暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

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生活習慣病

子どものメタボ

  カエルとメタボ

ニュースのない日は動物園に行ってみる─というのが、昔の新聞記者心得の一つだった。

サル山のボス争いとかカバの大あくびとか、心和む閑種(ひまだね)を探す早道だったからだ。

また、スポーツ、芸能、流行、健康、子どもに関する話題は見逃さず記事にすべし─ともいわれた。

大方の読者共通の関心事だからで、これはいまでもそうだろう。

であるなら、子どもの健康は、さしずめ関心の2乗だろう。

「こどもはわれわれの未来であるとともに、われわれの過去でもある」と民俗学者、柳田国男は言っているが(『こどもと言葉』)、子ども(の現在)がわれわれの過去であるのなら、われわれ(の現在)は子どもの将来にほかならない。

「親を見りゃボクの人生知れたもの」なるメイ吟もある。

これを健康面に当てはめると、親が太っていると、子も太る。

カエルの子はカエル、メタボの子はメタボというわけで、その理由は、体質の遺伝と同一の食事環境だ。

子どもの肥満はそのまま大人の肥満につながりやすく、大人になってからの肥満よりも治しにくい。


 ママの責任

肥満児の背後には、たいてい肥満した親が控えている。

多くは母親だ。

理由は体質の遺伝と同一の食事環境。太りやすい体質を共有していて、いつも同じ物を同じように食べていれば、同じように太るのは当然の成り行きだろう。

子どもの肥満は、そのまま大人の肥満に移行しやすい。

脂肪細胞は、思春期まではその数が増え、それ以後は細胞自身が大きくなるといわれる。

つまり子どものときからの(脂肪細胞がいっぱい増えた状態の)肥満は、大人になってからの肥満とは違い、なかなか治しにくい。

成人後の肥満は、もっぱら当人の責任だが、子どもの肥満は、離乳食の食べさせ過ぎが基盤となって完成する。

責任は母親が負わなければならない。

離乳食については、もう一つ問題がある。

母親が自分の味覚に合わせて味つけをするため、しぜん塩分が多くなることだ。

で、日本人は赤ん坊のころから塩味好みになり、成人後の高血圧発症の原因になる。

高血圧予防は離乳食から─と説き続けた人が、循環器内科の大家、故五島雄一郎・東海大学名誉教授だった。


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睡眠に関する諸問題

眠らない国

旧聞で失礼。9月3日は「秋の睡眠の日」だった。

日本人の睡眠時間は、よく寝ているフランスに比べると1時間も短く、韓国に次ぐ世界2位の「眠らない国」だ。

なんらかの不眠症状に悩む人は、成人の30%以上。

眠れぬ夜が長く続くと、心身の健康をそこね、ひいては寿命にも影響する。「眠り短かければ、命短し」である。

不眠の解消には、睡眠薬を上手に使うのも一法。


睡眠障害のリスク

睡眠不足や睡眠の質の低下が続くと、高血圧や動脈硬化が進行、心血管疾患、がん、認知症など、加齢に伴い発症が増える疾患のリスクが上昇する。

また、睡眠障害は糖尿病の症状を悪くし、糖尿病は睡眠の質を悪くする。

で、睡眠障害を防ぐ薬は、睡眠の質だけでなく、糖尿病も改善すると報告されている。

最近の研究で、血糖値が高いほど、深い睡眠の時間が減少し、朝の血圧上昇が高まり、血管障害のリスクが増えることがわかった。


睡眠不足=老化

睡眠不足は生物学的老化を促進する。

たった一晩の睡眠不足が、生物学的老化を促進する。

質の良い睡眠を十分にとることが、老化を抑え、体を若々しく保つために必要だ。

米カリフォルニア大学の精神神経免疫学センターのジュディス・キャロル氏らが、米国睡眠医学会の年次集会で発表した。

61~86歳の男女29人に4夜、研究施設に滞在してもらって行った実験によって、たった一晩の睡眠不足でも、細胞が分裂し、新たな細胞を産生する「細胞サイクル」が阻害され、細胞の損傷が増えることが明らかになった―という。

過去の研究では、睡眠不足により、皮膚の細胞の染色体が不均等になり、肌の弾力性が失われることが確かめられている。

「人は誰もが老いますが、たった一晩の睡眠不足で老化スピードが加速し、病気にかかりやすくなることが生物学的に確かめられました。

一般的に一晩に7~8時間の睡眠をとることが勧められています。

今回の研究は、生活習慣病の予防・改善に、睡眠を十分にとる必要がある理由を解明したものです」と、キャロル氏は話している。


歩いて睡眠改善

睡眠の量と質を高めるために効果的なのは、運動を習慣として行うことだ。

ウォーキングなどの運動をする習慣のある人は、十分な睡眠をとっている傾向があることが、約43万人の米国人を対象とした調査で明らかになった。

米ペンシルベニア大学のマイケル・グランドナー博士らは、生活習慣病の予防や健康促進の効果的な方法を探るために行われている大規模研究に参加した42万9110人のデータを解析した。

参加者に過去1ヵ月間にどのような運動をしたかを質問し、睡眠時間の平均を尋ねた。

結果、運動を習慣として行っている人は、睡眠時間を十分にとっている傾向があることがわかった。

過去の研究では、平均睡眠時間が7時間以下であると、健康状態が悪くなることが示されている。

ウォーキングなどの運動を習慣として行っている人は、7時間以上の睡眠時間を確保している割合が高かった。


体のリズムと睡眠

ヒトの体には、「概日リズム」(サーカディアンリズム)と呼ばれる、ほぼ24時間のリズムで体内の環境を調整する機能が備わっている。

体内時計の周期と24時間の周期との間のずれを修正できない状態が続くと、望ましい時刻に入眠し、覚醒することができなくなる。

運動や身体活動を毎日行うと、概日リズムが調整されやすくなり、夜の決まった時刻に自然に眠れるようになる。

「交感神経が活発に働いている時間である夕方、特に夕食後に運動をすると、心拍数の増加と筋肉の血流量の増加により、体脂肪の燃焼率が活発になり効果的です。食後の血糖値の上昇も抑えられます」と、グランドナー博士。

ウォーキング以外にも、サイクリングやランニング、筋力トレーニング、エアロビクス、ガーデニング、ヨガ、ピラティス、ゴルフなどの運動も効果がある。

ただし、家事や育児に関連した身体活動が多過ぎると、睡眠不足のリスクが上昇することも分かった。

仕事や家事で毎日が多忙で手一杯であると、概日リズムが乱れやすくなる可能性がある。


「ウォーキングを毎日行うだけでも、睡眠の量と質を改善できます。

さらにランニングやヨガなどの目的のある運動を組み合わせると、より効果的であることが分かりました。

逆に運動不足は睡眠の質を下げる要因になります。運動習慣をもたない人は、いますぐ運動をはじめるべきです」と、グランドナー博士はアドバイスしている。


コレステロールに関する声明

 血液中のコレステロールの数値が多少高いのは、気にしなくてもよい。むしろ健康上のメリットが多い─という「朗報」は過日の小欄でもご紹介した(4月11日)。

 そこへ、「コレステロール摂取に関する日本動脈硬化学会の声明」というプレスセミナーの案内をいただいた。


悪玉・善玉比

 悪玉(LDL)は血管にコレステロールを運ぶ。

 善玉(HDL)は余分なコレステロールを血管から回収する。

 悪玉が増えすぎたり、善玉が減ったりすると、血管にコレステロールがたまりやすくなる。

 動脈硬化が進み、心筋梗塞などの心血管イベントの発症リスクが高まる。

 動脈硬化の退縮と心血管イベントの発症予防には、悪玉だけでなく、善玉の管理が必要だ。

 治療によって悪玉のLDL値が低下しても、善玉のHDL値が低ければイベント発症のリスクは高まる。

 ある臨床データによると、LDL値が70ミリグラム未満でも、HDL値が

37ミリグラム未満の人は、HDL値が42ミリグラム以上の人に比べて、イベント発症頻度が1.8倍も高い。

 LDL値を下げて、HDL値を上げることで動脈硬化は退縮する。

 LDL値をHDL値で割った「LH比」が高いほど動脈硬化は進展し、低いほど抑えられる。

 LH比2以下で、動脈硬化は退縮し始め、1.5以下でさらに顕著になる。

 以上、吉田雅幸・東京医科歯科大学教授の解説を要約した。


悪玉と善玉

 なぜ、血液中のコレステロール値の異常がよくないのか。

 動脈硬化が早く進み、狭心症、心筋梗塞などの心血管イベント発症のリスクが高まるからだ。

 コレステロールにはいくつか種類があるが、動脈硬化に関係するのはLDLとHDLだ。

 肝臓でつくられたコレステロールを全身の組織に運ぶのがLDLだ。

 一定量は必ずなくてはならないが、多過ぎると血管壁にたまって動脈硬化の原因となる。

 で、「悪玉」と呼ばれる。

 HDLは全身の余ったコレステロールを回収して肝臓に戻す。

 血管壁にコレステロールがたまるのを防ぐので、「善玉」と呼ばれる。

 HDLが少ないと、余分なコレステロールが回収し切れず、残ったコレステロールが血管壁にたまる。

 つまり、LDL値は高いのが、よくない。

 HDL値は低いのが、よくない。

 動脈硬化に関係する脂質にはもう一つ、中性脂肪がある。

 血液1デシリットル中のLDL140ミリグラム以上、HDL40ミリグラム未満、中性脂肪150ミリグラム以上──のうち一つでも該当すると「脂質異常症」と診断される。


脂質異常症

 血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に多い状態を、以前は「高脂血症」と呼んでいた。

 07年5月、「脂質異常症」に変わった。

 高脂血症は、血液1デシリットル中、総コレステロール220ミリグラム以上、LDL(悪玉コレステロール)140ミリグラム以上、HDL(善玉コレステロール)40ミリグラム未満、中性脂肪150ミリグラム以上──のうちどれかが該当する場合とされていた。

 しかし、総コレステロールが基準値未満でも、LDL値だけでなくHDL値も低いためにそうなることがあるし、反対に総コレステロールが基準値以上でも、LDL値は高くなく、HDL値が高いためにそうなることもある。

 前者のほうが心筋梗塞などの心血管イベント発症のリスクは高まる。

 問題はHDL値が「低」いことなのに、その場合も「高脂血症」と呼ぶのは不適当だ──と名称を「脂質異常症」に変えて、診断基準から総コレステロール値を除外した。

 現在はLDL値をHDL値で割った「LH比」が重視されるようになっている。


がん検診へ!

 9月は「がん征圧月間」だ。

 1960年から始まった。

 当時、がんは日本人の死因の2位。

 1位の脳卒中の死亡数15万6000人に対して、がん死亡数は9万4000人だった。

 その後、脳卒中はへり、がんはふえ、81年に死因1位(死亡数=16万2000人)になった。

 最新の統計(2008年)をみると、がん=34万2984人、心疾患=18万1822人、脳血管疾患=12万6944人。

 がんで亡くなった人が、心臓病と脳卒中の合計をざっと4万人も上回った。

 がんは本質的に老年の病気だ。

 寿命が延びればがんもふえる。

 1960年の日本人の平均寿命は、男65・32歳、女70・19歳だったが、2011年は男79・44歳、女85・9歳。

 寿命の延びは1・2倍だが、がん死の増加は3・7倍だ。

 加齢はがん罹患・死亡率を等比級数的に押し上げる。

 がんから身を守る方法は大別して二つ。

 第一は、禁煙や食生活の改善などでがんの原因を取り除く「一次予防」だ。

 第二は、早期発見・早期適正治療によって、がんを芽のうちに摘み取ってしまおうという「二次予防」だ。

 早期発見の有力な武器が、がん検診。検診を受けよう。


健康の元

 糖尿病をほっておくと、怖い。

 病気が進むにつれて、さまざまな合併症が現れる。

 目をやられ(糖尿病網膜症)、腎臓をやられ(糖尿病性腎症)、脳や心臓をやられる。

 スクラップブックを開くと、なんとも恐ろしい新聞記事が貼ってある。

「糖尿病万病の元」──これが一面トップの横見出しで、その下に、

「アルツハイマー4・6倍 がん死亡3・1倍 心筋梗塞2・1倍 脳梗塞1・9倍」

 でかでかと列記してある(朝日新聞2007年9月2日)。

 九州大の清原裕教授らが、福岡県久山町の住民約800人を15年間、追跡してわかったという。

 しかし、それにしても、だ。

「万病の元」とは、ちと大袈裟ではないか。

 いや、糖尿病をナメて、養生をほったらかしにしている人に対しては、これくらい強く警告したほうがいいのかもしれないな。

 厚生労働省「平成17年患者調査の概況」によれば、糖尿病の総患者数は約247万人だ。

 別の調査(国民健康・栄養調査など)では、実際に発症している人は推定約700万人、予備群は2000万人を超える。

 つまり半分以上の人は受診をサボっているわけだ。

 糖尿病ほど治療法のラクな病気はないのに、それを受けないのは、もったいない話ではないか。

 糖尿病の生活療法(栄養のバランスよく腹七~八分目を守り、自分に合った適度な運動をし、十分な休養・睡眠をとる)は、健康な生活スタイルそのもの。

 糖尿病を防ぎ・治すための生活は、万人共通の養生法なのである。

 糖尿病を「健康の元」にしよう。


たばこ、やめませんか!

 小児とたばこ

 5月31日は世界禁煙デー。

 WHO(世界保健機関)が、喫煙者に対しては24時間の禁煙を呼びかけ、各国の政府・自治体・諸機関・個人に対しては、喫煙と健康問題の認識を深め、適切な対策の実践を求める日だ。

 1988年(この年のみ4月7日)の第1回の「たばこか健康か─健康を選ぼう」以来、毎年、掲げてきた標語の2008年のそれは、「若者をタバコから守れ」だった。

 日本小児科学会は、はるかな以前から、「子どもをタバコから守れ」と訴え続けている。

「日本小児科学会雑誌」106巻3号(2002)掲載の、「こどもの受動喫煙を減らすための提言」は、深刻な事実の指摘から始まっている。

「たばこの煙には、先端から立ち上がる副流煙、喫煙者の吐き出す煙があります。

 こどもの喫煙のほとんどは、これらを吸う受動喫煙です。

 それによって、気道アレルギーが悪化して、ぜんそくが治りにくくなったり、乳幼児突然死症候群(SIDS)が増えるなどの健康被害が報告されています。」

 たばこの煙は、直径1ミクロン以下の微粒子だから、気流とともに浮遊する。

 閉鎖された室内では、数分後には部屋全体に広がって薄められ、見えなくなる。

 しかし、壁やカーテンなどに沈着するのはごく一部で、粒子の大半は長時間にわたって空気中に滞留している。

 その目に見えないたばこの煙を知らず知らず、長時間にわたって吸うことによって、子どもの受動喫煙の大半は起きていると、日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会は指摘している。

 子どもの受動喫煙への影響は、母親の喫煙が最も大きいとの調査結果がある。

 子どもが不在のときに吸うたばこの煙に注意がいかず、部屋を閉め切ったままで子どもを迎えることも、子どもの受動喫煙量を増やしている。

 同委員会は、次の2点を提言している。

 ① 子どものいる家庭では、たばこは室内では吸わず、屋外で吸うようにしましょう。

 ② 室内で吸った場合、必ず窓を開けて換気しましょう。

 とくに対面する2カ所の窓を開けて自然換気するのが効果的です。

 受動喫煙意識調査

 たばこでいちばんの問題は、言うまでもなく受動喫煙による健康被害だ。

 喫煙者本人が健康を害するのは、いわば自己責任、冷たくきめつければ自業自得だ。

 自分でもそれを承知で吸っているわけだから、はたでとやかく口出しするのは、よけいなお節介だろう。

 しかし、人に迷惑をかけてはいけない。最低、最悪である。

 たばこの先から発生する副流煙には、喫煙者自身が吸い込む主流煙よりも多くの有害な化学物質が含まれている。

 受動喫煙で、肺がんや心筋梗塞やぜんそくのリスクが高まるのはよく知られているが、最近の疫学調査では糖尿病にもなりやすいことがわかった。

 糖を処理するインスリンをつくる膵臓の働きが悪くなり、インスリンが効きにくくもなるためのようだ。

 繰り返すが、たばこでいちばんの問題は、受動喫煙である。

 たばこのみ本人もそのことはよくわかっているようだ。

 5月31日の世界禁煙デーを前に、製薬会社のファイザーが行った意識調査では、

 喫煙者の83.5%が、自分のたばこの煙が周囲の人に与える影響を気にしており、

 85.6%が、周囲に人がいるところでは「たばこを控える」と回答している。

 この調査は、47都道府県9400人(各都道府県喫煙者・非喫煙者/各100人、計200人)を対象に、インターネットで行った。

 たばこの煙で不快な思いをした場合、

「吸うのをやめてほしいとハッキリ言う」人は、わずか3.8%。

「言いたいが我慢する」「その場を立ち去る」人が92.5%とほとんどだ。

 傍若無人のたばこのみが、遠慮深い人たちに黙認されているわけである。

 そうした状景を減らす最も効果的な施策は、人の集まる場所での喫煙を制限する「受動喫煙防止条例」だろう。

 すでに同条例が制定されている神奈川県と兵庫県以外の回答者9000人に、

「受動喫煙防止条例のような公的ルールを、お住まいの都道府県に設けることに賛成ですか?」という質問に、

 3570人(39.7%)が「賛成」、

 3194人(35.5%)が「どちらかといえば賛成」と回答している。

 喫煙者に限定しても、「賛成」が14.9%、「どちらかといえば賛成」が40.0%と、半数以上が条例の制定に肯定的である。

 このほか、いろいろ興味深い調査結果は、ファイザーのサイトで、どうぞ。

 肺の生活習慣病

 たばこがつくる病気といえば、肺がん。これは昔からよく知られている。

 いま世界的な大問題は、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)だ。

 有害な空気を吸い込むことによって、空気の通り道の気道(気管支)や酸素の交換を行う肺(肺胞)などに障害が生じ、呼吸がうまくできなくなる病気。

 最大の原因が長期間の喫煙習慣であることから、肺の生活習慣病といわれる。

 2001年のWHO(世界保健機関)調査では、高所得国における死因の第5位、低・中所得国では第6位だ。

 2020年には心疾患、脳卒中に次ぐ第3位になると予測されている。

 2000年に行われた大規模疫学調査によれば、日本人の有病率は8.6%、40歳以上の約530万が罹患していると推定される。

 だが厚生労働省の2008年の患者調査によると、医療機関でCOPDと診断された患者数は17万3000人に過ぎない。

 この病気の初期は自覚症状が少なく、ゆっくりと進行するため病気に気づいていない人が多いためである。

 代表的な症状は、息切れだ。

 階段や坂道の上がりで息を切らし、同年代の人と一緒に歩いていて、歩くペースが遅れがちになる。

 せきとたんがしつこく続き、病気が進むと口すぼめ呼吸をし、胸の前後の幅が増大してビヤだる状になる。

 まず禁煙!

 どんな病気でもそうだが、COPDの治療も、早く始めるほど、よい。

 ① 40歳以上で、たばこを吸っているか、吸っていた人(長期喫煙者の7人に1人がCOPDになるといわれている)。

 ② せき、たんがしつこく続く。

 ③ 階段を上るとき息切れがする人は、ぜひ「肺機能検査」を──。

 息をいっぱい吸って、吐き出すだけの簡単な検査だ。

 治療は、まずたばこをやめること。

 禁煙外来や禁煙教室のある病院を受診し、禁煙を助ける薬を用いるのも一法だ。

 たばこをきっぱりやめて適切な治療を受ければ、病気の進行を遅らせ、せきやたん、息切れなどの自覚症状を抑えることができる。

 治療は、気管支を広げる気管支拡張薬になるが、症状によっていくつかの薬を組み合わせて用いる。

 とにかく、早く診察を受け、根気よく治療を続けることが何よりも大切。

 ある専門医はこう言っている。

「何年か先に、健康な人に近い生活を楽しめるか、ほとんどベッドの上で過ごすか。それはあなた次第です」


子どもの肥満とやせ

 小児メタボ

 生活習慣病の予防は子どものころから始めるべきだ。

 小中学生(6~15歳)を対象とする、厚生労働省の「小児のメタボリック症候群」の診断基準は──、

 男・女児ともウエストが80センチ以上で、それに加えて、

 血圧125―70mmHg以上、血糖値100mg/dl以上、高脂血症(中性脂肪120mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満)の2項目以上があてはまるもの──とされている。

 肥満児の5~20%がこれにあてはまる可能性があるという。

 文部科学省によれば、標準体重の120%以上の「肥満傾向児」は、この30年間に3倍近く増えて、およそ10人に1人。

 子どもでも肥満の増加と2型糖尿病(普通にみられる成人型の糖尿病)の増加は見事に相関し、肥満が増えるのに伴って2型糖尿病も増えて、年間10万人当たり8~10人の子が、2型糖尿病を発症している。

 子どもの2型糖尿病など、昔は考えられなかったことだが、今は大問題。

 1992年からは学校健診で尿糖の検査が行われるようになっている。

 半面、肥満とは反対のやせの心配もしなければならない現状もある。

 やせの問題

 肥満児が増える一方、低体重児も、同じくらい増えている。

 文部科学省は、標準体重に対して80%以下の体重の子を「痩身(そうしん)傾向児」としているが、この20年間に2倍、特に女の子では3倍近く増えている。

「以前は子どものやせは、栄養障害とか慢性疾患など病気のためと考えられていた。

 しかし、病気がそんなに増えるわけはない。

 若い女性の<ファッションとしてのやせ>が、子どもたちにも増えている。

 これは大きな問題だと認識しなければいけません」と、子どもの食育に詳しい村田光範・和洋女子大教授(元東京女子医大小児科教授)。

 やせ過ぎも、肥満と同じように死亡リスクが高くなることがわかっている。

 体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割ったBMI(体格指数)が18.5未満の「やせ」は、BMI22~24.9の「標準体重」に比べて、女性では約3倍、男性では約2.5倍、死亡率が高い。

 骨密度の低下による骨折も増える。

 若い女性は生理不順になりやすいし、不妊症になることさえあるという。



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