牧市の進藤医院へおもむいたその日─。

 先生のお話をうかがったあと、夕方の街へ出て、電車に乗る前にめしを食おうと入ったレストランのテレビで、小渕恵三・内閣官房長官が、

「新しい年号は『平成』です」と、墨書した半紙の額をかざすのを見た。

 小渕さんはすでにこの世の人ではなく、若かった編集者は数年前、同誌の編集長に昇進、いまは「編集統括」のえらいサンになっている。

 往時茫々なれど、おれは相変わらずビンボーヒマアーリ(三文ライターという意味のロシア語)をやっている。

 ああ、ひ(冷)やか! ひやか!(寒い! 寒い! に当たる屋久島語)。


冷え性&冷え症

 ◎冷え症の原因

 いやあ、寒くなったなあ!

 稀代の寒がりは、股引きを重ねばきし、綿入り半纏にくるまり、風邪とインフルと山の神におびえながら、はるかに遠い春の日をひたすら待つ今日このごろである。

 どうも生来、冷え性のケもあるようなのだ。

 冷え、冷え性、冷え症。どう違うのか?

 冷えは、体が冷えている状態。

 冷え性は、冷えやすい体質。

 冷え症は、冷えによってつくられた病態。

 ──というのが、川嶋朗・東京女子医大附属青山自然医療研究所クリニック所長の解説。

 冷え症の原因は、

 1 熱がつくられず、運ばれない。

 2 体でつくられた熱が外に奪われる。

 3 自律神経の働きのアンバランス。

 ──だと、前田真治・国際医療福祉大学大学院教授が、「炭酸泉プレスセミナー」で話した。

「人間の体内では、心臓、肝臓、上腕と太ももの筋肉などで熱がつくられます。

 この熱が体の隅々まで運ばれないと手先、足先が冷たくなるわけです。

 反対に放熱する部位は、太もも、首、頭です。

 首にマフラーやスカーフを巻くと温かいのは、熱の放散が抑えられるからです」

「貧血、低血圧、ダイエットによる栄養不足、運動不足、薄着(露出度の高い衣服や靴)、エアコン、これらはみな冷え症の原因になります。

 体で熱がつくられず、末梢まで熱が十分に運ばれず、さらに体の熱が奪われるからです」

「もう一つの原因は、ストレスです。

 ストレスが加わると交感神経の緊張度が高まります。

 特に首からお尻までの背中側の神経と筋肉が緊張し、冷えを感じ、頭痛、肩こりが起こり、風邪をひきやすくなります」

 冬来たりなば春遠からじ。

 がんばるべえ!



Page: 1 < 2 < 3 < 4 < 5 < 6 < 7 < 8 < 9  次の10件>>
TOPPAGE  TOP 
RSS2.0