暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

正座と膝痛とカルシウムの関係

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中年過ぎの人のひざが痛くなる病気といえば、まず「変形性膝(しつ)関節症」だ。

「肥満や正座などひざへの負担がかかる生活を続けた人の軟骨や半月板の弾力性が損なわれ、軟骨同士がこすれてすり減る病気」というのが、一般的な解説である。

ただし「正座」に関してはそうではないと、かつて面接取材した黒澤尚・順天堂大学医学部特任教授に教えていただいた。

その記事を開いてみると、変形性膝関節症の原因を列挙したあと、Q&Aは下のように続いている。

─正座の習慣は関係ありませんか?

黒澤 それはよく問題にされることで、多くの先生が、変形性膝関節症は正座をしたからで、正座なんかしちゃいかん、とおっしゃるのですが、私は、それは<常識のウソ>だと思います。

正座は、むしろよいことなんです。

あるアメリカの専門医は、日本人に変形性膝関節症が少ないのは、正座といういい習慣のせいだ。

だから軽症の変形性膝関節症の患者に対しては、1日に1回は必ず<ジャパニーズ・シッティング>をするように勧めていて、非常によい効果を上げている、と報告しています。

─なのに、なぜ、日本では正座がよくないと言われるのでしょう?

黒澤 変形性膝関節症になった人が、正座のように完全に膝を曲げるようなことをすれば、痛いにきまっています。

その結果だけを見て(原因と取り違えて)正座はよくないと言っているのです。

では、なぜ正座がいいのかといえば、たいていの人が(外人のように正座の習慣のない人は特に)60歳ぐらいになると、膝が完全には伸びきらず、曲がりきらないようになってきます(「拘縮」という)。

正座はそれに対して膝のストレッチングになり、柔軟性を保たせるという利点があるのです。

ですから、私は、重症の人は別ですが、軽い変形性膝関節症の人には、また正座ができるようになる訓練をしなさいと勧めています。

痛い最中はなかなかできませんが、お風呂で体が温まると、痛みが少なくなり、曲げやすくもなります。

お風呂でじゅうぶん温まったら、まず浴槽の中でしゃがみなさい。

しゃがむことができたら、こんどは正座をしなさい。多少の痛みは我慢してやりなさい。やってもあとに引く心配はありません。

正座は、変形性膝関節症を防ぐにも、治すにも、膝関節の柔軟性を保つ、とてもよい方法なのです。

ただし、うんと悪くなった人は、膝の可動域(動かせる範囲)が小さくなって、3分の2ぐらいまでしか曲がらなくなります。そういう人はもう正座はできませんが、それでもいいから、やはりお風呂の中で少しでも曲げるストレッチングをする。これがとても効果的なのです。

どうですか? 拙著『名医が治す』(マキノ出版)より記事の一部を引用したが、説得力があるでしょう。

この話を聞いてから、私も入浴中かならず数分間、正座するよう心がけてきた。

そのおかげか、このトシ(85歳)になっても、膝の痛みを知らない。

変形性膝関節症になりやすいといわれる、ひどいガニ股なのだが。

ついでにもう一つ─。

「骨」といえば「カルシウム」だが、カルシウムは、骨そのものの病気=骨粗しょう症には関係あるのだが、関節の病気には関係ない。

変形性膝関節症は、関節の軟骨がすりへる病気だから、カルシウムを摂ってもなにも変わらない。

不用意にカルシウムを摂り過ぎると、腎結石などができるから注意したほうがよい。

これも黒澤先生の助言である。

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