暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

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心の病気

心がつくる病気

 心身症

 心の悩みのせいで体の具合が悪くなる病気を「心身症」という。

 ストレスが原因になりやすい。

 一方、「うつ病」も、ストレスが誘因になることが多い。

「だから心身症とうつ病は、根っこは結構近くて、病気の性質が違う、というふうに理解してください」と、中尾睦宏・帝京大学医学部准教授(心療内科)。

 ストレスが原因になる病気で、特に心身症的側面の強い病態は、神経性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、過敏性大腸炎、虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞)、円形脱毛症、不妊症、高血圧、動脈硬化、気管支ぜんそく、などがある。

 そのほか心気症(自分の健康状態を必要以上に心配する精神症状)、不安神経症、ヒステリー、そううつ病、統合失調症などもストレスが発症の原因となりうる病態と考えられている。

 心身症でもうつ病でも不安神経症でも、そして近年注目されるようになった身体表現性障害でも、体には何の異常も認められないのに、強い痛みが生じることがある。

 心がつくる体の痛みだ。

 心─このあえかにして不思議なるもの!

 心因性疼痛

 痛みは、①末梢神経性疼痛。②中枢性疼痛。③精神的疼痛に分類される。

 ①は、ケガなどのように皮膚や粘膜などが傷害されたときや、炎症やけいれんなどによって内臓に起こる痛み。

 ②は、脳の中の病気が原因となって起こる痛み。

 脊髄や脳幹などの中枢神経に起きた病変によって手足に強い痛みを感じることが多い。

 ③は、心因性疼痛ともいい、器質的障害(体の器官に生じた損傷)は全く認められず、心理的な要因のみで起こる痛みだ。

 また、器質的障害に伴う痛みが、心因によって増強される例も多くみられる。

 痛みというのは、医療の現場で最も頻繁にみられる訴えで、難治性で慢性疼痛の場合、患者は非常な苦痛を強いられ、医師は治療に難渋する。

 身体的な要素が強い痛み(器質的障害に伴う痛み)に対しては、ひたすら最先端の医療をもって原因解明の検査を進めていき、原因が突き止められたら、それを解消する治療を行えばいいわけだが、心因性の痛みはとらえどころがない。

 ある意味、最も厄介な痛みといえる。

 身体表現性障害

 心に原因のある痛みは三つに分けられる。

 一つは、うつ病の症状として現れる痛みで、もう一つは不安障害(ハッキリした原因もなく、激しい不安がしばしば生じ、どうき、息切れ、発汗、めまいなどさまざまな症状が現れる状態)。

 三つめが、うつ病でも不安障害でもないが、やはり心の病気である「身体表現性障害」の症状の一つとして現れる痛みだ。

 身体表現性障害には、疼痛性障害、身体化障害(頭痛、吐き気、腹痛、月経痛など体のいくつもの臓器に関連したさまざまな症状)、転換性障害(精神的な苦痛が身体的苦痛に転換された形の障害)、身体醜形障害(自分の体や美醜に極度にこだわる症状)など多くの病態があり、いわゆる「不定愁訴」と同じ病態とみていい。まだあまり研究が進んでいないので、臨床的に見過ごされがちなことが多いそうだ。

 聞けば聞くほどややこしい感じだが、心と体の連動で起こる多種多様な病気は、心療内科の担当だ。


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五月病予防法

 いまや年中「五月病」の時代。

 その背景には、むろん社会のストレス増加がある。

 心をストレスに強くするのが五月病の予防法だ。

 ストレスが多い職場ではたいてい、社員同士の対話がうまくいってないと、メンタルヘルスの専門家は指摘する。

 話せる相手をもつことが大切。

 悩みを打ち明け、聞いてもらうだけでかなり気が楽になる。

 仕事に行き詰まったら、たとえば親友と一杯やってグチをこぼすとか、学生時代のゼミの恩師を訪ねて相談に乗ってもらうとか...。

 会社のサークルに入ることも勧めたい。サークルには縦割りでない人間関係がある。

 親しくなった先輩社員に悩みを聞いてもらえるということもあるし、趣味やスポーツには、それ自体にストレスを和らげる作用もある。

 日常生活では、

 1 朝の太陽を浴びる。

 2 森の空気を吸う。

 3 夜、ぬるめの風呂に入る。

 この三つがいいと専門家は勧める。

 朝、太陽の光を浴びると、光の刺激で、体のスイッチが入る。

 夜、ぬるめの湯で半身浴をすると、心身の緊張がほぐれる。

 森の空気は心身のやすらぎを高めてくれる。

 休日には森へ行こう。

 ストレスサイン

 1 気分が沈みがちで憂うつ。

 2 おっくうで根気が続かない。

 3 イライラする。

 4 集中力がなくなる。

 5 寝つきが悪く、眠りが浅い。

 6 寝汗をかく。

 7 朝が一番気分が悪い。

 8 疲れやすい。

 9 冷や汗が出る。

 10 食欲がない。

 11 頭痛がする。

 12 心臓がドキドキする。

 13 ちょっとしたミスが多くなる。

 14 毎日の生活に張りがない。

 ──挙げていくとキリがないが、こうした「ストレスサイン」が複数あるようだと要注意。

 おかしいと感じたら、家族、友人、同僚、上司、産業医など誰でもいいから相談したり、カウンセリングを受けよう。

 相談しただけで不調が解消されることが多いという。

 重症化しそうな場合は、精神科か心療内科へ──。

 治療は、抗うつ薬による薬物療法が中心。

 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)といった一群の薬がよく効く。

 薬の効きにくい人や、肝臓病や心臓病、アレルギーがあったり、副作用が出やすかったりして薬が使えない人には、磁気刺激療法が効果を上げている。

 最後に一言。

 うつ病は必ず治る!


五月病&うつ病

 大型連休が明けると、五月病のシーズン。

 ──だったのは、むかしの話。

 このごろの「五月病」は、季節を問わず、また、新入生や新入社員に限らない。

 就職活動や研究室での人間関係、留年...などに悩む上級生。

 職場では、ベテラン社員でも「五月病」にかかることがある。

 五月病の通年化、拡散現象である。

 サラリーマンのうつ病

 五月病が進行すると、本物のうつ病になりかねない。

 たとえば──、

 年度が変わって仕事が一段落したり、異動にともなって環境が変化すると、目標がなくなり、無気力で精神的に不安定な状態になる。

「荷下ろし症候群」などと呼ばれる。

 あるいは、課長とか部長に昇進したあと、作業能率や集中力、判断力の低下に悩み始めるのが「昇進うつ病」。

 まじめで責任感が強い人なので、普段から持てる力を100%投入して仕事をしていた。

 昇進して、100%ならまだしも120%の力を発揮しようと、無理に無理を重ねるうちにおかしくなり始めるのだという。

 がんばらないで! と言いたい。

 うつ病は「心の風邪」といわれるくらい、あらゆる病気のなかで最もかかりやすい病気の一つだ。

 なんの病気でもそうだが、うつ病も早く適切な治療を始めると、治るのも早い。

だが、専門医の治療を受けている人は25%に過ぎない(厚労省疫学調査)。

 病気に気づかず、仕事を続けていると、能率が悪くなり、判断に時間がかかり、ミスが多くなるといったことが起こる。

 病気のせいなのに、責任感の強い人なので、自分を責めてしまう。

 気力が落ちて、会社を休みがちになる。

 そうかと思えば、心に問題があるのに、体の病気と思っている人も多い。

 気持ちの落ち込みはあまりなく、頭痛、肩こり、動悸、息苦しさ、食欲不振、下痢......といった不調に悩み続けた人がうつ病だったという例も少なくない。

 身体症状という仮面をかぶったうつ病(仮面うつ病)である。

 会社には鋼鉄のような神経を持つえらい人がいたりして、部下のそうした病状を思いやるどころか、

「たるんどる!」と叱り飛ばしたりする。

 病気はますます悪化してしまう。

 うつ病対策には、管理職の管理能力、対話能力も必要だ。


花かぶれ・ハゼまけ

 うるわしの五月、はじまる。

 花屋の店頭にいろいろな花の鉢植えが並べられてある。

 その美しいかれんな花たちが、皮膚炎の原因になることがある。

 よく知られている一つは、プリムラ・オブコニカ(西洋桜草)。

 葉や茎から分泌されるプリミンという刺激性の物質が皮膚につくと、人によってはひどくかぶれる。

 チューリップにもかぶれ成分があり、オランダでは栽培者の職業病になっているそうだ。

 花屋の人が、フリージアにかぶれて仕方がないので扱うのをやめたという話もある。

 アロエ、キク、ライラックなどもかぶれを起こしやすい成分を含んでいる。

 ウルシやハゼなど揮発成分のあるものだと、そばを通っただけでもかぶれる人がいる。

 子どものころ、ハゼにかぶれたことがある。

 そのとき、祖母が教えてくれた。

「ウルシにゃ負けても、うぬにゃ負けん!」

 こんど、ハゼの木のそばを通るときは、そうおらんで(叫んで)通ればよい、と。

 以来、"ハゼ負け"はしなくなった。

 ハゼ、ウルシかぶれに暗示の力が強く作用することは、池見酉次郎・九大名誉教授(心身医学)が実験的に証明している。

 ハゼやウルシにひどくかぶれるという高校生13人に目かくしをして、右手(または左手)には、かねて恐れているハゼ(またはウルシ)の葉を、

「これは栗の葉だ」と言ってすりつけた。

 もう一方の手には、無害な栗の葉を、

「これはハゼ(またはウルシ)だ」と告げてすりつけた。

 結果、そのなかの9人が、栗をハゼ(またはウルシ)だといってすりつけた方にだけ皮膚炎が現われ、ハゼ(またはウルシ)を栗だといつわってすりつけた方にはなんの変化もみられなかった。

 残りの4人のなかの2人は両腕ともかぶれた。(池見酉次郎著『心療内科』=中公新書による)

 話を戻すと、花かぶれは、触れさえしなければ大丈夫だ。

 だから最上の予防法は「触らない」こと。

 手入れをするときは手袋をはめ、終わったら手や顔を洗おう。

 かぶれは、医学用語では接触性皮膚炎。

 表皮に対する多種多様な物質の刺激による非アレルギー性、あるいはアレルギー性の変化で起こる。

 非アレルギー性の代表がおむつかぶれ。

 化粧品かぶれや花かぶれは、アレルギー性だ。

 治療はむろん皮膚科──。


栄転ストレス

 サラリーマンの4月は異動の月。

 栄転した人もあれば、左遷された人もいるだろう。

 どちらがより大きなストレッサーになるかといえば、栄転のほうだと精神衛生の専門家は言う。

 左遷されると、同僚が愚痴を聞いてくれる。

 慰め、励ましてくれる。日本的〝飲みにケーション〟がストレス解消に役立つ。

 一方、昇格人事では、周囲のジェラシーや仕事の質の高まり、推薦してくれた上司への恩義などがけっこうストレッサーとなる。

 昇進も難儀なものらしい。

 むろん生きがい、働きがいもそこから生まれるのだろうが。

 サラリーマンのストレスを点数化した大阪府立公衆衛生研究所の表を見ると、1位は配偶者の死で83点。以下━━、
 
 倒産・失業=73点、離婚=72点、夫婦の別居=67点、仕事上のミス=61点、

 転勤・配転=57点、労働条件の変化=56点、ポストの変化=52点、

 上司とトラブル=51点、結婚=50点、子どもの受験勉強=46点...。

 ストレスが長く続くと、体にさまざまな症状が生じる。

 心身症だ。

 なかなかどうして「気楽な稼業」などではないようだ。


生きづらい!

 発達障害

きょう4月2日は、世界自閉症啓発デーだ。

 2007年12月、国連総会で制定された。

 日本ではそれより早く05年4月に発達障害者支援法が施行されていた。

 2日~8日の<発達障害啓発週間>には、自閉症、アスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥多動性障害)などについて理解を求めるイベントが各地で開催される。

 自閉症は、他者とのコミュニケーションをつくるのが困難な発達障害で、3歳ぐらいまでに現れる。

 知的発達や言葉の遅れがみられ、軽症から重症までさまざまに異なる。

 よく誤解されるが「引きこもり」とは違う。

 親の育て方ともなんら関係はない。

 アスペルガー症候群は、自閉症の特徴を持っているが、知的発達や言葉の遅れはみられない。

 が、人の気持ちや場の空気がつかめず、人とうまく付き合うことができないので、周囲の理解やサポートが得られず、生きづらい思いをしている人が少なくない。

 ADHD(注意欠陥多動性障害)の三大特徴は不注意、多動性、衝動性。

文部科学省の調査では、通常学級生徒の2.5%が、ADHDの行動特徴を持っていると
いう。

 ADHD

 ADHD(注意欠陥多動性障害)には、

 1不注意優勢型、

 2多動性衝動性優勢型、

 3混合型、とある。

 子どもで特に問題になることの多いのは、2だ。

 授業中でも教室を歩き回る、話に集中できない、落ち着きがない、怒るとすぐに手が出る。

「そういう子も小学校高学年から中学生になるにしたがい、次第に落ち着いてくる。

 多動性衝動性は、成長に従って軽減してくる面も大きい。

 脳の機能が発達してくるからだ」

 と、専門家は説明している。

 ADHDの原因も、ほかの発達障害と同じように「脳機能の偏り」にあるとされるが、詳しいことはまだ解明されてない。

 ハッキリしているのは、家庭環境や親の養育(しつけ)とは全く関係ないということだ。

 2007年4月、特別支援教育がスタート、着実に進展してはいるが、ADHDをもつ子どもにとって完全に良い環境が整ったとはいえないようだ。

 製薬会社の日本イーライリリーが行った意識調査でも、保護者と医師の考え方にギャップが生じていることがわかった。

 環境格差

 ADHD(注意欠陥多動性障害)児をもつ保護者と医療現場の連携はうまく取れているか、諸外国の事情はどうか。

 製薬会社の日本イーライリリーは、世界精神保健連盟(WFMH)と協力し、日本を含む世界9カ国で「ADHD国際調査」を行った。

 多くのさまざまな調査項目で、日本と諸外国の結果に差が出た一つは、

「ADHD児が将来自立し、社会で生活していくこと」についての保護者の回答だ。

「かなり心配」が日本は67%、諸外国は24%。

「心配」が日本23%、諸外国38%。

 この差は日本のADHD対策の遅れの裏返しの証明とはいえないか。

「冊子など紙媒体によるADHDに関する情報提供」=日本13%、諸外国52%、

「子どものソーシャルスキルや感情をコントロールする能力の育成をコントロールするための治療プラン」=日本9%、諸外国41%─というような彼我の格差に、

 報告者の田中康雄・北海道大学大学院教授は、

「日本以外の主治医のほうがよく頑張っている。

 しゃべっている自分の耳が痛くなる」

 と、プレスセミナーで話した。


うつ三題

 女性のうつ

 一般人口でのうつ病の頻度は、男性1:女性2。

 どの国でも比率はほぼ同じで男性が人口の約5%、女性が約10%だ。

 なぜ女性の頻度が高いのか、定説はないが、いくつかの理由は考えられる。

 坪井康次・東邦大学医学部教授(心身医学)の解説はこうだ。

「女性は、生理によるホルモン分泌の変化があり、出産も体に大きな変化を起こします。

 更年期には女性ホルモンが減少します。こうした体の内部環境の変化が、うつ病の発症に関係していると考えられています。

 子どもにもうつ病があり、小学生のころは男子と女子の発症の比率は1:1なのですが、15~16歳では1:2になります。

 これにも女性ホルモンの影響が考えられます」

 うつの好発年齢は、中年期だ。

 更年期の変調に──、

 ●子どもの独立

 ●体力や美容に限界を感じる

 ●記憶力が落ちてくる──など、

「対象喪失」という心理・社会的状況が加わるためだ。

 最近は、発症の山として、30~35歳が新たにみられるようにもなった。

「女性のうつは時代とともに少しずつ変化しています」

 不眠とうつ

「うつ」は、さまざまな身体症状の中に潜んでいる。

 特に「不眠」とは"相性"がいいようだ。

 製薬会社のグラクソ・スミスクラインが、20~50代の睡眠薬服用者に行ったアンケートによると、

「うつ症状を伴う」人が36.7%。

 睡眠薬を服用していない同世代の人のそれは15.6%だから、2倍以上だ。

 年代別では、30代が50.8%と最も高く、20代45.2%、40代44・9%と続く。

 睡眠薬の服用頻度と、うつ症状を伴う人の割合をみると、

「数カ月に1回服用」群の27%に対して、「ほとんど毎日服用」群では48%と、有意にうつ症状を伴う人が多かった。

 また、うつ症状を伴う人は、睡眠薬を服用しても、なかなか寝つけない、熟睡できない、朝早く目が覚めてしまう──といった傾向がみられた。

「不眠は、うつ症状の重要なリスクファクターであり、うつ病の典型的な随伴症状です。

 睡眠薬を服用している人は、不眠以外の精神面の不調についても、主治医とよく相談することが大切です」

 と、坪井教授は話している。

 よく眠ろう
 
 不眠は、抑うつ気分、興味の喪失といった、うつ病に特徴的な精神症状に先行して出現することが多い。

 不眠の悪化はうつ病を重症化させ、不眠が改善すればうつ病も軽快する。

 だが10年ほど前までの米国のうつ病治療ガイドラインでは、うつ病患者の不眠は、うつ病の二次的な症状であり、治療が進めば改善する。

 睡眠薬などによる治療は不必要とされていた。

「しかし、うつ病に伴う不眠に対しては、睡眠薬を用いて積極的に治療したほうが、不眠以外の抑うつ症状の改善が早いことが明らかになって、今はうつ病の治療には、抗うつ薬と共に睡眠薬が処方されます」

 と、内山真・日本大学医学部教授(精神医学)。

 よい睡眠は、健康の必要条件だが、だらしなく眠り過ぎるのは逆効果のようだ。

「うつ病寛解期にある患者さんが、連休をきっかけに再発することが多いのは、不規則な形で長い睡眠をとると、うつ状態が悪化することを示すものかもしれません」

 ──うつ病患者でなくても、惰眠をむさぼるのはよろしくない。

 よく働き、よく眠ろう。


春が来た!

春がきた。やっとこさ、春が来た。

 同じことを何度も言うようだが、ことしの冬は、本当に冷酷で長い冬だった。

 3月の声を聞いても、東京でも雪がふり、それくらいならまだゆるせるが、新潟県上越市の山では大規模地滑りでふもとの家が11棟も押し流された。

 原因は、豪雪の雪解け水と見られている。

 TVニュースの映像を見て、ため息をつくばかりの自分が情けない。

 1年前の3月11日もそうだった。

 ダメなやつだな、おまえは。

 しっかりしろよ!

 だから......、いや、やめよう。

 じいさんの自己嫌悪の愚痴など、だれも聞きたくないだろう。

 みっともない!

 気を取り直して、明日のブログ──。

 春の憂鬱 

 春──。

 春は、なぜ「はる」なのか。

『大言海』には、

「万物、発(は)る候ナレバ云(い)フト云フ。─略─草木ノ芽張ルコト。」とある。

「田畑を<墾(は)る>意。または気候の<晴る>の意からか」というのは、『広辞苑』だ。

 英語の春の「スプリング」には、「跳躍」「バネ」「泉」などの意味があり、

 フランス語の春の「プランタン」は、ラテン語の「最初の季節」が語源だそうだ。

 陽の光が戻り、自然が再生する春は、入学、入社、異動・転勤など─人事新生の季節でもある。

 百花繚乱、人生の花もいろいろに咲く季節だ。

 なのに、なぜか心が暗く沈みがちな人がいる。

 環境の変化に適応できず、体や心の変調を訴える人がいる。

 春先に精神のバランスが崩れやすいのは、気温の上昇とともに悩の中の神経伝達物質が減るためだという説がある。

 軽いうつ気分が生じ、更年期障害も悪化しやいようだ。

 気持ちが憂うつに落ち込む精神症状は現れず、もっぱら身体症状だけを訴える「仮面うつ病」もある。

 うつ病の初期には、抑うつ気分などの精神症状よりも、身体症状が強く出ることが多い。

 ある専門医の調査では、心療内科でうつ病と診断された患者の65%が、最初は内科を受診、精神科や心療内科を訪ねた人は10%以下だった。

 動悸、めまい・ふらつき、息苦しさ、頭重感・頭痛、不眠、肩こり・首のはり、吐き気・むかつき、だるさ・疲れやすさ、食欲不振、しびれ、ふるえ......。

 多彩な自覚症状の原因として、多くの患者はまず体の病気を疑う。

 が、問診で精神症状の有無を調べると、「不安感」「憂うつ」「あせり」「いらいら」「おっくう感」などが認められる。

 そうした症状を、患者が自分から医師に訴えることは少ない。

「気分はどうですか?」という医師の一言が、うつ病の早期発見につながる。

 半面、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を治療中の患者が、うつ症状を相談する例も結構多い。

 内科系のプライマリーケア医が、うつ病を理解し、その対処法を知ることがこれからますます必要になる──と、専門家は指摘している。


うつの妙薬


 年中毎度のことだが、パソコンで駄文製造中、頭がボーッとぼやけてくると、もうなんにもヤル気がなくなる。

 自宅労働の利点は、そんなときさっさと机を離れて、昼寝ができることだ。

 30分ほど眠って目覚めると、頭がスッキリして、うつ気分がすっかり消えている。

「昼寝はうつの妙薬」と独り決めしていたが、この素人考え、あながち見当外れでもないようだ。

 日本大学医学部の兼板佳孝・専任講師(睡眠疫学)らは、厚生労働省による全国300地域・20歳以上の男女約2万5000人の調査データから、睡眠とうつの関係を解析、

「睡眠時間が7時間より短くなればなるほど、また8時間より長くなればなるほど、うつ状態の有病率が増すことが認められた」と報告している。

「不眠とうつ状態との間には、相互に原因にも結果にもなり得る密接な関連性がある。

 不眠が原因となってうつ状態になるし、うつ状態となった結果、不眠が重症化する。

 睡眠薬を適切に用い、この悪循環を遮断したうえで、根本的治療を行う必要がある」

 ──と、兼坂先生。

 なお、ヤボなつけたしながら、寝酒は、かえって不眠をこじらせる。

 睡眠の専門家はみなそう言っている


ポンカン効果

 同病(前立腺がん)の先輩、杉原輝雄プロが亡くなった。

 杉原さんの前立腺がんは1997年12月にわかった。

 闘病14年、「生涯現役」を貫いた。

 当方が、がんの告知を受けたのは、12年前の99年10月。

 以来、ずっと杉原さんの背中を見るような気持ちを持ちつづけてきた。

 心強い先導者だった。

 感謝の念をこめてご冥福をお祈りする。

 *

 ふるさと屋久島から相次いでポンカンが届いた。

 旧友(小学校の同級生)羽生一馬と、生家の寺(浄土真宗本願寺派普晃寺)の住職、釈恵信尼こと従妹の「絹代ちゃん」からである。

 このところちとハラの立つことがあり、ユーウツだったが、友の情、血縁の情にカンゲキし、香りの高い果実を口に入れたら、気分がすっきり晴れた。

 われながら単純な性格だと思う。

 神経薬物学の研究者からの受け売りだが、うつ病には天然のかんきつ香料がよく効く。

 抗うつ薬と香り療法を併用した著効例があるそうだ。

 ミカンなどかんきつ類の栄養特性は、ビタミンCと食物繊維が豊富なことだろう。

 ビタミンCは、皮膚や筋肉や血管を構成するコラーゲンの生成に欠かせない。

 欠乏すると、そうした組織が壊れて壊血病になる。

 また、体の中で過酸化脂質ができるのも、ビタミンCは防ぐ。

 過酸化脂質は「体のサビ」といわれ、がん、動脈硬化、糖尿病などの引き金になる。

 ビタミンCをよく取っていれば風邪を引かないと、自分の体験に基づいて主張したのは、ノーベル賞を2度受賞した(化学賞と平和賞)、ライナス・ポーリングだ。

 インフルエンザがはやっている。

 ミカンを食べて、風邪を防ごう!


 ミカンの小袋

 ミカンには食物繊維が豊富だ。

 食物繊維にはいろいろな種類があるが、大別すると、セルロースなどの不溶性繊維と、ペクチンなどの水溶性繊維の二つになる。

 前者は便通をよくし、後者は血液中のコレステロールを減らすのが、最大の働きだ。

 ミカンの果肉は天然の食品中で最も多くペクチンを含み、小袋はセルロースそのものだ。

 すなわちミカンを袋ごと食べれば、ビタミンC、ペクチン、セルロースを一緒に取ることができ、それらの総合的作用が得られる。

 肌がきれいになり、風邪もひきにくく、高コレステロール血症を改善し、便秘を防ぎ・治す効果が期待できる。

 よくかんで食べれば脳も刺激され活性化するだろう。

 果物をよく食べる人は脳梗塞(こうそく)になりにくい。

 最高で31%、脳梗塞の発症を防ぐ効果が得られたという。

 米ハーバード大の研究チームが、10万人を超える人たちを、8年~14年かけて追跡したデータだ。

 米国の調査だからかんきつ類はオレンジとグレープフルーツだが、日本のミカンにも当てはまるだろう。



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