暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

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脳卒中

脳の血管のこぶ

 脳ドックで検査を受けたら、脳動脈瘤(りゅう)が見つかった。

 どうしたらいいか、悩んでいる。

 そんな話をよく聞く。

 脳動脈瘤は、脳の主要血管にできたこぶ。

 こぶが破れるのが、くも膜下出血。

 突然死(発症から24時間以内の病死)の約7%を占める。

 未破裂脳動脈瘤は、成人の5%程度にあるとされる。

 検査を受けると100人に5人は見つかる計算だ。

 見つかったこぶのすべてが破裂するわけではない。

 何事もなく天寿を全うする人のほうがずっと多い。

 だからといって、手放しの安心は禁物だ。

 安心なこぶと、要注意のこぶを、どうやって見分けたらよいか。

 日本脳神経外科学会が、未破裂脳動脈瘤を追跡調査した。

 2001年1月から04年4月までに3ミリ以上の脳動脈瘤が見つかった男女5720人を、最長8年間追った。

 患者の3分の2は女性で、平均年齢62.5歳。

 こぶの大きさは平均5.7ミリ。

 全体の破裂の割合は年間0.95%。

 3~4ミリは0.36%。

 5~6ミリは0.50%だった。

 これに対して、

 7~9ミリは1.69%。

 10~24ミリは4.37%。

 25ミリ以上は33.40%。

 ──と、7ミリを超えると、こぶが大きくなるほど破裂の危険も高まる。

 こぶができる場所や、こぶの形によっても、リスクに違いがあった。

 大脳の太い動脈をつないでいる「前・後交通動脈」にできたこぶが破裂するリスクは、大脳の中心を流れる「中大脳動脈」にできたこぶよりも約2倍高かった。

 いびつな形のこぶのリスクは、通常のこぶに比べて1.63倍だった。

 脳動脈瘤の破裂を予防する治療法は、開頭手術を行って、こぶの根元をクリップで挟む「クリッピング術」と、脚の付け根の動脈からカテーテル(細い管)を挿入し、こぶの中にコイル(極細のワイヤー)を詰める「コイル塞栓(そくせん)術」がある。

 しかし、こぶが大きかったり、こぶの入り口部分が広いワイドネック型脳動脈瘤は、クリッピングが難しかったり、詰めたコイルがはみ出てきたりした。

 そうした従来の治療法の難点を解決するのが、新しい治療機器「VRD(脳内血管再建機器)」だ。

 これをこぶの中に挿入・留置して血管を保持した上でコイルを詰めると、はみ出さない。治療困難な脳動脈瘤に対する新兵器だ。


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サイレント・キラー

 きょう5月17日は「世界高血圧デー」。

 国際高血圧学会が2005年に創設した。

 日本でも日本高血圧学会と日本高血圧協会が、同じ日を「高血圧の日」と定めて、啓発運動を行っている。

 高血圧は、日本人の三大死因(がん、心臓病、脳卒中)のうちの二つ─心臓病と脳卒中─を引き起こす最も主要な原因だ。

 高血圧は痛くもかゆくもない。

 サイレント・キラー(静かなる殺し屋)と呼ばれる。

 自覚症状がないので、気づいてない人、甘くかんがえている人が、非常に多い。

 全国の高血圧患者は約4000万人と推定されているが、きちんと治療を受けているのはわずか2割、約800万人に過ぎない。

 高血圧を知る方法は、腕をまくってやる血圧測定しかない。

 日本高血圧学会と日本高血圧協会は、

「ウデをまくろう、ニッポン!」

 ──と、キャンペーンを展開している。

 血圧には、「上」と「下」がある。

 上は、心臓が収縮して血液を動脈へ送り出したときの血圧で、収縮期血圧、最大または最高血圧ともいう。

 下は、心臓が拡張して血液が静脈から心臓に入ってくるときの血圧で、拡張期血圧、最小または最低血圧ともいう。

 高血圧治療ガイドラインによる、高い血圧を下げる目標とする血圧値は、

 65歳以上の人=140─90mmHg未満。

 65歳以下の人=120─85mmHg未満。

 腎障害・糖尿病を合併している人=130─80mmHg未満。

 最も望ましい至適血圧値は、120─80mmHg未満とされている。


布団と枕の健康学

 甘く眠ろう!
 
きのう2月10日は「ふとんの日」でもあった。

 ずいぶん以前に全日本寝具寝装品協会が決めた。

 むろん、一(ひい)、二(ふう)の「ふ」と、十(とお)を「とん」と読ませた語呂合わせだが、いまごろは一年中で布団の重用度が最も高い時季でもある。

 ──と書いて、ネットで検索したら、

「全日本寝具寝装品協会は、2010年より10月10日を『ふとんの日』として新たに定めました。」と、きた。

 なぜ、変えたのだろう?

 そのほうが冬備えの寝具の需要を喚起し、ショーバイにつながる、というのだろうか?

 ま、それはそれとして。

 寒夜、温かい布団にくるまって寝るとき、ふっと感じる小さな幸福感は、生きているしるしのようなものにも思える。

「フトン 布帛(ふはく)ヲ被(かわ)トシテ、内ニ厚ク綿ヲ入レタルモノ。坐(すわ)ルニ敷クヲ、座布団ト云(い)ヒ、臥(ふ)スニ敷ク長方形ナルヲ、敷布団ト云ヒ、臥スニ被(おお)ヒ掛クルヲ、掛布団ト云フ」と『大言海』は云っている。

 当家のそれのように、内に入れた綿が「薄クシテ貧弱ナル」は「煎餅(せんべい)布団ト云ウ」。

 今はポリウレタン使用のマットレスや、綿に代わる羽毛の掛布団も広く用いられている。

 体のためには、ふかふか軟らか過ぎる敷布団よりも煎餅布団やマットレスのほうがよいし、あまり厚くて重い掛布団も感心しない。

 重い布団をかけて寝ていると、血圧が高くなりやすいことが実験的に証明されていると、循環器の専門家に聞いたことがある。

 ともあれ、ストレス社会の最高の休息は、快い睡眠である。

「つらく働き、甘く眠れ」とはドイツのことわざだ。


 布団と血圧

 重たい布団をかけて寝ていると、血圧が高くなりやすいことは、1960年代に東京医科歯科大学の島本多喜雄教授が確かめて報告している。

 布団が重いと全身とくに胸部に対する圧迫が強くなる。

 すると胸腔内の圧力が高まり、呼吸のいきみが強くなるので、血圧が上がるのだという。

 健康な人でさえそうなのだから、まして高血圧、心臓病、脳卒中後のまひが残っている人などは、重い布団は敬遠したほうがよい。

 片まひの人の場合、寝返りを打ったりするときなど、重い布団は動作の妨げにもなりやすい。

 まひのない半身だけで布団の重さに対抗しなければならないのだから、単純に考えても仕事量も疲労も2倍になる。

 軽い布団だと寒いような気がするのは錯覚で、重い布団のほうが内部にたまる空気の量が少なく保温性が低くなるそうだ。

 なお、電気毛布は体の水分を発散させやすい。

 使う場合は、体にじかにかけず、熱くし過ぎないこと。

 湯たんぽで低温やけどを起こすこともある。しっかり分厚く包もう。


 枕と睡眠

 イチロー選手は、遠征にも「マイ枕」を持参するそうだ。理由をこう話している。

「違う枕で寝ることで首の位置が変わってしまわないようにいつも一定にしておくためなんです。一番慣れた高さで寝るのがいいですからね」(石田雄太著「イチローイズム」集英社刊)。

 枕の高さと、眠っているときの脳波やうなじの部分の筋肉の緊張度を調べた研究では、6~9㌢が最適とされている。

 これは、「寿命3寸、楽4寸(枕の高さが約9センチなら健康によい。約12センチは気持ちがよい)」という古言ともほぼ一致する。

 高すぎる枕がよくないのは、首を曲げる角度が大きく深くなると、頸(けい)動脈が屈曲し、圧迫されるからだと循環器内科の専門医も言っている。

 枕の中身(5種類)について、寝付くまでの入眠時間、睡眠時間、寝返りの回数、起床時の頭のさえ具合などを調べた研究で入眠時間が最も短かったのは、そばがら枕。

 最も長かったのはフォームラバー枕で、起床後の計算テストの成績も最下位だった。

 睡眠時間や寝返り回数は差がなかった。

 そばがら枕を低くして寝よう。


フットケア

 きょう2月10日は、ことしから「フットケアの日」だ。

 糖尿病や末梢動脈疾患(PAD)/閉塞性動脈硬化症(ASO)による足の病変の予防、早期発見・早期適切治療の大切さを知ってもらおうと、日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドロック株式会社が、決めた。

 PAD、ASOは、足の動脈が狭くなったり、詰まったりした結果、血液の流れが悪くなる状態だ。

 糖尿病になると、末梢神経が鈍くなって、靴ずれ、まめなど足の小さな傷に気づきにくく、潰瘍や感染が起こりやすい。

 そのままにしておくと、ついには足の切断にまで進展してしまう。

 昭和を代表する歌手「王将」の村田英雄さんが、晩年、両足をひざ下から失ったのも、持病の糖尿病が悪化し、ASOを発症したためだった。

 この病気の初期には、足の異変に気づきにくい。

 病気が進むにつれて、下のような症状が現れる(「フォンテイン分類」という)。

 1度 足の冷感 しびれや色調の変化(蒼白)。

 2度 間欠性跛行(かんけつせいはこう)=少し歩くと、足がしびれて痛くなり、しばらく休むとまた歩けるようになる。

 3度 安静時疼痛=じっとしていても痛みが生じる。

 4度 潰瘍や組織欠損=きわめて重症。

 PAD/ASOの基盤には動脈硬化がある。

 フォンティン分類は、つまり足の動脈硬化の進行度である。

 動脈硬化というのは、部分的に起こるものではない。

 足に起こっていたら、胸にも、頭にも、腹にも起こっている。

 足の動脈硬化は、全身の動脈硬化の一部分症にほかならない。

 Legs for Life(足と生命予後の関連)に関する多くのさまざまな研究により、足のしびれや痛みを放っておくと、心筋梗塞や脳卒中を併発する例が多く、早死にすることが明らかになっている。

 足がしびれる、痛む、足の傷がなかなか治らない──といったようなときは、早く専門医に診てもらおう。

 PAD/ASOは、血管の病気だから、診療は循環器科や血管外科で行われる。


高血圧の人へ


 ♪あなた変わりはないですか 日ごと寒さがつのります ──てなわけで、この時期、高血圧の人はとりわけ用心が肝要。

 寒冷刺激で血管が収縮すると、高い血圧がさらに高くなるからだ。

 深夜のトイレなど急に冷気に当たると一気に血圧が上昇、脳卒中の引き金を引いてしまうことがある。

 血管が収縮して狭くなると、血栓が詰まりやすくなる。

 それが脳で起これば脳梗塞、心臓で起これば心筋梗塞だ。

 これを防ぐには、急激な温度差に体をさらさないこと。

 暖房の利いた部屋から戸外へ出るとき、夜更けの寝床から手洗いに起きるとき、風呂上りなど、しっかり気をつけたい。

 トイレや脱衣所も電気ヒーターなどで暖房するとよい。

 外出のさいはマフラーを巻き、手袋を─。

 ただしあまり厚着して汗をかくようでは感心しない。

 かえって風邪をひきやすい。

 言うまでもなく、寒風吹く日のゴルフ場など最悪。

 寒冷刺激に加えて、スイングやパットのときの血圧上昇、睡眠不足と悪条件がそろい過ぎる。

 長生きしたかったら冬場のゴルフはパスしよう。


血圧の諸問題(2)

 朝の大波

 高血圧をきちんとコントロールしないと、動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病を引き起こす。

 それはよくわかっていながら、目標値まで血圧を下げることができない人がとても多い。

 大きな理由は、高血圧は無症状だからだろう。

 痛くもかゆくもないし、めしも酒もうまいから、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりする。

 医師の指示どおり薬を飲まなかったりもする。

 こうした人たちの多くにみられるのが、朝の血圧が異常に高くなる「早朝高血圧」だ。

 朝、目が覚める前後に急上昇する(モーニングサージ=朝の大波)タイプと、夜も血圧が下がらないままなだらかに上昇するタイプ(持続型)がある。

 どちらも日中、病院で血圧を測ってもらうころには、安定しているので、医師も見過ごしてしまいがちだ。

 高血圧と診断されていない人たちの中にも、早朝高血圧の人が多いし、降圧薬を服用している人の50%以上が早朝高血圧だったという研究報告もある。

「家庭血圧の測定が大切。自分で血圧を測って早朝高血圧の早期発見を─」と専門医は勧めている。


 酒と血圧

 寒い日は血圧が上がる。酒を飲み過ぎると、さらに上がる。

 で、1月の朝は、血圧関係の事故が起こりやすい。

 飲み過ぎた翌朝、血圧が上がる理由は、こうだ。

 体にアルコールが入ると血管が広がって血圧が下がる。

 酒の量が多いとその下降幅がさらに大きくなる。

 朝になると、自律神経の働きが活動型の交感神経優位に切り替わり、血管が収縮し血圧が上がる。

 夜の血圧の下降幅が大きいほど、夜と朝の血圧の落差の大きい「早朝高血圧」が生じる。

 そうした悪影響をもたらさないアルコールの適量は、一日30ミリリットル以内(女性はほぼこの半分)。

 ビールなら中びん1本、日本酒は1合、ウイスキーはやや濃い水割り1杯、焼酎は64お湯割り2杯、ワインだったらグラス2杯といったところ。

「酒&血圧日記」に飲んだ量と血圧を記録していると、飲み過ぎた翌朝には血圧がてきめんに上がることに気づき、酒と血圧の因果関係がよくわかる。

 怖くなって酒を控えるようにしたら1週間ほどで血圧が下がったといった実例が少なくないそうだ。

 自己管理は最良のクスリの一つだ。

 ──それについて、ぜひ、お勧めしたいのは、いま発売中の健康雑誌『壮快』3月号の「高血圧」特集だ。

 小林弘幸・順天堂大学医学部教授、安保徹・新潟大学大学院教授、石原結實・イシハラクリニック院長など20人の名医が、高血圧を自力で治す極意を具体的に解説して、非常に説得力がある。

 まずは書店で手にとって立ち読みしてみてください。<
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 血圧の誤解

「上は160だが、下が70だから、まぁまぁじゃないか」と、自分の血圧について、同年の(つまり老齢の)友人が言った。

 そうした誤解をもつ人はけっこう多いようだ。

 上すなわち最大(または最高)血圧は、心臓が収縮して血液を動脈に送り出したときの動脈壁にかかる圧力で、収縮期血圧という。

 下すなわち最小(最低)血圧は、心臓が拡張して血液が心臓に戻ってくるときの動脈壁にかかる圧力で、拡張期血圧という。

 至適血圧は、上が120mmHg未満、下が80mmHg未満だが、動脈硬化が進むと当然、血圧は高くなる。

 高齢者で140─90未満だったら上々だ。では、上が高くても下が低かったら大丈夫なのか? そんなことはない。

 血圧の「上(最大)」と「下(最小)」の差を「脈圧」、脈圧の3分の1の数値プラス下の数値を「平均血圧」といい、血管の状態を判定する指標とされる。

 脈圧は、心臓に近い太い血管の硬化度を示し、正常範囲は40~60。

 平均血圧は、末梢の細い血管の硬化度を示し、理想は90未満だ。

 上が160─下が70だと脈圧は90、その3分の1(30)を70に加えると、平均血圧は100になる。

 ちょっとヤバい状態と言わねばならない。



 百歳の血圧

 心臓に近い太い血管で動脈硬化が進むと「脈圧」の数値が大きくなり、末梢の細い血管で動脈硬化が進むと「平均血圧」が高くなる。

 高齢者の場合、特に脈圧が大きくなるのが普通だ。

 年をとると上は高くなるが、下はそれほどでもなく、むしろ低くなることが多いからだ。

 ところが、東京都老人総合研究所の研究調査によると、センテナリアン(百歳老人)の場合、上は年齢相応に高いが、下は低くなく、脈圧はあまり大きくない人が多いという。

 太い血管の動脈硬化の進行が遅いことを示しているわけだ。

 また、下の血圧の高い百歳老人ほど知能指数が高く、痴呆になる確率が低いという。

「上は高いが、下は低いからまあまあ」とは言えないわけだ。

 毎度の口上だが、動脈硬化の進行を抑えるには、適切な食生活と適度の運動。

 肉も魚も卵も牛乳もバランスよく食べて、よく歩くようにしよう。

血圧の諸問題(1)

 低血圧問題

 冬は、高血圧の人にとっては危険な季節だ。

 寒冷刺激で血管が収縮すると、高い血圧がさらに高くなるからだ。

 一方、低血圧の人は、低過ぎた血圧が上昇するので、むしろ体調がよくなる。

 高血圧(最大血圧140mmHg以上─最小血圧90mmHg以上)と、低血圧(最大血圧100mmHg以下)、どちらが問題かといえば、高血圧のほうだ。

 医学的に低血圧が問題になるのは、血圧が低いためにさまざまな症状に悩まされたり、低血圧による異常がみられる場合だ。

 これといった症状がなく、ただ血圧が慢性的に低いだけなら、とりたてて問題にしなくてもよい。

 だが、程度の差はあるものの、なんらかの自覚症状につきまとわれている人が少なくない。

 最も苦痛に感じる症状は、めまい、易疲労(疲れやすい)、頭痛、動悸(どうき)、食欲不振、肩こり、不眠など。

 寝起きが悪い、耳鳴り、胃もたれ、便秘を訴える人も多く、

「健康状態を気にし過ぎる」のも、低血圧の人の特徴だと専門医は指摘している。

 体に気をつけるのは大切なことだが、度が過ぎるとかえってマイナスに働くことがある。

 体のことは、体にまかせるぐらいの楽天的な気分を、低血圧の人にはお勧めしたい。

 実際、長寿者の多くは低血圧であることが知られている。

 わが故郷、屋久島・永田には「がんない千年」なる俚言がある。

「がんない」とは、弱弱しいといった意味。

「贋萎え」の訛語だろうか?

 年中、あっちが痛い、こっちが痛いとぶつぶつこぼしていても、けっこう長生きすることを言い当てた名言?だとおもう。

 のんびりいくべえ!

 高血圧問題

 低血圧の人は、体の不調をかこつことが多いが、高血圧の人は、一般に症状の出ないうちは元気旺盛で、活動的な人が多い。

 最大血圧が200mmHg前後にも上ると、頭痛、肩こり、めまいなどの症状が出てくる人もあるが、160やそこらでは何の症状もないのが普通だから、つい油断してしまう。それが問題だ。

 元気旺盛な活動家タイプなので、いきおい食事なども早食い大食型になりがちで、肥満を招いてしまう。

 肥満すると血圧はさらに上がり、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、痛風などの誘因になる。

 高血圧の人はこうした病気によくよく気をつけなければいけない。

 半面、高血圧の人は、感染症やがんには強い傾向がみられるという。

 例えば結核にかかりにくく、かかっても比較的よい経過をたどることは、よく知られている事実だ。

 がんに強いというのは──、

、1 高血圧は動脈硬化を促進する。

 2 動脈硬化の進んだ人は、脳卒中や心臓病になりやすく、

 3 がんになるまで長生きしにくい。

   故に、高血圧はがんに強い──ということのようだ。

   いささか科学的根拠に乏しい、あまりうれしくもない三段論法か。


冬の血圧

「年末以来、血圧が高く、頭痛に悩まされています。

 これまでは上が100前後で、"低い"といわれていたのだけど(10月の人間ドックでは107―68)、

 今は朝が150―90、昼で140―80ぐらいです。

 血圧ってこんなに急に上がるものですか?

 また、人間ドックの頚部の超音波検査で、頚動脈内プラークが認められ、要精密検査とのことで来週受診の予定です」

 身内の者(67歳男性)からのEメール賀状の一部だが、それへの返信をここに流用させてもらいます。

「血圧は、冬になれば誰でも20や30は上がる(寒冷刺激で血管が収縮するため)、

 1日のうちでも『日内変動』といって、やはりそれくらいは上下する。

 朝は高く、昼から夕方は低く、歩いた後や入浴後も下がる。

 150─90は、やや高いが、冬の朝の血圧としてはまず心配無用だと思う。

 頭痛は、通常、高血圧とはほとんど関係ないはずだ。

 どんな頭痛なのか、もう少し詳しく教えてくれ。

 頚動脈内プラークは、年をとれば、みな多少は見られるものだが、近年、脳梗塞との関係が指摘されるようになり、要注意とされている。

 程度によっては、頚動脈ステント留置術などの治療を受けたほうがよいかもしれないな。

 きちんと診てもらってくれよ。

 とにかく、からだ、だいじに、だいじにな。たのむよ。

 注・プラークとは、コレステロールなどの脂質をどっさり含むアテローム(粥腫=じゅくしゅ=おかゆのようなどろどろした固まり)が、血管の壁に入り込んだもの。

 プラークを覆う被膜が薄くて破れやすい状態を「不安定プラーク」といい、冠動脈のそれが破裂すると、そこにたちまち血栓ができ、心筋梗塞が起こる。

 破裂しにくい「安定プラーク」が冠動脈にできて狭くなり、血液が流れにくくなる病気が、一般的な安定狭心症である。


健康人の死

 ことしも親しい友人や知人を失った。

 至近弾ひんぴん......。

 とりもなおさず、自分にもその日が近いということだ。

 倒れて2日目に逝かれた方がある。

 「あんなにお元気だったのに......」という言葉が通夜の席に満ちた。

 すべての突然死に共通してみられる特徴が、この普段の元気さだ。

 逆にいえば元気だからこそ突然死するのだ。

 病気療養中の人が卒然と去っても、突然死とはいわない。

(注・突然死の医学的定義は「発症から死亡までの時間が24時間以内の病死」)。

 突然死の原因の大半は心筋梗塞と脳卒中だが、その背景には多くの場合、過労がある。

 労働医学では、1日の労働時間が10時間を超えると、職業性疲労を増し、慢性的な蓄積疲労(翌日に持ち越される疲労)を強めることが知られている。

 その状態が続いていると1日ごとに心身のエントロピー(不可逆的な劣化現象)が増大される。

 その究極に過労死があるわけだ。

 過労死を防ぐ方法は、ただ一つ。

 疲れたと思ったら休むことだ。

 たっぷり眠ることだ。

 過労すなわち睡眠不足。

 過労死は睡眠不足死といってもいい。

 毎日少なくとも6時間は眠ろう。


ポンカン効果

 同病(前立腺がん)の先輩、杉原輝雄プロが亡くなった。

 杉原さんの前立腺がんは1997年12月にわかった。

 闘病14年、「生涯現役」を貫いた。

 当方が、がんの告知を受けたのは、12年前の99年10月。

 以来、ずっと杉原さんの背中を見るような気持ちを持ちつづけてきた。

 心強い先導者だった。

 感謝の念をこめてご冥福をお祈りする。

 *

 ふるさと屋久島から相次いでポンカンが届いた。

 旧友(小学校の同級生)羽生一馬と、生家の寺(浄土真宗本願寺派普晃寺)の住職、釈恵信尼こと従妹の「絹代ちゃん」からである。

 このところちとハラの立つことがあり、ユーウツだったが、友の情、血縁の情にカンゲキし、香りの高い果実を口に入れたら、気分がすっきり晴れた。

 われながら単純な性格だと思う。

 神経薬物学の研究者からの受け売りだが、うつ病には天然のかんきつ香料がよく効く。

 抗うつ薬と香り療法を併用した著効例があるそうだ。

 ミカンなどかんきつ類の栄養特性は、ビタミンCと食物繊維が豊富なことだろう。

 ビタミンCは、皮膚や筋肉や血管を構成するコラーゲンの生成に欠かせない。

 欠乏すると、そうした組織が壊れて壊血病になる。

 また、体の中で過酸化脂質ができるのも、ビタミンCは防ぐ。

 過酸化脂質は「体のサビ」といわれ、がん、動脈硬化、糖尿病などの引き金になる。

 ビタミンCをよく取っていれば風邪を引かないと、自分の体験に基づいて主張したのは、ノーベル賞を2度受賞した(化学賞と平和賞)、ライナス・ポーリングだ。

 インフルエンザがはやっている。

 ミカンを食べて、風邪を防ごう!


 ミカンの小袋

 ミカンには食物繊維が豊富だ。

 食物繊維にはいろいろな種類があるが、大別すると、セルロースなどの不溶性繊維と、ペクチンなどの水溶性繊維の二つになる。

 前者は便通をよくし、後者は血液中のコレステロールを減らすのが、最大の働きだ。

 ミカンの果肉は天然の食品中で最も多くペクチンを含み、小袋はセルロースそのものだ。

 すなわちミカンを袋ごと食べれば、ビタミンC、ペクチン、セルロースを一緒に取ることができ、それらの総合的作用が得られる。

 肌がきれいになり、風邪もひきにくく、高コレステロール血症を改善し、便秘を防ぎ・治す効果が期待できる。

 よくかんで食べれば脳も刺激され活性化するだろう。

 果物をよく食べる人は脳梗塞(こうそく)になりにくい。

 最高で31%、脳梗塞の発症を防ぐ効果が得られたという。

 米ハーバード大の研究チームが、10万人を超える人たちを、8年~14年かけて追跡したデータだ。

 米国の調査だからかんきつ類はオレンジとグレープフルーツだが、日本のミカンにも当てはまるだろう。



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