暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

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運動器の病気

正座と膝痛とカルシウムの関係


中年過ぎの人のひざが痛くなる病気といえば、まず「変形性膝(しつ)関節症」だ。

「肥満や正座などひざへの負担がかかる生活を続けた人の軟骨や半月板の弾力性が損なわれ、軟骨同士がこすれてすり減る病気」というのが、一般的な解説である。

ただし「正座」に関してはそうではないと、かつて面接取材した黒澤尚・順天堂大学医学部特任教授に教えていただいた。

その記事を開いてみると、変形性膝関節症の原因を列挙したあと、Q&Aは下のように続いている。

─正座の習慣は関係ありませんか?

黒澤 それはよく問題にされることで、多くの先生が、変形性膝関節症は正座をしたからで、正座なんかしちゃいかん、とおっしゃるのですが、私は、それは<常識のウソ>だと思います。

正座は、むしろよいことなんです。

あるアメリカの専門医は、日本人に変形性膝関節症が少ないのは、正座といういい習慣のせいだ。

だから軽症の変形性膝関節症の患者に対しては、1日に1回は必ず<ジャパニーズ・シッティング>をするように勧めていて、非常によい効果を上げている、と報告しています。

─なのに、なぜ、日本では正座がよくないと言われるのでしょう?

黒澤 変形性膝関節症になった人が、正座のように完全に膝を曲げるようなことをすれば、痛いにきまっています。

その結果だけを見て(原因と取り違えて)正座はよくないと言っているのです。

では、なぜ正座がいいのかといえば、たいていの人が(外人のように正座の習慣のない人は特に)60歳ぐらいになると、膝が完全には伸びきらず、曲がりきらないようになってきます(「拘縮」という)。

正座はそれに対して膝のストレッチングになり、柔軟性を保たせるという利点があるのです。

ですから、私は、重症の人は別ですが、軽い変形性膝関節症の人には、また正座ができるようになる訓練をしなさいと勧めています。

痛い最中はなかなかできませんが、お風呂で体が温まると、痛みが少なくなり、曲げやすくもなります。

お風呂でじゅうぶん温まったら、まず浴槽の中でしゃがみなさい。

しゃがむことができたら、こんどは正座をしなさい。多少の痛みは我慢してやりなさい。やってもあとに引く心配はありません。

正座は、変形性膝関節症を防ぐにも、治すにも、膝関節の柔軟性を保つ、とてもよい方法なのです。

ただし、うんと悪くなった人は、膝の可動域(動かせる範囲)が小さくなって、3分の2ぐらいまでしか曲がらなくなります。そういう人はもう正座はできませんが、それでもいいから、やはりお風呂の中で少しでも曲げるストレッチングをする。これがとても効果的なのです。

どうですか? 拙著『名医が治す』(マキノ出版)より記事の一部を引用したが、説得力があるでしょう。

この話を聞いてから、私も入浴中かならず数分間、正座するよう心がけてきた。

そのおかげか、このトシ(85歳)になっても、膝の痛みを知らない。

変形性膝関節症になりやすいといわれる、ひどいガニ股なのだが。

ついでにもう一つ─。

「骨」といえば「カルシウム」だが、カルシウムは、骨そのものの病気=骨粗しょう症には関係あるのだが、関節の病気には関係ない。

変形性膝関節症は、関節の軟骨がすりへる病気だから、カルシウムを摂ってもなにも変わらない。

不用意にカルシウムを摂り過ぎると、腎結石などができるから注意したほうがよい。

これも黒澤先生の助言である。


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腰痛治療のコペルニクス的転回

ドイツ人が、魔女の一撃(ヘキセンシュス)と呼ぶ、ぎっくり腰などの急性腰痛は、一撃をくらったとたん、動けなくなる。

痛みが治まるまではひたすら安静を保つよう指導された。

ところが、安静期間が長くなるほど治りが遅くなり、再発を招きやすく、腰痛が慢性化することがわかって、いまは「動ける範囲内で動く」が世界の常識になっている。

日本整形外科学会と日本腰痛学会が5年がかりでまとめた『腰痛診療ガイドライン2012』にも、
「急性腰痛は、痛みがなくなるまで安静にするのではなく、できるだけ早く体を動かす」とある。

なぜ、安静がよくないのか? 

「大きな理由の一つとして<髄核>のずれが考えられます」と、東京大医学部附属病院22世紀医療センターの松平浩特任准教授(整形外科)。

背骨は30個以上の短い骨(椎骨)のつながりで、椎骨と椎骨の間には薄い円盤状の椎間板がはさまっている。

椎間板の中央には、ゼリー状の髄核があり、それを線維輪という硬い組織が囲んでいる。

髄核の特徴は移動しやすいことなので、パソコン作業などで長時間前かがみの姿勢を続けると、髄核が椎間板の後ろ側に向かってずれてくる。

一方、長時間の立ち仕事などでは髄核は椎間板の前側に向かってずれる。

ぎっくり腰も、くしゃみや重い物を持ち上げるといった急な動作によって、髄核がずれて起こる。

髄核が大きくずれて線維輪が傷つくと、線維輪には神経の末端が接しているため、激痛が生じる。

髄核がよりいっそう大きくずれて、線維輪を突破して外に飛び出した状態が、椎間板ヘルニアだ。
ぎっくり腰や慢性腰痛の場合、椎間板ヘルニアほど髄核は大きくずれてない。

適切に体を動かせば元の位置に戻すことができる。

痛いからといって安静を保ちすぎると、髄核のずれが元に戻りにくくなり、痛みが慢性化し、新たに線維輪が傷ついて強い痛みが再発する。

髄核のずれを戻すには、腰を反らすか、かがめるシンプルな体操が効果的。

髄核が後ろ側にずれた前かがみの作業などのあとは、足を軽く開き、上体をゆっくり反らす。息を吐きながら1~2回、繰り返す。

髄核が前側にずれた長時間の立ち仕事のあとなどは、イスに腰かけ、足を肩幅より広めに開き、ゆっくり背中を丸める。これも息を吐きながら1~2回繰り返す。

歯みがきになぞらえて「腰みがき」と名づけた、このシンプル体操を日常の習慣にすれば、腰痛の予防・改善効果が得られる。

腰痛の8割以上は原因不明、心配し過ぎるとかえって悪化しやすい。

しかし、がん、骨折、ヘルニアなど原因のある腰痛は、早く見つけて元の病気を治さなければいけない。

自分の腰痛はどちらかの見分け方、ぎっくり腰や慢性腰痛を自分で治す方法など、松平浩著『「腰痛持ち」をやめる本』(マキノ出版)は、最新の調査研究に基づく最良のガイドブックだ。


腰痛治療のコペルニクス的転回

腰痛治療が180変わった

腰痛の大半は背骨に関係しているもので、非常に強く痛む急性期と、鈍い痛みが長くつづく慢性期の二つに分けられる。

治療法の方針は、急性期にはなるべく背骨に負担をかけないこと。

「死んだつもりで寝ていなさい」というのが、ごく近年までえんえんと信じられてきた整形外科の「常識」だった。

ドイツ人が、魔女の一撃(ヘキセンシュス)と呼ぶ、ぎっくり腰などの急性腰痛は、一撃をくらったとたん、動けなくなる。

痛みが治まるまではひたすら安静を保つよう指導された。

ところが、安静期間が長くなるほど治りが遅くなり、再発を招きやすく、腰痛が慢性化することがわかって、いまは「動ける範囲内で動く」が世界の常識になっている。

日本整形外科学会と日本腰痛学会が5年がかりでまとめた『腰痛診療ガイドライン2012』にも、

「急性腰痛は、痛みがなくなるまで安静にするのではなく、できるだけ早く体を動かす」とある。

なぜ、安静がよくないのか? 

「大きな理由の一つとして<髄核>のずれが考えられます」と、東京大医学部附属病院22世紀医療センターの松平浩特任教授(運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)。

背骨は30個以上の短い骨(椎骨)のつながりで、椎骨と椎骨の間には薄い円盤状の椎間板がはさまっている。

椎間板の中央には、ゼリー状の髄核があり、それを線維輪という硬い組織が囲んでいる。

髄核の特徴は移動しやすいことなので、パソコン作業などで長時間前かがみの姿勢を続けると、髄核が椎間板の後ろ側に向かってずれてくる。

一方、長時間の立ち仕事などでは髄核は椎間板の前側に向かってずれる。

ぎっくり腰も、くしゃみや重い物を持ち上げるといった急な動作によって、髄核がずれて起こる。

髄核が大きくずれて線維輪が傷つくと、線維輪には神経の末端が接しているため、激痛が生じる。

髄核がよりいっそう大きくずれて、線維輪を突破して外に飛び出した状態が、椎間板ヘルニアだ。

ぎっくり腰や慢性腰痛の場合、椎間板ヘルニアほど髄核は大きくずれてない。適切に体を動かせば元の位置に戻すことができる。

痛いからといって安静を保ちすぎると、髄核のずれが元に戻りにくくなり、痛みが慢性化し、新たに線維輪が傷ついて強い痛みが再発する。

髄核のずれを戻すには、腰を反らすか、かがめるシンプルな体操が効果的。

髄核が後ろ側にずれた前かがみの作業などのあとは、足を軽く開き、上体をゆっくり反らす。息を吐きながら1~2回、繰り返す。

髄核が前側にずれた長時間の立ち仕事のあとなどは、イスに腰かけ、足を肩幅より広めに開き、ゆっくり背中を丸める。これも息を吐きながら1~2回繰り返す。

歯みがきになぞらえて「腰みがき」と名づけた、このシンプル体操を日常の習慣にすれば、腰痛の予防・改善効果が得られる。

腰痛の8割以上は原因不明、心配し過ぎるとかえって悪化しやすい。

しかし、がん、骨折、ヘルニアなど原因のある腰痛は、早く見つけて元の病気を治さなければいけない。

自分の腰痛はどちらかの見分け方、ぎっくり腰や慢性腰痛を自分で治す方法など、松平浩著『「腰痛持ち」をやめる本』(マキノ出版)は、最新の調査研究に基づく最良のガイドブックだ。


腰みがき!

腰みがき10カ条

近年の研究で、腰痛の大半を占める非特異的腰痛(慢性腰痛症)は、体幹筋(背骨を支える筋肉)の機能不全によることがわかりました。


現代生活には体幹筋を甘やかし、腰部の負担を増大させる環境要因があふれています。


体幹筋の機能を回復する最良の方法は、能動的治療法(運動療法)です。


運動療法は、「患者が自分自身の体を使い、能動的に行う運動によって、障害を改善し、さらに機能を上げる治療手段」と定義されています。


平たく一言でいえば、体を動かして腰痛を治そうというわけです。


例えば、車を使わず歩いて買い物に行く、デスクワークの途中で席を立って大きな背伸びをするなどの生活行動も、広い意味での運動療法です。


それを意識的に行うために、日本整形外科学会が作成したのが「腰みがき10カ条」。


毎日の「歯みがき」と同じように、腰のケア(姿勢と運動)を生活の中に習慣づけて、腰痛を防ぎ・治そうという勧めです。


①背筋を伸ばす。

②おなかに力を入れる(立ち姿勢のとき)。③お尻をすぼめる(同)。

④ひざを軽く曲げる(同)。

⑤椅子には深く腰かけ、机に近づく。

⑥ひざを曲げて寝る。

⑦うつぶせで寝ない。

⑧ひざを曲げて荷物を持ち上げる。

⑨急に体をひねらない。

⑩毎日かかさず運動を。


─今日から早速どうぞ!


腰が痛い!

 年をとるにつれて起こってくる体の故障でいちばん多いのが、腰痛です。

厚生労働省の国民生活基礎調査の有訴率(自覚症状を訴える人の割合)を見ても、男性では1位、女性では肩こりに次ぐ2位が、腰痛です。

 腰痛の背後には、骨に転移したがん、化膿性脊椎炎などの感染症、圧迫骨折などが隠れていることがあります。

 しかし、そうした原因を特定できる「特異的腰痛」は、腰痛全体の15%以下です。

 整形外科医が日常的に診ている(つまり多くの人が訴える)腰痛の85%以上は、原因がよくわからない「非特異的腰痛」です。

 ぎっくり腰のような「急性腰痛症」に対して、いつからともなく始まって長く続く腰痛を「慢性腰痛症」といいますが、非特異的腰痛とほぼ同じです。

 非特異的腰痛の治療は、手術をしない「保存療法」が原則で、薬物療法と理学療法に分かれます。

 薬物療法には、消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、抗うつ薬などが用いられます。

 物理療法には、腰を温めるホットパック、弱い電流の刺激、超音波の温熱、レーザー光の照射などで、痛みや炎症をやわらげる方法などがあります。

 これまでの保存療法は、そうした受け身の治療=受動的治療法でしたが、近年注目されているのは、患者さん自身が行う能動的治療法の「腰みがき」です。

それについては、明日―。


足のむくみに潜む病気・よく効く薬

 足のむくみ実態調査

 夕方、仕事を終えるころ靴がきつくなる。

 その程度の足のむくみは、だれもが普通に経験していることだが―。

 その背後に厄介な病気が潜んでいることがある。が、そのことを知らない人がとても多い。

 エスエス製薬株式会社(東京都中央区。石橋利哉社長)は、足のむくみについての意識と実態をさぐる調査を行った。

 予備調査(対象=全国の20代~50代の女性10,000人)

 過去1年以内に足のむくみの経験あり=50.9%、経験なし=49.1%。

 経験ありの内訳

 ①症状に非常に悩まされることがある=11.8%

 ②症状にやや悩まされることがある=20.0%

 ③症状はあるが症状に悩まされることはない=19.1%。

 本調査(対象=①②群中の1,000人)

 足のむくみに悩む時期

 1年中=71.1%

 ◎夏の悩み

 太って見える/足が太く見える=62.5%

 足のラインにメリハリがなくなる=36.0%

 全身がだるくなる=33.5%。

 ◎冬の悩み

 靴やブーツがきつくなる=54.7%

 太って見える/足が太く見える=50.9%

 全身がだるくなる=34.5%。

 足のむくみに気づく時間 

 18時~20時台=59.2%

 21時~23時台=36.3%

 15時~17時台=36.2%。

 足がむくんでいると感じるとき

 帰宅して靴下・ストッキングを脱いだとき=42.8%

 お風呂に入っているとき=35.3%

 仕事が終ったとき=34.8%。

 足のむくみの頻度

 ほぼ毎日=28.0%

 週2~3日程度=25.4%

 週4~5日程度=18.0%。

 足がむくむとどうなる?

 靴下の跡が消えない=71.4%

 だるさを感じる=66.5%

 重量感を感じる=51.4%

 冷えやすくなる=43.2%

 足が腫れる=41.15%

 つらさの順 

 足がだるい=42.7%

 足が重たい=24.5%

 足が冷える=20.2%。

 ●足のむくみの原因

 足のむくみ、なぜ起こると思いますか?

 ①冷え=61.1%

 ②運動不足=57.8%

 ③長時間立っていること=45.5%

 ④長時間座っていること=33.0%

 ⑤水分の摂り過ぎ=25.3%

 ⑥姿勢が悪い=24.8%

 ⑦加齢=24.7%

 ⑧太り過ぎ=20.9%

 下記が足のむくみの原因と知っていますか? 知っている(詳しく知っている+なんとなく知っている程度の合計)

 リンパ=75.9%

 血流=71.9%

 血管=46.3%

 静脈=32.1% 

 この病名を聞いたことがある?

 静脈還流障害 ある=19.2% ない=80.8%

 慢性静脈不全 ある=24.3% ない=75.7%

 下肢静脈瘤 ある=48.7% ない=51.3%

 くもの巣状静脈瘤 ある=33.0% ない=67.0%

 足のむくみを病気かも? と疑ったことがある ある=10.6% ない=89.4%

「静脈還流障害」の説明を聞いて、どう思いましたか?

 足のむくみは軽視してはいけない=87.3%

 不安になった=69.6%

 驚いた=66.6%

 ●足のむくみ対策

 普段の足のむくみ対策は? している=90.5% していない=9.5%

 どんな対策を? 

 自分でマッサージ=63.1%

 足を軽く動かす(伸ばす、回す、曲げるなど)=47.6%

 着圧ソックス・ストッキングを履く=40.3%

 バスタブにつかる=40.8%

 ストレッチをする=37.7%

 足を高くして寝る=36.8%

 満足度は?

 満足している=38.3%

 どちらともいえない=40.4%

 満足していない=21.2%

 満足していない理由

 効果がないから/効果が実感できないから=63.5%

 効果が持続しないから=53.1%

 面倒だから=40.1%

 お金がかかるから=14.1%

 足のむくみ対策をしていない理由

 なにをすればよいのかわからない=48.4%

 それほど深刻だとは思っていない=31.6%

 面倒だから=13.7%

 やっても効果が出るとは思わないから=9.5%

 ●まとめ─

 足がむくみ、だるさ、痛み、重たさを感じ、ふくらはぎやくるぶしを指で押すと、くぼみができたりする場合、慢性静脈不全(静脈還流障害)と呼ばれる静脈の病気が潜んでいるかもしれない。

 決して軽視したり、我慢してよい状態ではない。

 足のむくみに悩む人は、20代~50代の女性の半数にも上るにもかかわらず、足のむくみの対策に満足している人は4割にも満たない。

 そのうえ、足のむくみを病気と疑ったことのある人はきわめて少なく、足のむくみの原因が静脈にあることを知っている人も少ない。 

 足のむくみ 静脈に原因のある場合は初期対応が重要

 本調査に関連して、日本静脈学会名誉会長の星野俊一先生(福島県立医科大学名誉教授、福島第一病院理事長)は以下のように解説されている。

「むくみとは、体の細胞と細胞との間(細胞間質)に水分(血液成分)がたまった状態をいいます。

 ヒトは毛細血管から細胞間質へ毎日約20ℓの水分を供給していますが、そのうち約80~90%は毛細血管に静脈血として、残りの約10~20%はリンパ管にリンパ液として、再び取り込まれます。

 一般的には、"むくみの改善=リンパ液の流れをよくすること"と考えられがちですが、老廃物を含む水分を回収して心臓へ戻す役割の多くは静脈が担っているのです。

 この調査の結果でも静脈がむくみの原因であることを知っている人は3割と、静脈の重要性はまだあまり認識されていないようです。

 静脈の機能は一度失われてしまうとなかなか元には戻りません。

 まずは静脈の重要性を正しく理解していただきたいと思います。

 むくみの原因は、むくみが起こる部位によって二つ考えられます。

 一つは全身的に腎機能障害や心臓病、糖尿病などの疾患により血管内の血漿成分が浸出して細胞間質にたまるものです。

 もう一つは下肢(足)の静脈やリンパ管の不全によるものです。

 前者の場合は全身的にむくみの症状が発現し、後者の場合は局所─足にむくみの症状が発現します。

 足は、心臓から遠く離れたところに位置し、

しかも重力に逆らって血液を心臓まで戻す必要があるため、むくみが出現しやすいのです。

 水分を心臓に戻すルートである静脈に通過障害や血流の逆流があると静脈圧が高まり、血管から血液成分が浸出して細胞間質に水分がたまってしまいます。

 それが静脈還流障害による"血管性むくみ"が生じている状態です。

 足の血管性むくみは、一時的には水分の取りすぎや長時間立位か座位でいることによっても引き起こされますが、症状が何日も続く場合には"慢性静脈不全"が隠れていることがあります。

 ●日本人に多い慢性静脈不全

 統計では、慢性静脈不全の罹患者は人口の約40~50%にみられると推定されています。

 日本人には海外よりも慢性静脈不全が多くみられ、特に成人女性の約60%以上は、軽度の慢性静脈不全の可能性があるともいわれています。

 慢性静脈不全の症状は、足のむくみのほか、だるさ、重さ、つっぱり感、痛みなどです。

 運動が制限された長時間の立ち仕事や座ったままでの生活は、下肢の筋肉によるポンプ作用が働かないため、慢性静脈不全になりやすく、加齢、家族歴、肥満なども危険因子に挙げられます。

 たかが足のむくみ...と放置しておくと、静脈瘤や下肢の褐色調変色、下腿の皮膚潰瘍など重症化を招くことになるので、初期の対応が必要です。

 しかし、日本の初期治療は、専門家の指導下での医療用の弾性ストッキングなどによる圧迫療法しか選択肢がありません。

 ヨーロッパでは、西洋ハーブによる治療が薬物療法として早くから確立され、特に初期においてはむくみ治療の代表的な対処法として知られています。

 赤ブドウの葉のエキスが医薬品として長年使われてきて効果が実証されています。

 症状が長く続いたり、痛みを伴うようなら自己判断せず、速やかに医師または薬剤師に相談してください。

 ●慢性静脈不全のチェックリスト

□足にむくみがある(すねを指で5秒以上押して離した後、くぼみが残る)

□足の重量感、だるさ、つっぱる、痛いなどの自覚症状がある

□長時間、同じ姿勢(立ったまま・座ったまま)で過ごすことが多い

□加齢とともに足のむくみがひどくなってきた

□ほとんど運動しない

□足のむくみや重量感、だるさなど自覚症状が起床後も取れない、または何日も続く

□家族に足のむくみや静脈瘤を経験した人がいる

□肥満傾向(BMI25以上)にある

 ※ BMI(ボディマスインデックス=体格指数)は、体重(kg)を身長(m)の二乗で割った数値。疾患罹患律が最小を示す値(日本では22)を標準とする。

 チェック項目に一つでも当てはまる人は慢性静脈不全(静脈還流障害)が疑われます。

 チェックが多くつく人は、すでに慢性静脈不全の可能性。足の静脈の血流を改善するための対策が必要です。

 足だけでなく全身のむくみの症状が出る場合には他の原因が疑われます。


 足のむくみの薬物療法=赤ブドウ葉エキス

 慢性静脈不全(静脈還流障害)の治療法は─、

 ①足がむくむだけの軽度(初期)の場合は弾性ストッキング(圧迫療法)が、

 ②静脈瘤や皮膚色素沈着などからさらに皮膚障害や静脈性皮膚潰瘍などがみられる重度(後期)の場合、静脈瘤硬化療法、ストリッピング治療、レーザー治療などが行われる。

 ヨーロッパでは初期の静脈還流障害を改善する薬物療法として、西洋ハーブ=赤ブドウの葉の乾燥エキスが早くから用いられ、効果が実証されている。

 2001年、欧州医薬品庁(EMA)の生薬委員会は、西洋ハーブ医薬品を分類/整理し、

 A=Well-estabilishd use(科学的根拠のしっかりしたエビデンスデータが揃っているもの)

 B=Traditional use(伝統的に医薬品として販売されているもの)の2群に大別した。

 赤ブドウの葉の乾燥エキスは、A群に認定された。

 日本では、2007年、西洋ハーブを医薬品として認可するための審査方針が厚生労働省より示された。

 生硬な官庁用語で示されたその方針を、ひらたく要約すると、

「先進諸国で一般用医薬品として広く使用されている生薬製剤で、臨床試験や種々のデータにより有効性と安全性が証明され、品質が保証されている」ということになる。

 この厚労省の審査方針にもとづき、2001年1月、ダイレクトOTC医薬品の承認を取得、2013年6月3日、「飲む、足のむくみ改善薬」として発売されたのが、赤ブドウ葉乾燥エキス剤『アンチスタックス』だ。

 アンチスタックスは、日本で最初に発売された西洋ハーブ医薬品で、足のむくみに対応する唯一の医薬品である。

 用法・用量=1回2カプセルを1日1回服用。

 効能・効果=軽度の静脈還流障害による足(ふくらはぎ、足首など)のむくみ、むくみに伴う足のだるさ・重さ・つっぱり感・痛みなどの改善。

 ●アンチスタックス臨床試験

 足に重さや疲れ(だるさ)などの症状を感じ、医師の触診により足の静脈の血流の滞りでふくらはぎなどにむくみがあると診断された179人に、アンチスタックスを1日1回2カプセル、12週間服用してもらった。

 投与終了時の全般改善度は―、

 著名改善=38.5%

 中等度改善=42.5%

 軽度改善=14.0%

 不変=2.8%

 悪化=2.2%

 著名改善+中等度改善の改善率(全般改善率)は81.0%。軽度改善を加えると95.0%、じつによく効く薬といっていいだろう。


腰痛判別法

  腰が痛くて、そのうえ足がしびれる、と整形外科を訪ねてくる人の大半は「椎間板ヘルニア」か「脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」で、50代以下なら前者、60代以上なら後者、50代は両方が混じっているのだそうだ。

 三井弘整形外科・リウマチクリニック(東京・千代田区)の三井弘院長の話。

 椎間板は、背骨の一つ、一つの骨(椎骨という)の間に挟まってクッションの役目をしている軟骨。

 外側の線維輪が破れて髄核というゼラチン状のものがはみ出した状態が、椎間板ヘルニアだ。

 神経を圧迫して腰痛などの症状を起こす。

 高齢になると、髄核の水分が変性するので、椎間板が傷んでもヘルニアは起きにくくなる。

 一方、脊柱管狭窄症は、背骨の後ろ側にある脊髄が通っている管(脊柱管)が狭くなってくる病気だ。

 脊柱管が狭くなると、坐骨神経(腰から出て足へいっている末梢神経。人体で最大最長の神経)が刺激されるので、痛みやしびれが生じる。

 特に歩いているとき、足がしびれてきて歩けなくなるが、しばらく休むとまた歩けるようになる間欠性跛行(はこう)が起こる。

 若い人に多い椎間板ヘルニアの典型的症状は激痛、これは休もうがどうしようが痛い。

 そして足もしびれる。

 普通のぎっくり腰は腰痛だけで足のしびれは起きない。

 腰の痛みに足のしびれがあるかないかによって椎間板ヘルニアと、急性腰痛症いわゆるぎっくり腰との区別がつく。

 脊柱管狭窄症は、普通はゆっくり起こってくるが、なかには急性に起こることもある。

 椎間板ヘルニアと同じように、重いものを持ち上げたり、ちょっと起き上がろうとしたり、不用意に体をねじったりしたときなどにギクッとくる。

 しかし、安静にしていれば、ほとんど痛まない。

 歩くと症状―痛みよりも足のしびれのほうが強い―が出る。

 このほか、足に症状が出る病気では、ごくまれに足の血行不全、動脈の病気がある。

 この場合はしびれよりも痛みが主で、普通は腰痛は起きないそうだ。


運動器の障害

 きのう10月8日は「骨と関節の日」だった。

 十と八を組み合わせると、骨の「ホ」の字になるからだ。

 1999年に日本整形外科学会が決めた。

 骨と関節に密接に関連する「運動器不安定症」と「ロコモ症候群」については、去年の昨日、今日、詳しく記した。

 ざっとおさらいしてみる。

 運動器不安定症とは、たとえば──歩くときにふらついて転びやすい。

 ひざや腰などの関節が痛くて、思わずよろける。

 骨が弱くなって、ちょっとしたことで骨折してしまう──といった状態をまとめて病気としてとらえ、日本整形外科学会が2006年4月に提唱した。

 日本発の新しい疾患概念だ。

 翌2007年、同学会は、「運動器の機能が低下し、歩きや移動に支障をきたし、一人では生活できなくなるような状態」を、ロコモティブシンドローム、略して「ロコモ」と呼ぶことにした。

 それを防ぐための啓発運動を展開している。

 世界に先駆けて急速な老齢化が進む日本ならではの状況である。

 運動器不安定症とロコモ、どう違うのか?

 手短にいえば、前者は、お医者さんがカルテに記すときの「病名」で、後者は、「メタボ」こと「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と同じような一般向け「啓発用語」である。

 運動器というのは、手、足、首、肩、胸、背中、腰などの骨、関節、靱帯、筋肉、腱、脊髄、神経......など、人間が体を動かすときに必要なあらゆる器官の総称だ。

 血液の循環にかかわる心臓や血管を「循環器」、呼吸にかかわる肺や気管支を「呼吸器」、消化にかかわる胃や腸などを「消化器」と呼ぶように、体の感覚を脳に伝え、反射的あるいは意識的な身体運動を行うための組織・器官を「運動器」と呼ぶ。

 運動器が傷んで、運動機能が低下すると、自由に移動することが困難になるばかりか、日常生活の基本的動作(食事、排せつ、整容など)や、身ぶり手ぶりによる意思・感情の表現にも支障をきたし、いわゆる「自己の表出」ができなくなる。

 運動器は、人間の尊厳を下支えしている臓器である。

 ほかの臓器と違って、運動器は、自分の意志で動かしたり、鍛えたりすることのできる組織・臓器で、これを動かすことによって、脳が活性化されることも知られている。

 運動器の障害は徐々に進行する。早く自分で気付くことがたいせつだ。

 運動器不安定症の簡単な見分け方は二つある。

 一つは、目を開いたまま片足で何秒立っていられるかという「開眼片足起立」。

 もう一つは、いすに腰かけた姿勢で、合図と同時に立ち上がり、3メートル先の目印まで歩いてターンし、いすに戻って腰かけるまで何秒かかるかを計る「3メートルタイムド アップ アンド ゴー テスト(3mTUG)」だ。

 開眼片脚起立が、15秒できない。

 3mTUGが、20秒以上かかる。

 ──というようだと、「運動器不安定症」の心配がある。

 そうならないようにするための、これまた簡単な方法は、去年、記した。

 ちょこっとクリックしてみてくだされ。


痛風の原因・対処法

痛風の本態

 夏は痛風の季節だ。

 汗をかき、尿が濃くなると尿酸(痛風の原因物質)の排せつが悪くなるからだ。

 ゴルフや野球で大汗かいた翌日、発作を起こす例が多い。

 プレー中の水分補給をしっかり─。

 もっとも、痛風発作の痛みは、病気の本態とは関係のない症状で、放っておいても一週間くらいで痛みはほとんど消えてしまうのが普通だ。

 どんなにひどい痛みでも、それで死ぬなんてことは絶対ないし、手当てが悪かったから余計ひどくなるということも、まずない。

 痛風発作は血液中の尿酸が異常に多い状態(高尿酸血症)が基盤になって起こる。

 が、発作自体は病気全体からみれば表面的な現象でしかない。

 本当に怖いのは、高尿酸血症が長く続いたときに心臓、脳、腎臓などに出てくる重大な病気だ。

 ただ、その深刻度は高血圧や糖尿病などに比べるとかなり低い。

 とはいえ、日ごろの養生をなおざりしていいわけはない。

 医師とよく相談し、よりよい生活管理をして、いつも尿酸値を正常に保つようにすれば、二度と痛みの発作に襲われることもない。

 そろり回し

 痛風は、(俗説だが)風が当たっても痛いからこの名がついたといわれる。

 それくらい痛いらしい。

 足の親指の付け根に発症する例が最も多く、赤くはれあがる。

「万力でぎゅっと締めつけられたような痛み」と形容する人もあれば、

「いやいや、とてもそんなものじゃない。もうこれ以上は締められないところを、さらにもう一回りさせたみたいだ」と強調する人もある。

 このものすごい痛みも、冷やすとだいぶ楽になる。

 ポリエチレンの袋に入れた氷で患部を冷やしながら、ときどき足首を曲げたり、そらしたりすると、痛みが軽くなるように感じられる(はずだ)。

 痛風の痛みは、血液中に含まれる尿酸が異常に増加し、関節に沈着するために起こる。

 足首を曲げ伸ばしすれば、足先への血液の流れがよくなるから、親指の付け根にこびりついた尿酸が、血液に再吸収される時間を早める。

 また、痛みのために縮んでいた神経も伸びる。

 足首の曲げ伸ばしだけでなく、ぐるぐる回しも効果的だ。

 そろりそろりとやってみてください。


魔女の一突き

 4年に1度の全世界的大運動会をテレビ観戦していて、ぎっくり腰を起こした人がいる。

 どこの何という人かと聞かれても困るが、世間は広いのだ。

 そんな人の一人や二人いてもおかしくはないだろう。

 何かに意識が集中し筋肉が固まっているとき、不用意に体をひねると腰がギクッといくのは、よくあることだ。

 このぎっくり腰、ドイツ人は「ヘキセンシュス(魔女の一突き)」と呼ぶそうだ。

 腰の筋肉の"筋違い"だ。

 似て非なる一突きが、椎間板ヘルニア。

 背骨の椎骨と椎骨の間にはさまってクッションの役目をしている椎間板の外膜が破れて、内部の髄核というゼリー状の物質がはみ出し、神経を圧迫するために起こる。

 椎間板の後ろにある小関節がはずれかかったときや、そのさらに後ろにある棘突起(きょくとっき)の間の靱帯(じんたい)が切れかけたときにも、ほとんど同じような急性の腰痛発作が起こる。

 ぎっくり腰に襲われたときの対応は、できるだけ腰に負担をかけないように安静にしていること。

「死んだつもりで寝ていなさい」と専門医は言っている。

 多くの場合、3日も寝ていれば起きて動けるくらいには回復する。

 病院に行くのはそれからでもよい。

 ただし、足がしびれてきたり、小便が出にくくなったら、すぐさま救急車を呼ぼう。

 寝る姿勢は、横向きにエビのように背中を丸めて、またやひざも曲げる。

 その姿勢だと、全身の筋肉が緩められ、背骨にかかる負担が最も軽くなる。

 反対に、うつ伏せ寝と、仰向けに足を伸ばして寝るのは、背骨を圧迫する。

 仰向けに寝たかったら、ひざを立ててももの下に座布団を二つ折にして入れ、上体を布団などにもたせかけるようにする。

 とにかく、痛みが少しでも軽くなる、楽な姿勢をすればよい。

 そして最初の1~2日は痛いところを冷やし、3日目ぐらいからは温める。

 これもそのとき自分がいちばん気持ちのいいことをやればよい。

 ちなみに、腰の負担は、寝る、立つ、座る(腰かける)の順に大きくなる。

 あぐらは腰にとって最悪の姿勢だ。



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