暮らしのなかの健康法万般。赤ちゃんからお年寄りまでの病気の解説・予防・治療法。食生活、食品、サプリメント情報…など、面白くてタメになる実用エッセイ。

はじめにひとこと─

 あるいは、ご愛読いただいていた人もおられるかもしれない。

 私は、1986年(新聞によっては2000年前後)以来、地方新聞10数紙に「健康歳時記」(あるいは「健康日記」など)というタイトルのコラムを毎日(あるいは週1~2回)書き続けてきた。

 それが、記事を配信していた通信社の事情(東日本大震災の被災地の新聞3紙への配信が中止になったため、経費面での採算がとれなくなった)で、中止されてしまった。

 未曾有の大津波に小さなコラムがあっさり押し流されてしまった案配だ。ーーいや、それがそうではなかったことが、その後、判明した。

(事実は「なんやらかんやら日録」中の 「G芸通信社への手紙」などに詳述した)。

 やっているときは「しんどいなあ。そろそろ止めたいなあ」と思うこともあったが、いざ無くなると、なぜか妙に寂しい。

 日常生活の歯車が一つ欠けたような感じさえする。

 なにかやってないと気持ちが落ち着かない貧乏性なのである。

 そんなわけで、同じ形式の記事をネット上で書き続けることにした。

 限定的な地域の新聞購読者だけではなく、全国の多くの人に読んでいただければ……という願いもこめて。

 新聞紙面ではスペースの制限(1回450字)があり、説明不足になることも多かったが、ここではその点の融通も利くのが、ありがたい。

 題して「健康1日1話」、ご愛読いただければうれしいです。

 2011年 夏       丸山寛之

金環日食

 東京は173年ぶり、大阪は282年ぶり、名古屋はじつに932年ぶり。

 明日の朝は、日本の広い範囲で金環日食が見られる。

 今回、リング状の太陽を見られるのは、地球の約0.7%の地域。

 次回は北海道では18年後に見られるが、東京は300年後の2312年までおあずけになる。

 ──そう聞くと、これを見逃す手はない。明日は早起きしよう。

 もう先刻ご存じのことでしょうが、見方を間違えると、非常に危険。

 必ず日食メガネを使って、正しく見よう。

 肉眼や望遠鏡は絶対ダメ! 

 サングラス、黒い下敷き、カラープラスチック板、CD板、カラーフィルム、ろうそくのススをつけたガラス板、みんな、ダメ!

 さて、肝心のお天気はどうか?

 晴れてくれるといいのだが。

奄美の賢脳食

鹿児島県の大島や徳之島など奄美諸島は、泉重千代さんや本郷かまとさんに代表される長寿者の古里だ。

 同時に多くの人材(例=最高裁長官、日本弁護士会会長、大学総長、教授、大企業社長......)を輩出した。

 言い換えると、頭のいい人がたくさん出ている。

 その要因の最大の一つが「カツオの頭」だといわれる。

 黒潮流れる奄美の海は豊富なカツオの漁場だが、戦前の貧しい時代には、水揚げされるとみんな鰹節に加工され、島の人びとの口に入るのはビンタ(頭)かアラ(内臓)だけだった。

 魚の脂肪を構成する不飽和脂肪酸の一つDHA(ドコサヘキサエン酸)は、EPA(エイコサペンタエン酸)と共に血栓を予防する

物質として知られるが、脳の記憶学習中枢に欠かせぬ物質でもある。

 脳の発達を促し、知能を高め、記憶力をよくするといわれる。

 カツオの頭にはDHAがどっさり含まれている。

 食べれば頭がよくなるとブームになったこともある。

 奄美の人たちは、これを年中食べて育ち、優れた頭脳ができ上がった。

 はからずも貧しさが幸いしたわけで、奄美の「賢脳食」と呼ばれている。

魚を食べよう!

 目には青葉山ほととぎす初がつお 山口素堂

 あまりにも有名な句だから俳句歳時記には収録されてないかもしれないと思った。

 芭蕉の、古池や......のように。

 だが手元の歳時記三冊のどれにもちゃんと載っていた。

 青葉、ほととぎす、初がつお、と季語が三つもあるが(その点でもこれは稀有な句だ)、どの本も「初がつお」の項に分類してある。

 昔は、高い初がつおを、女房を質に置いても食うのが、江戸っ子の心意気とされた。

 ところが、いまは毎日、好きなだけ食べられる時代になっているのに、「魚離れ」がどんどん進むばかりだ。

「魚好き」のはずの高齢者も魚を食べなくなりつある。

 国民健康・栄養調査によると、

 2000年の年代別魚介類摂取量(1日1人あたり)は、

 60~69歳=112.3グラム

 70歳以上=102.6グラム

 ──だったが、

 2010年のそれは、

 60~69歳=95.8グラム

 70歳以上=83.0グラム

 ──とハッキリ減っている。

 日本人は魚食民族である。

 日本人の健康長寿をつくった最も大きな一因は魚なのである。

 魚はたんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどの栄養素がバランスよく含まれた健康食材だ。

 メザシのような丸ごと食べる魚には、カルシウムが豊富だから骨や歯を丈夫にし、神経の興奮を抑える。

 カツオ、ブリ、マグロなどには鉄分が多いから貧血気味の女性にはもってこい。

 イワシ、サバ、アジ、サンマなど背青魚の脂肪にはEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸が多く、血中コレステロールを下げ、動脈硬化を防ぐ。

 脳卒中や心筋梗塞の予防に役立つ。

 魚を食べよう!

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