暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

バナー原稿 468×60 (140228)imp

子どもの病気

子どものメタボ

  カエルとメタボ

ニュースのない日は動物園に行ってみる─というのが、昔の新聞記者心得の一つだった。

サル山のボス争いとかカバの大あくびとか、心和む閑種(ひまだね)を探す早道だったからだ。

また、スポーツ、芸能、流行、健康、子どもに関する話題は見逃さず記事にすべし─ともいわれた。

大方の読者共通の関心事だからで、これはいまでもそうだろう。

であるなら、子どもの健康は、さしずめ関心の2乗だろう。

「こどもはわれわれの未来であるとともに、われわれの過去でもある」と民俗学者、柳田国男は言っているが(『こどもと言葉』)、子ども(の現在)がわれわれの過去であるのなら、われわれ(の現在)は子どもの将来にほかならない。

「親を見りゃボクの人生知れたもの」なるメイ吟もある。

これを健康面に当てはめると、親が太っていると、子も太る。

カエルの子はカエル、メタボの子はメタボというわけで、その理由は、体質の遺伝と同一の食事環境だ。

子どもの肥満はそのまま大人の肥満につながりやすく、大人になってからの肥満よりも治しにくい。


 ママの責任

肥満児の背後には、たいてい肥満した親が控えている。

多くは母親だ。

理由は体質の遺伝と同一の食事環境。太りやすい体質を共有していて、いつも同じ物を同じように食べていれば、同じように太るのは当然の成り行きだろう。

子どもの肥満は、そのまま大人の肥満に移行しやすい。

脂肪細胞は、思春期まではその数が増え、それ以後は細胞自身が大きくなるといわれる。

つまり子どものときからの(脂肪細胞がいっぱい増えた状態の)肥満は、大人になってからの肥満とは違い、なかなか治しにくい。

成人後の肥満は、もっぱら当人の責任だが、子どもの肥満は、離乳食の食べさせ過ぎが基盤となって完成する。

責任は母親が負わなければならない。

離乳食については、もう一つ問題がある。

母親が自分の味覚に合わせて味つけをするため、しぜん塩分が多くなることだ。

で、日本人は赤ん坊のころから塩味好みになり、成人後の高血圧発症の原因になる。

高血圧予防は離乳食から─と説き続けた人が、循環器内科の大家、故五島雄一郎・東海大学名誉教授だった。


スポンサードリンク

うつぶせ寝の危険度

うつぶせ寝で1歳男児死亡 都内の事業所内保育施設

東京都は12日、認可外の事業所内保育施設で3月、うつぶせに寝かせられた1歳2カ月の男児が心肺停止状態となり、搬送先の病院で死亡が確認されたと発表した。

都は長時間うつぶせのまま、呼吸の確認を怠るなど安全対策が不十分だったとして、運営会社に改善指導を行った。(産経新聞4月13日)

これまでもしばしばくり返された事故がまた起きた。


うつぶせ寝の転変

赤ちゃんのうつぶせ寝については、じつに半世紀にわたる是々非々の論議が行われてきた。

ふり返ってみよう。

育児書の名著中の名著といわれる松田道雄著『私は赤ちゃん』(岩波新書)のなかに、うつぶせ寝に触れた箇所がある。

赤ちゃんの「私」が、うつぶせに寝ていると、ママやパパはそのたびに仰向けにしてしまう。

「私はうつむいてねるほうがらくなんだ。大地にしっかりとつかまっていたいんだ。やわらかいフトンに胸を押し当てているほうが、気持ちがいいんだ」。

同書の初版発行は1960年。うつぶせ寝はそのころのはやりでもあった。

その風習は、進駐軍の夫人たちが持ち込んだものだった。

しかし、ベッドとちがって軟らかい布団に寝かせたための窒息死が相次ぎ、「近ごろ流行、うつぶせ寝の危険度」といった記事が週刊誌をにぎわしたりして、いつの間にか消えた。

再びはやり始めたのは1980年代だった。

1988年の「小児保健セミナー」(日本小児保健協会主催)で、うつぶせ寝を採用している産婦人科医や小児科医が、うつぶせ寝の臨床報告をしている。

「吐乳が予防できる」「ミルクをよく飲み、よく眠る」「運動神経機能の発達がよく、首のすわり、ハイハイが早い」「頭の変形予防によい」「うつぶせ寝になるときにとるカエル足は、先天股脱の予防によい」など、プラス面が多いというものであった。

そして、当時、最も強くママたちの心をとらえたのは、うつぶせ寝で育てると「絶壁頭にならない」という美容家、大関早苗さんの推奨だった。

大関さんは、孫が生まれたロンドンの病院を訪ねて、うつぶせ寝を知り、西洋人の彫りの深い顔立ち、ヒップアップした体形の原点はここにあるのではないか、と考えた。

「うつぶせ寝で育てた赤ちゃんに絶壁頭はない」と新聞・雑誌に書き、テレビ・ラジオで話した。

東京オペグループ(主な会員は産婦人科の開業医)を主宰する杉山四郎・杉山産婦人科院長は、欧米の産院を何度も視察し、うつぶせ寝の採用に踏み切り、それに追随する産院がふえた。

東京オペグループのセミナーの講師として大関さんを招いたこともあった。

杉山医師は、うつぶせ寝のさい厳守しなければならない、次のようなルールを母親たちに指導した。

①寝具は軟らかい布団をやめて、硬いベッドかマットレスを用いる。

②シーツはしわが寄らないように張る。

③赤ちゃんの衣類は袖口がフイットした半袖が理想。

④寝ている1㍍以内にはガーゼ、そのほかのものを置かない。

⑤母子相互関係を密にする。

ところが、1992年、米小児科学会が、突然死した乳児にはうつぶせ寝が多く、乳幼児突然死症候群(SIDS=シッズ)の発生率は、乳児を仰向けに寝かせることで有意に減少し得るという声明を発表した。

日本でも1997年、厚生省(現・厚生労働省)の研究班が、うつぶせ寝にすると、仰向け寝よりもSIDSの発症リスクが約3倍も高いことがわかったと発表。

同省は、うつぶせ寝とたばこ(両親の喫煙もSIDS発生の大きな危険因子)をやめる啓発キャンペーンを展開した。

結果、年間600例にも達した発症数が年々減少、2011年には148例になった。

「うつぶせ寝がSIDSを引き起こすものではありませんが、医学上の理由でうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせるようにしましょう。また、なるべく赤ちゃんを一人にしないことや、寝かせ方に対する配慮をすることは、窒息や誤飲、けがなどの事故を未然に防ぐことになります」(同省HP)

成人のうつぶせ寝を勧める「腹臥位療法推進研究会」の名誉会長、日野原重明先生もこう話している。

「赤ちゃんがうつぶせ寝で窒息死するのは、一つは布団や枕に問題があるんです。顔が枕や布団に埋まらなければ窒息する心配はない。

布団はかためのものにして、うつぶせになったとき顔が埋まらないよう気をつける。

そうすれば、うつぶせ寝のほうが呼吸が楽で心臓にも負担が少ないし、うつぶせ寝で育てると、頭の形がよくなるともいわれています」(雑誌『壮快』2004年11月号「名医に聞く うつぶせ寝の効用」)。


子どもの目

 健康な子どもの目は、眼前7~8センチの物から無限遠の物までハッキリ網膜にとらえることができる。

 レンズの役目をする水晶体が厚くなったり薄くなったりして、自動的にピント合わせをしているからだ。

 その操作を行っているのが調節筋だ。

 ところが、長時間近くの物ばかり見ていると、調節筋の緊張がほぐれにくくなる。

 近くの物を見るのに都合のよい状態が固まって、調節筋にも水晶体にもクセがつく。

 これが近視発生のしくみ。

 クセが固まれば固まるほど元に戻しにくくなる。

 文部科学省の学校保健統計で、裸眼視力1.0未満の児童・生徒の被患率を見ると

 平成17年=幼稚園20.4%、小学校26.5%、中学校47.8%、高校58.7%。

 平成20年=幼稚園28.9%、小学校29.9%、中学校52.8%、高校58.0%。

 マキシマムに達した高校以外は、毎年ワースト記録を更新している。

 原因は言わずと知れたコンピュータゲームのようだ。

 本は30センチ以上離して読む。

 テレビは3メートル以上離れて見る。

 長時間見続けない。

 ゲームは1時間まで─。

 悪い姿勢をしない。

 家の外に出て、明るい、遠くの景色を眺める。

 近視を予防するためばかりでなく、丈夫な心身をつくるためにも、子どもにはそうした生活が必要だろう。


夏の胃腸炎

 夏には腹痛、下痢、嘔吐などの患者が急増する。

 この急性胃腸炎の原因は三つ。

 ①細菌性食中毒によるもの。

 ②風邪のウイルスによるもの。

 ③細菌ともウイルスとも無関係の暴飲暴食によるもの。

 細菌性食中毒は年中注意が必要だが、高温多湿の夏場は特に危ない。

 夏風邪や食中毒のとき、便の中にどんな細菌やウイルスがあるかを調べたデータによると、細菌ではカンピロバクター菌、ウイルスではロタウイルスが一番多かった。

 カンピロバクターは、肉類を介して感染するケースが多い。

 生焼けの肉、鶏肉サラダ、レバ刺しには気をつけたほうがいい。

 ロタウイルスは、感染力が強く、ほとんどの乳幼児が5歳までに一度は感染する。

 冬に流行する乳児の嘔吐下痢症の原因のほとんどはロタウイルスだが、夏にもけっこう流行る。

 主な症状は下痢、嘔吐、発熱だが、重症化すると、脱水症状や痙攣、脳炎などの重篤な合併症を引き起こす場合がある。

 治療方法は対症療法のみ。

 いたいけな乳幼児の看病、感染拡大防止のための汚物処理や消毒など、保護者にも大きな負担となる。

 衛生状態の改善だけでは感染を防ぐことは難しく、重症下痢症に占めるロタウイルスの割合は先進国と開発途上国でほぼ同等だ。

 世界保健機関(WHO)は先進国、開発途上国に関係なくすべての地域において、ロタウイルスワクチンの定期接種化を推奨している。

 経口弱毒生ロタウイルスワクチン「ロタテック(R)内用液」のメーカー、MSD株式会社は、ロタウイルス胃腸炎疾患啓発サイト「産後ロタ.jp」を開設。

ロタウイルス胃腸炎の症状やその原因となるロタウイルスに関する解説のほか、予防ワクチンに関する情報を提供している。

 PCサイト:http://35-rota.jp/

 携帯サイト:http://35-rota.jp/m/

 子ども罹患したさいの家族の負担などをマンガで分かりやすく紹介したページ「とある家庭のロタウイルス胃腸炎」や、実際に子どもがロタウイルス胃腸炎に罹ったお母さんの声なども掲載している。


夜の失敗

 夏休み!

 臨海学校や合宿に出かける子どもも多いだろう。

 そこで心配になるのが、おねしょ。

 小学生になってもまだおねしょをしている子はけっこう多く、旅行の前になると、「夜中に一度、起こしてください」と、担任の先生に頼みに来る母親が何人もいるそうだ。

 で、旅行から帰って来た子が、「僕だけじゃなかったよ。夜中にトイレに行ったら、みんないたよ」と明るい声で報告、それをきっかけにおねしょが治ったという例もある。

 夜尿には、1 多尿型、2 膀胱型、3 混合型、4 正常型、と四つのタイプがある。

 1は、睡眠中に作られる尿の量が多いタイプ。

 人間は普通、昼間より夜間のほうが尿の量が減る。

 夜、寝ている間は、尿の産生を抑える抗利尿ホルモンが多く分泌されるためだ。その分、尿は濃くなる。

 赤ちゃんのときは昼も夜も同じように排尿するが、3~4歳ごろになると、抗利尿ホルモンの分泌や、排尿にかかわる自律神経のバランスがうまくとれるようになり、夜、寝ているときには排尿をしなくなる。

 多尿型の子どもは、抗利尿ホルモンの分泌が不十分なために、夜間にもたくさんうすい尿ができ、尿を貯める膀胱の容量を超えて、漏らしてしまう。

 ついでにいえば、年をとると抗利尿ホルモンの分泌がへる。

 高齢者の夜間頻尿の一因は、それだ。

 2は、作られる尿の量は通常だが、膀胱の発達が未熟なために貯められる尿の容量が少なく、尿があふれて夜尿をしてしまうタイプだ。

 3は、1と2の両方がみられるタイプ。

 4は、尿の量も多くはなく、膀胱の容量もほぼ正常で、データ的には異常はないが、夜尿をする。

 その大部分は1、2、3が改善し、もうすぐ治るという状態になっているもので、夜尿の程度や頻度も少なく、ある日突然、治ってしまうものがほとんどだ。

「夜尿症は、一つの病気ではありますが、そのほとんどが自然に治っていくものです。

 だからといって、いつまでも放っておいてよいということではありませんが、あまり早くから心配しすぎるのも考えものです」

 と、新都心こどもクリニック(さいたま市)の赤司俊二院長。

 治療は、体には何の異常もないことをはっきりさせて、本人を安心させる。

 自信をつけさせる。薬物療法、アラーム療法(パンツに小さなセンサーをつけ、尿がちょっと漏れると水分に反応してブザーが鳴って、目が覚める)などいろいろあるが、中心は生活習慣の改善だ。

 夜尿のタイプに合った食事や水分の摂取コントロール、排尿訓練、そして家族の協力だ。

 夕方からの水分摂取はなるべく減らし、夕食は就寝の3時間前までに─。

 料理は塩分を少なめに─(尿は塩分を排泄するために作られるので、塩分の多い食事は尿の量を多くする)。

 昼間に排尿を我慢する排尿訓練は、膀胱の容量を大きくしていく効果がある。

 こうした夜尿を治すための食生活や排尿訓練は、最低でも数カ月以上かかる。

 必須条件は「根気」だ。

「だからこそ家族で話し合い、夜尿を治すために全員で協力していくことが、とても大切なのです。

 焦っても夜尿は治らない、怒っても良いことはなにもない、夜は起こさずよく寝かせる──焦らず、怒らず、起こさない──が三原則です」と、赤司先生。

 先生の本『夜尿症―その正しい理解のために』(悠飛社=1470円)のご一読を、子どものおねしょに悩むお母さんにお勧めしたい。

 なお、ときには、大人でもおねしょをすることがある。

 精神的なストレスが原因となることが多い。

 以前に見たテレビドラマで、大口の得意先を失ったデパートの外商部の課長が睡眠中に失禁するシーンがあったが、そうした強い精神的過労による夜尿も珍しくないようだ。

 むろん、このような夜尿自体は心配無用である。

 なお、子どもの夜尿については去年12月にも「叱らないで!」と題して、記した。


食物アレルギー

 アレルギー疾患のうちぜんそくやアトピー性皮膚炎の患者数は、世界的に頭打ちになっているが、食物アレルギーは先進国を中心に増えている。

 ヨーロッパではシラカバの花粉症と関連する口腔(こうくう)アレルギー症候群が問題になっている。

 シラカバの花粉はバラ科の植物の花粉と似ているため、シラカバアレルギーの人が、バラ科の果物(リンゴなど)を食べると口が腫れたりする。

 アメリカではナッツ類のアナフィラキシー(過激なアレルギー症状)が大問題で、毎年50~100人が死亡している。

 日本では、厚労省が3年に1度、食物による健康被害の全国調査を行っているが、直近のそれを見ると、卵アレルギーは横ばいで、牛乳・小麦・ピーナッツのアレルギーが増えている。

 また、日本では小麦やそばのアレルギーも特徴的だ。

 子どもの食物アレルギーに、親は過剰に反応しがちだが、専門家によると、乳児のときに発症した食物アレルギーが、小学生になっても残るのは1割程度だという。


子どもの肥満とやせ

 小児メタボ

 生活習慣病の予防は子どものころから始めるべきだ。

 小中学生(6~15歳)を対象とする、厚生労働省の「小児のメタボリック症候群」の診断基準は──、

 男・女児ともウエストが80センチ以上で、それに加えて、

 血圧125―70mmHg以上、血糖値100mg/dl以上、高脂血症(中性脂肪120mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満)の2項目以上があてはまるもの──とされている。

 肥満児の5~20%がこれにあてはまる可能性があるという。

 文部科学省によれば、標準体重の120%以上の「肥満傾向児」は、この30年間に3倍近く増えて、およそ10人に1人。

 子どもでも肥満の増加と2型糖尿病(普通にみられる成人型の糖尿病)の増加は見事に相関し、肥満が増えるのに伴って2型糖尿病も増えて、年間10万人当たり8~10人の子が、2型糖尿病を発症している。

 子どもの2型糖尿病など、昔は考えられなかったことだが、今は大問題。

 1992年からは学校健診で尿糖の検査が行われるようになっている。

 半面、肥満とは反対のやせの心配もしなければならない現状もある。

 やせの問題

 肥満児が増える一方、低体重児も、同じくらい増えている。

 文部科学省は、標準体重に対して80%以下の体重の子を「痩身(そうしん)傾向児」としているが、この20年間に2倍、特に女の子では3倍近く増えている。

「以前は子どものやせは、栄養障害とか慢性疾患など病気のためと考えられていた。

 しかし、病気がそんなに増えるわけはない。

 若い女性の<ファッションとしてのやせ>が、子どもたちにも増えている。

 これは大きな問題だと認識しなければいけません」と、子どもの食育に詳しい村田光範・和洋女子大教授(元東京女子医大小児科教授)。

 やせ過ぎも、肥満と同じように死亡リスクが高くなることがわかっている。

 体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割ったBMI(体格指数)が18.5未満の「やせ」は、BMI22~24.9の「標準体重」に比べて、女性では約3倍、男性では約2.5倍、死亡率が高い。

 骨密度の低下による骨折も増える。

 若い女性は生理不順になりやすいし、不妊症になることさえあるという。


少子化&小子化

 赤ちゃんがだんだん小さくなっているらしい。

 厚生労働省の乳幼児身体発育調査によると、赤ちゃんが最も大きかったのは。1980年。

 男児の出生時体重は平均3230グラム。女児のそれは平均3160グラムだった。

 以来、年ごとに小さくなり続けて2010年には男児が平均2980グラム、女児が平均2910グラム。

 どちらも250グラム減った。

 背景に、若い女性のスリム化と、少子化で初産の割合がふえたことがある、という。

 低体重の女性が妊娠すると、低体重児を出産する傾向があり、その子が成長すると生活習慣病になりやすい。

 ヨーロッパで栄養状態が悪かった1930~40年の新生児を追跡調査したデータから導かれた仮説だ。

「妊婦さん しっかり食べて」という朝日新聞5月23日の記事によれば、最近の日本の調査研究でそのことが実証されている。

 名古屋大の玉腰浩司教授(公衆衛生学)らの調査(35~66歳の男女約3100人)によると、

 出生時の体重が2500~3000グラムのグループは高血圧(最高140以上、最低90以上)の比率が26.1%だった。

 一方、3000~3500グラムは22.8%、3500グラム以上は19.4%と、出生時の体重が少ないほど、高血圧の割合が高い傾向がみられた。

 新潟大医歯学総合病院の内山聖院長(小児科)や菊池透小児科講師らは、

 6歳~15歳の肥満の男女約960人を出生時体重の軽い順に4グループに分けて、血中のインスリン濃度など糖尿病になりやすいかどうかを調べた。

 結果、出生時体重が軽いほど、インスリンの働きが弱いなど糖尿病になるリスクが高かった。

「胎内が栄養不足になると、胎児の体内で低栄養に対応しようと変化が起こるようです。

 それが成人になって、栄養が足りた状態になると、悪さをしているのではないかと考えられています」

 ──と内山院長は説明している。

 人類は、長い飢餓の歴史のなかで、体のエネルギーの消費を抑え、エネルギーを倹約してため込む「倹約遺伝子」を獲得した。

 胎児期に母体から受ける栄養が少ないと、倹約遺伝子が強く発現する体の状態になってしまい、生まれたあともエネルギーをため込んで、うまく使えない。

 その体質が、インスリン抵抗性(糖質を処理するホルモン=インスリンの働きを妨げる作用)をつくり、生活習慣病につながるのではないか。

 かつて新生児体重が増加傾向にあった時代には、妊婦が太り過ぎると妊娠中毒症や妊娠糖尿病のリスクが高まる心配や、小さい赤ちゃんだと分娩(ぶんべん)が楽といったことから、

「小さく産んで大きく育てよ」と言われた。

 しかし、いまは低体重の女児が、低体重の女性に成長し、低体重の子を出産すると、生活習慣病の予備群がふえる。

 長い目で見ると、そういうことが言えるわけだ。

 やせ過ぎの子どもがふえているのは、肥満と同じように重大問題だと、専門家は指摘している。


見張りイボ

 赤ちゃんの肛門の縁に小さなおできができて、少しずつ大きくなってきた。

 悪性のものではないか、と小児科に連れてくるお母さんが少なくないそうだ。

 肛門の出口、仰向けに寝かすと、ちょうど時計の12時のところにポツンとひし形のおできができて、そのまわりの皮膚とともに赤くなる。

 おできをそっとまくるように押し上げてみると、裏側に線状の裂け傷がある。

 これは「見張りイボ」という炎症性の産物で、悪性腫瘍などではない。

 便が硬いために肛門の皮膚が少し切れ、それが原因でできたものだ。

 見張りイボは2、3歳までの特に女児にしばしばみられるが、意外と知られていない。

 そういう子は、便通が2、3日に1回と少なく、ときにはコロンコロンのことがあり、排便のときに出血することもある。

 薬を飲ませて1日に1、2回やわらかい便が出るようにし、排便後はぬるま湯を洗面器にはって座浴をさせたあと、乾いたタオルでそっとふき、局所薬で消毒する。

 排便後おしりをあまり神経質にふかないこと。1カ月ほどで治る。


子どもの貧血

 小学3年生の女児がしょっちゅう頭が痛い、痛いと言う。

 髄膜炎ではないかと心配したが、血液検査で貧血とわかった。

 鉄剤を注射したら頭痛もケロリと治った。

 別の子は一時期、むやみに氷を食べたがるようになった。

 これも鉄欠乏性貧血による異食症だった。

 鉄剤を飲ませたら氷を食べるのが止まった。

 ──小児科の先生から聞いた症例だ。

 貧血は、血液中の赤血球や血色素(ヘモグロビン)の量が減少した状態。

 いくつか種類があるが、大半は鉄欠乏性貧血だ。

 小学生のころは体の成長が速く、バランスのよい食事をしていても鉄分が不足することがあるという。

 赤血球の仕事は、肺で取り込んだ酸素(赤血球中の血色素が酸素と結合する)を、全身の組織に配ることだから、貧血になると体のあちこちで酸素不足が起こる。

 顔色が青白くなり、息切れ、動悸、めまい、疲労けん怠感、頭痛、耳鳴り、食欲不振、微熱......といった症状が出てくる。

 注意力や集中力の低下も起こる。

 急に成績が下がった学童の原因が貧血だったという話もある。

 貧血かどうかは、2cc程度の採血検査でわかる。




Page: 1 < 2 < 3  次の10件>>
TOPPAGE  TOP 
RSS2.0